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実家帰宅後、先ず玄関から始めた。

下駄箱を再度確認し、劣化してる靴は廃棄。大丈夫な靴は日陰干しをしている間に掃除、脱臭剤の交換、靴の片付け。床の掃き出し、モップがけ。

壁の隅に蜘蛛の巣が掛かっていて且つ埃が被っていたのではたき落とす。そのまま廊下を掃き出し、乾拭き、水拭き。

昼前に例の家事代行さんがやって来る。今日は訪問日だったんだな。中々のお婆ちゃまな方だったので、この家の美化向上に限界があったんだなぁと感じた。

簡単に挨拶して今日は風呂場・洗面所をお願いした。汚れが酷い所と幾つかポイント伝えて水回りはこれで良いだろう。

昼頃になるタイミングで一美ちゃんから「おひる」とだけメッセージがわざわざ届き、部屋までうどんを持って行く。だんだん血色良くなってきたと同時に「太郎、ロールケーキが食べたいわ」と我儘も復活してきた。(勿論、お断りした)

一美ちゃんの余り物で俺達もうどんを食べ、代行さんにも差し入れして一旦休憩。

そのタイミングで地方公演に出ていた次女の仁衣那ちゃんが帰宅。

「うわ。太郎がいる。」

「何なら俺、今帰ってもいいぞ?」

美人演奏者と最近テレビでも扱われる事が多い仁衣那ちゃんだけど、メディアには『華やかで丁寧で情熱的』と言われるが

「そう言うなって!太郎が可愛いから意地悪したくなっちゃうんだよ〜。あ、あーしもうどん作って!」

人の頭をぐしゃぐしゃに撫で倒しグリグリと頬擦りして来た。

仁衣那ちゃんは姉と言うよりノリは兄に近いであろう。

実の姿は『簡素で雑で情熱的』である。情の熱さだけは間違いは無いが後は世間様のイメージとは真逆である。

どん!と楽器を雑に置いて、どっかりとソファーに沈む姉の姿はドラマで見る残業三昧のサラリーマンと一致した。

「そーいや、一美、大丈夫?」

「ロールケーキ食べたい言われた。」

「なら大丈夫だな。ホラ、太郎、土産。」

どん!と置いた箱はどう見ても生菓子が入ってる系だが…扱いはそれで大丈夫なのか…?

「あーしの読みは凄いね!中身はロールケーキだよ!」

「はいはい。仁衣那ちゃんは何時も凄いね。冷蔵庫にしまうから、夕飯のデザートにしようね。」

仁衣那ちゃんのうどんも作って清掃再開である。

台所は昨日から片付けを始めたので此方もシンクの掃除、除菌のつけ置きを開始。

途中で仁衣那ちゃんも少し手伝ってくれたお陰で予想よりだいぶ進行した。

三久が学校から帰宅の頃、代行さんも今日は終了との事で挨拶をする。洗面所と風呂場を見に行ったら凄い綺麗にして貰ったのを見ると、この家の汚さは使う側に問題があるとも思えた。

風呂場を燻煙剤を撒き防カビ予防をして終了。今日は此処までかな。

「お兄ちゃん、夕ごはんは何〜?」

まだ片付けが終わって無いリビングで三久がお菓子を食べながら俺を見る。

「三久は課題とか無いんかよ。」

「後でやるもーん。それより進路の紙渡されたんだわ。」

ポンと放置されたままの通学鞄から一枚の紙切れを出してきた。そうは言っても三久も来月から高校3年生で進路を決めなきゃならない立場なのだ。

「私は楽器が嫌いだから、ちょろっと短大とか行って普通に会社員になれればいいなぁ。くらいなんだよね。」

「三久が良いならそれで良いんじゃないか?」

「パパやママや仁衣那ちゃんを見てると、音楽業界って大変そうだしね。友達は色々言って来るけど普通が1番。」

苦笑いの三久の言葉から昔の記憶を思い出す。

次女である仁衣那ちゃんはヴィオラの演奏者です。

当たり前ですが、ヴィオラもロールケーキも雑に扱ってはいけません。特別な訓練を受けてる彼女だから出来る技です。真似してはいけません。

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