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「先ず!」

そう高らかに虎太郎君が口火を切った。

「何時も親父から古川家の御子息達は良い研究発表をしたとか成果を出したとか比較されて!」

「最近だと二番目の兄貴の論文が専門誌に載ったって聞いたな。」

「遂には孫にも恵まれたのにお前には彼女すら居ないって!」

「姪っ子が可愛くて結婚する迄は死ねなくなったね。」

チャダも「凄く可愛いんだよ!」と言ってたな。今も隣で滅茶苦茶頷いてる。

「あと!」

未だ続くんだね。

「この間も落とそうとしていた女が『アカシャグマのボーカルの方が好みだ』って振られて調べたら又おみゃーだし!」

「知らん人の嗜好は関係なくね?」

以降、もう何点か理由を挙げてたけどコレは完全に


「単なる逆恨みだねぇ。」


そう言いながら尚典がやって来た。そう。単なる逆恨み。

そして殆ど大雅には関係無い話ばかり。確かに大雅の兄さん達って近所でも噂の超絶エリートと囁かれてたし事実だった。

それが末っ子の大雅にはかなりのプレッシャーだって高校時代に話していた事を思い出した。

「太郎の方は終わった?」

「ああ。コッチの詳細は後で話すわ。今は大雅だよね。」

虎太郎君の一通り意見を並べ切ると少しの間が生まれる。

大雅は涼しい顔のまま虎太郎君の前に進む。

「で?後はもう無いの?」

「!」

「先ずは僕じゃなくてお父さんの隆さんに言うべきだね。僕も親父に言っとくけど、何しろ承認欲求の塊みたいな人だから次会った時も自慢話は止まらないと思うけど。」

「なっ…」

「後、優秀なのは兄貴達であって僕じゃ無い。古川家では僕が1番の凡人だ。ただ僕が宇宙一尊敬しているのはクソ親父じゃ無くて兄貴達だから、これ以上くだらねぇ事をガタガタ抜かしたら潰し切ってやるからな。」

珍しく少し怒ってるな。

大雅は喜怒哀楽がハッキリしてるから、何かあると本人から醸し出す空気が一気に変わる。かなりの圧を俺も感じる。

「はい!ここでしゅーりょー!」

ボーカル2人の間に割って入って来たのはワイルドドックのギター・辰治(たつじ)さんだった。

動画を見ていた時から思っていただが虎太郎君はヤンチャ系で悠兎さんはデスメタル系、辰治さんはリーマン系なんだよね。普通にちゃんとした会社勤め人って風でしっかりした感じ。

「圧倒的に虎太郎が悪い。」

「う…」

「昨夜も言ったからこれ以上余計な事は言わないが、虎太郎の言い分は単なる八つ当たり。やっぱり人生もう1回バブからやり直すか?」

中々独特な表現をする方でいらっしゃるな。辰治さん。

「古川君もごめんね。俺達も本人から少し事情を聞いてて、突っかかる事はしないと約束させてたんだけど…。」

「あ。良いです。僕は特に気にしてないので。」

「いやいや。」

がっしりと虎太郎の肩を掴みながら辰治さんは静かに

「とりあえず虎太郎は古川君に謝る。そしてライブが終わったらどうしようか?飛ばされたい?流されたい?それともちょっと苦しむか?」

前言撤回。辰治さんも怖い。爽やかに刑罰内容を提示したよ。

「辰治、さっき太郎君に吊るす約束したから吊そう。」

「じゃあ吊るすか!」

悠兎さんが言うと増して怖いし、あっさり同意した辰治さんももっと怖い。名古屋人ってこうなの?

「ほっとけや、たぁけ。」

辰治さんの手を振り解いて虎太郎君はその場を走り去ってく。

再びホール無いに静寂が訪れた。

微妙な空気の中でお互いがお互いを見渡す。この場を空気を変えたのは意外にもチャダだった。

「あの、チャダ、虎太郎探してくるね!」

ちなみに

とばす→バッティングセンターで千本ノック

流す→流れるプールに2時間ながされる

苦しむ→時間いっぱい食べ放題 です。辰治なりに遊んでる笑

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