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悠兎さんは再び深くタバコを吸い込みゆっくりと煙を出すと
「チャダは相当大事にされてるよね。見ただけで分かる。アカシャグマ以外にも色々な人達に可愛がって貰えてるのが最初見た時から分かってた。」
再びきゅっと左手に力が入る。
そっと横目で見るとチャダは少し照れた表情で前の悠兎さんを真っ直ぐ見ていた。
「そう言えば、チャダ…と言うか天使って見分けがつく物なんですか?虎太郎君も最初から分かってたみたいだし。」
コレも聞きたかった事の1つだ。
確かに今の姿になってから沢山の人達と関わりがあったけど、ワイルドドックが初めての指摘だったから昨夜は本当にびっくりした。
「分かるよ。太郎君達も様々な人達と関わり合う様になれば見ただけで天使と一緒に居る奴かどうか分かるよ。」
そうなんだ。
そしてこの生命体は意外にも沢山いるものなんだ。とも思ってしまった。みんな食い意地張ってんのかなぁ…?
「あとチャダ、ごめんね。」
タバコを消して悠兎さんはチャダの目の前に来る。
「消えるって言い方が悪かったね。もしかしたら俺達の天使は出掛けてるだけかもしれないしね。天使は俺達の事を充分に幸せにしてくれたから、今は違う誰かを幸せにしている最中かもしれない。何せ天使はチャダみたいに話せなかったからね。君には嫌な思いをさせてしまったね。悪かった。」
そっとチャダの頭を撫でて謝罪を告げる。
「……………別に…いいよ。」
少しぶっきらぼうな言い方だったけど、悠兎さんを見上げて受け入れると何時もの表情に戻っていた。
そうと言っても俺達もライブの準備はある。
「悠兎さん、天使ってどんな子でした?」
「遊ぶのが大好きだったね。特に俺のピアスホールに入ってブランコみたいに揺れてたよ。」
「何それ。面白そ!」
「チャダももし元の姿になったら遊んでいいよ?」
「本当?悠兎、絶対約束だよ?」
ライブハウスへ戻りながら2人で指切りげんまんをしている。ヘヴィメタルと清楚系の指切りげんまんは、中々シュールな絵面だな。
ふと自分の左手を見る。強く握りしめたチャダの熱が未だこもってる様に暖かく感じる。
何時も普通の生活を一緒に繰り返していたけど、あんな風に考えてくれた事が凄く嬉しかった。
先ずは今日の完全アウェーなライブを完遂しなくては!
パーパーの中に入ると同時に凄い剣幕で話し声が響いていた。この声は間違い無く
「虎太郎だな。まったく………。」
そう呟くと悠兎さんは少し歩みを早めてホールへと入って行き、俺達も後を追う様に続けて入った。
「もんだで!古川大雅が気に入らん!」
昨夜の勢いのまま、大雅を捕まえた様に騒ぎ立ててる虎太郎の大きな声が飛び込んで来た。絶対大雅、何かやってるよ。
「7〜8年振りの再会で不躾な発言だよね。僕何かした?」
「直接じゃあ無いがな!何時も俺の前におみゃーがおるのが嫌だ!」
どうやら虎太郎君が一方的に良く無い感情を持ち合わせてる様に伺える。
少しだけ「本当に『おみゃー』って言う人がいるんだなぁ。」と思いながら大きく息を吸い込み、虎太郎君の発言を待った。
「雷華も沢山ピアス開けてるけど、あんな大きな穴が空いてるのは初めて見た!ブランコ約束ね!」
そう全力で指切りげんまんをしていたそうで。




