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大雅の家に向かうとエンジン音が丁度止んだ自家用車を見る。
車から降りた大雅を見つけると声を掛けてみる。
「太郎!丁度良かった!」
此方に駆け寄ると大雅からぴょーん!とチャダが飛び出して俺のシャツにしがみついた。
「たろー!さみしかったし、ビックリしたよお!!」
「ビックリした?」
「ああ。僕の義姉さんだよ。産気付いて丁度病院に送ってきた所。もうお産になるからって入院になった。」
大雅のお姉さんってもう産まれるまでになってたんだ。もっと先の話とばっかり思っていた。
「そうか。大変なタイミングだったんだな。」
「先生の姉ちゃんはどうだった?」
「うん。過労と風邪だって。チャダ、遅くなってごめんな。」
「うん。」
「ビックリしたんだ。」
「うん。たいがのおねえさんにみつかったの。」
俺達以外に見られた事に驚いたのか?
「何かされた?」
「ううん。おにんぎょさんのマネしたからたぶんへいき。」
「そうか。」
「おにんぎょさんとおもわれて、たくさんはなしかけられた。あかちゃんがだいじ、うまくやれるか、だんなさんがいそがしい。でもたいがが、たくさんたすけてくれるって。」
まさかこのタイミングで大雅の素の姿が知れるとは思わなかったな。
「おねえさん。たいへんだとおもうけど、あかちゃんとげんきにかえってきてほしい。おねえさん、とてもがんばるひとだから。チャダたすけてあげたい。そうしたら…」
「そうしたら?」
「うまれるってなって、ビックリよ。」
察するにそのまま大雅と病院へ行く中、苦しむ妊婦とやや荒い大雅の運転でビックリって訳だな。
「後、俺達のやれる事は祈る事しか出来ないからな。寝る前に沢山お祈りするか。」
「うん。」
スルスルと胸ポケットの定位置にチャダは収まると此方を見上げて
「たろう。おなかすいた。」
「はいはい。焼きそば作ったよ。」
「ぐざい、なあに?」
「ギリギリの野菜と冷凍焼け寸前の豚肉。」
「わあい!ギリギリ!」
意味、分かってんのかな?でもチャダも何時もの笑顔に戻っているから良いか。
大雅も夕飯に誘うも「自宅待機を命じられたから」を理由に俺達は此処で別れた。
自宅キッチンに戻ると三久は食べ終わった後か、食器だけがシンクに残されている。自分の分をよそって自室へと向かう。
自室っと言っても高校時代まで使っていた机とベッドとタンスだけしか無くがらんとした部屋に入る。
机の上に焼きそば達を置くと、ポケットからスルスルとチャダが降りてきた。
「ここ…」
くるくると見回すチャダ。何か珍しいものでもあったのかな?ずっとキョロキョロとしている。
「どうかした?」
「ううん。たろうのいたばしょ?」
「ああ。高校まで俺が使ってた。みんな今の部屋に持ってったからデカい家具しか残ってないけどな。」
「ふーん。あ。ごはん。おなかすいたぁ。」
随分と話題の切り替えが早いな。
「好きなだけ食べな。」
「いただきまーす」と元気な声で麺や野菜やらをもりもり食べ始めた。俺も流石に腹減ったな。皿の端の方から摘んでいく。
「大雅の家はどうだった?」
「おしろみたいだったよ!」
でしょうね。この辺りじゃ大雅の家が1番デカいもんな。
中学生迄は良く遊びに行っていたから何となくしか記憶に残ってないけど、大雅の部屋からトイレまでが遠かった気がする。
「おかし、たくさんたべた!」
「何だ。ご馳走になってるじゃん。」
「いろいろあって、おみせやさんみたいだったよ!」
そういや俺も色々なお菓子デビューは大雅の家だったな。マカロンなんて初めて食べたのもあの家だったな。
「まぁ、退屈しなかった様で良かったよ。」
「でも…さみしかったよ…?」
「………うん。それは悪かった。でも何かあったら…」
「チャダはじょうぶだから、だいじょぶだよ。はなれてるほうが、だいじょうぶじゃないよ。」
「分かったよ。これからは預けたりしないからさ。」
えへへ。と嬉しそうに笑うな。チャダ。
お互い夕飯を完食しキッチンに戻ると、いつの間にか一美ちゃんの部屋に置いておいたお粥のお椀が戻っていた。トレイの片隅に処方された薬の包装ゴミがあったので安心した。
「おねえさん、だいじょぶだね。」
俺の言葉を代弁する様にチャダが呟いた。
以降は食器を洗い、再び簡単な片付けをして今日は実家へと宿泊となった。
大雅とチャダと義姉のお話は次回。
余談ですがこの後、太郎は大雅の所に焼きそばの差し入れをしました。




