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side 7-3

西内由紀恵side

「いらっしゃいませー!」

「あら太郎ちゃん達。そうか。もうそんな時間なのね。」

カウンター隅にある鳩時計を見ると、あと数分で16時だ。

久しぶりにアカシャグマ御一行で来店な理由はチャダのお迎えにやって来たのだろう。

「太郎ちゃん達はチャダのお迎え?」

「それもあるけど、ほら、店に来てって話してたろ?」

「ああ…あの買物の時ね。なら何時ものお席にどうぞ。」

あんな挨拶代わりの言葉を覚えてるなんて、律儀だなぁ。

「チャダがお冷もってく?それが終わったら今日は終わりでいいからね。」

「はい!行って来ます!」

今日一日働いただけでも貫禄がついてきたな。

チャダの動きを見てるだけでも私的には価値のある一日だったなぁ。勿論色々な意味を含めてね。

あらあら。太郎ちゃん達の席が賑やかね。

そうよね。チャダ可愛いもんね。チャダはその可愛さと新人効果で今日は大注目だったからね。

「由紀恵さん、戻りました。」

「楽しそうにお話していたわね。」

「えと、何かやらかしてないかと、馬子にも衣装と、明日も来ると、文化祭みたいだねって言われました!」

皆んな、何言ってるかちょっと分からないな。まあいいわ。

とりあえず概ね喜んでるって事にしておこうかな。

「じゃあチャダ、お疲れ様。マイスターとオーナーにも挨拶して今日は終わりで良いよ。」

「はい!お先に失礼します!」

元気良く返事をすると大吾さんの元に駆け寄って言葉を交わして事務所へと戻って行った。

「オーダーいいー?」

「はーい。お伺い致します!」

大雅さんの声だ。

何時も思うけど、本当通る声をしてるよね。流石ボーカル。

「お待たせ致しました。ご注文は?」

「ホットコーヒー4つ!代わりに明日も来るから今日はこれで勘弁ね!」

「畏まりました。そんな気にしなくても大丈夫ですよ。」

伝票にオーダー内容を記入していると「由紀恵」と太郎ちゃんが聞いて来た。

「今日、チャダって大丈夫だった?」

「うん。凄く動いてくれて滅茶苦茶助かったよ!」

「なら良いんだけど。」

そういや聞けないでいるけど、太郎ちゃんとチャダの関係って何だろう?

チャダと会う時は太郎ちゃん経由だし高確率で一緒に居る。

この間チャダは新さんのお姉さんとも聞いた。新さんと一緒の姿も見るけど、やっぱり太郎ちゃんは居るんだよね。

今回の相談時の同行者もそうだし、こうやって様子を聞いてくるのも太郎ちゃんだ。

最初は2人は付き合っているのかとも思ったけど、そんな雰囲気は一切感じ無い。寧ろ家族と言った方が感覚は近い。

「それではお待ち下さいませ。」

私が考えても仕方がない。その内、自然と答えが出てくるでしょうから、私も待ちましょうか。



「お待たせ致しました。」

「みんな!終わったよ!」

コーヒーと共に着替えを済ませたチャダと一緒に席に向かう。

「あ!チャダだけパフェ持ってる!ズルい!」

「それはチャダへのボーナスさ。古川君」

更にその後から恵子さんもやって来た。「久しぶりだね。」と4人に簡単に挨拶を済ませると

「新君のお姉さんって聞いたからね。知らない間柄でも無いから挨拶をしておこうと思ってな。急な申し出に感謝するよ。」

「此方こそ。姉が粗相をしていなければ…。」

「粗相じゃないんだけど、面白い話はあったな。」


13時を少し過ぎた位かな。

時々来るお客様で満席時に待たせると大声で文句を言う男性客がいるんだけど、今日も待って数分程してから「遅い」とか「まだか」と声を荒げ始めた。

偶々待合スペースを通ったチャダに絡み出して、チャダも「もう暫くお待ち下さい」等のお詫びも響かずいよいよ大吾さんの登場かってタイミングだった。

距離が男性客と近かったんだろう。「申し訳ございません」と勢いよく頭を下げたチャダの頭に男性客の体がぶつかってしまい烈火の如くに怒り出した瞬間、ふわっと男性客の頭からカツラが落ちちゃったんだよね。

静まり返る店内。全員その様子を見てるから次はどうなるのかと見守る中、チャダはそっとカツラを拾って満面の笑みで

「お客様、帽子を落とされましたよ!」


「そりゃあ店内爆笑拍手喝采よ。私もキッチンから見ていたけど久しぶりにゲラゲラ笑ったわ!」

恵子さんは何時もテンションぶち上げて笑ってますよ…。

しかし確かにアレは傑作だったわ。男性客はカツラを奪い取ると逃げる様に帰って行った。暫く、いやもう来ないかな。

太郎ちゃん達も各者各様笑い潰れてる。そう。チャダ以外はこんな感じだった。

「え?あれは帽子じゃないの?頭に被ってたよ?太郎違う?」

「そうだね。頭に被るのは帽子って俺は教えたな。」

そんな純真無垢な目で聞かれたらそう答えちゃうよね。無理も無いわ。

「そんな感じで明日も頼むよ。チャダ君。」

「はい!」

どんな感じなのか分からないけど恵子さんのマンネリは解消されたみたいだし、明日も楽しみだわ。

「それと山口君にもお願いなんだけど、ウチのHPをリニューアルしたいんだけど又制作をお願いしたいんだよね。大丈夫かしら?」

「良いですよ。又明日も来ますのでお時間頂ければ。」

「ありがとう!報酬の+αは今回もスイーツ年パスでいい?」

隠れメニューの一つ、スイーツ年パスを雷華さんが保有している理由はコレだったんだね。

「あ…それよりも今回はチャダの写真を36枚程撮影許可が欲しいです。此処撮影NGだから。」

そうだ。雷華さんはチャダがお気に入りなんだっけ。

雷華さんって寡黙なイメージだったから、以前チャダと一緒に会った時に意外な一面を見たと思ったもんな。

「山口君は相変わらず面白い男だねぇ。まあチャダがOKならね。」

雷華さんの癖が良くわかった所で私と恵子さんは笑いながら席を後にした。

翌日。雷華は予告通りに撮影しました。36枚程とはフイルムカメラをメインに使うのでフイルム1本分(36枚撮り)撮り切るつもり…ってか撮りきった。

2本目のフイルムで店内と由紀恵リクエストでチャダと一緒に撮影し、HP用はデジタル一眼レフで撮ってます。恵子さんを始め、関係者は終始ニヤついてその様子を見ていました。

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