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「じゃあ、親である俺から自己紹介ね。」


辰治さんから突然の自己紹介大会が開催される運びとなった。

チャダが虎太郎を追いかけた後、残された俺達は今出来る準備を済ませて何となく途方に暮れてたタイミングだった。

一瞬席を外してた雷華が何故かUNOを片手に戻って来たのを見て学生時代やっていたねぇ。なんて互いに話をしていたら、男6人輪になってゲーム開始となってしまった。


「名前は辰治。歳は25歳だから、もしかしたらこの中で俺が最年長かな。普段は会社員やってるよ。はい次!」

「悠兎。歳は23。」

「悠兎、もう少し自分の事を言おうよー。」

「言う必要ある?じゃあ…普段はフリーターで知り合いの手伝いとか色々やってる。特技は盲牌。」

「へぇ。悠兎さんって麻雀打てるんだ。」

「爺ちゃんが生きてる時、雀荘経営してて仕込まれた。今度古川君もやる?」

「やるやる。」と大雅が笑いながらカードを1枚捨てる。大雅って麻雀やれるんだ。知らなかった。

「じゃあ僕ね。古川大雅。20歳。職業は大学生。僕の事は虎太郎から何となく聞いてると思うから割愛ね。」

「そういや、アカシャグマって全員学生?」

「全員同じ歳ですがオイラと雷華は働いてます。」

辰治さんに答えた尚典はカードを捨てながらそのまま

「ああ、オイラは新尚典です。特技ってか、ストレス溜まると定期的に某ラーメン屋の大食いタイムチャレンジに挑んで発散させます〜。」

高校時代にこの賞金でピックとか弦とか買ったっけ。

部活もバンドもやっててバイトなんて無理なので、バンドで困った時は尚典が「ちょっと行ってくるね」と行ってたっけ。ストレス発散を兼ねた賞金稼ぎな事を今になって知らされる。

通常尚典は俺等と変わらない食事量だから色々謎が多い。アカシャグマで七不思議を作るなら、尚典の胃袋は間違いなくランクインだ。

「………ああ、俺か。山口雷華。20。今チャダが無事かが最大の関心事。」

虎太郎が出て行ったタイミングは雷華が関口さんに確認しに行ってる最中だったからね。一部始終を聞いて以降、苦虫を噛み潰した様な表情でいる。

「あれ?天使の所有者って太郎君じゃなかったけ?」

「太郎君だよ。」

こんな風に言われるとこそばゆい感じがするなぁ。ただ拾ったのが俺だっただけなんだけどね。

「チャダは太郎と一緒だが、俺は太郎以上にチャダを可愛がってる。チャダに何かあったら俺が虎太郎を吊るしてやる。」

雷華がまた可笑しな事を言い出したな。

確かに前の姿の時から居る時は必ず一緒だもんなぁ。

俺にとって「好き」と言う感情が非常に曖昧なので、これだけハッキリと言い切れるのは本当羨ましい。

「……………おーい。太郎君の番だよ?」

辰治さんの声で我に返る。

改めて手札を確認して1枚捨てる。

「えっと蕪木太郎です。ギターやってます。チャダは基本俺と一緒にいます。これで良いです?」

「オッケー!よし。コレで自己紹介は一周したかな?」

以降は時計回りで山場からカードを引き、捨てるを繰り返しながら割とくだらない話でゲームは進んでゆく。

感じた事は意外と皆んなの事を知ってる様で知らないんだと気が付いた。雷華はまあ…通常運転だったけど。

「そういや虎太郎君も学生だよね?ただ、どう見てもオイラ達より若い。まだまだ高校生な風貌。」

「そーだよ。17か18歳っくらい。」

「うわ」と山場のカードが望んでいない物だった様で、大雅が手札に加えながら大雅は続ける。

「ひとりっ子で親父さんからも期待と言う名のプレッシャーを滅茶苦茶掛けられてると思うんだよね。また虎太郎の親父さんは癖のある人だから相当僕等と比較されてて大変だと思うよ。同情はしないけどね。」

確かに幼い印象だったけど高校生だったんだ。

自分の頃と重ねて見ると、まだまだ知らない事もあって理不尽な物事に納得がいかない年頃だよな。

なんて。偉そうな事は言えないけどな。俺も。

「虎太郎は出会った時から危なっかしい奴でね。一緒に居てやらないと何をしでかすか分からない奴なんだ。でもあの年代特有の純粋さが可愛くてね。俺達にとっては弟の様な存在なんだ。」

無音の空間で静かにカードを捲る音、重なる音の中で辰治さんがゆっくり俺達を見る。

「俺達から古川君に「許してくれ」なんて言える立場じゃない事は承知している。それでも虎太郎はひねくれてるからね。ちゃんと言えないだろうから代わりに謝る。」

「いや本当に別にいいんですよ。実際の所、僕は全然気にしてないんで。」

同情はしない。

でも似た環境の者として共感する所はあるのかな?

「僕自身で完全服従させるんで!平気っす!」

前言撤回。清々しい笑顔で言い切ったよ、大雅。

でも怒ってる訳じゃないな。どちらかと言うとコレをネタに暫く揶揄いたいって気持ちが強そうだな。

「はい!UNO!」

高らかに宣言したのは相変わらず眉間に皺を寄せたままの雷華だった。あの表情って疲れないのかな。

そのまま雷華が上がり、自然な流れで二回戦目と突入した。

第1回男だらけのチキチキUNO大会開催。

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