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今俺は実家の敷地内へと足を踏み入れた。約1年振りだ。
三久のSOSにより自分の予想よりも早くに実家入りとなった。
『一美ちゃん…倒れて…昨日から熱っぽいって言ってたから…
お兄ちゃんどうしたらいい?』
慌てた感じからして冗談では無い様だ。
三久の話だと昨日から風邪症状が出ていて、学校から帰宅したらリビングで一美ちゃんが倒れていたそうだ。
多分今週末自分のピアノ教室の発表会を控えていたから少し無理をしてしまったかもしれないって話していたな。
とりあえず必要そうな物とチャダを連れて私鉄に向かう。
乗り継いで行く間に大雅にメールして様子を見て貰えるか確認しながら最寄りの駅に着く。
徒歩で20分程でデカい家が見えてくる。
「ここがたろうのいえ?」
「いや、コッチは大雅んち。俺の家は隣。この奥。」
「あ!太郎!!」
丁度玄関から現れた大雅が声を掛けてくる。
「悪いな。大雅。少し頼まれてくれ。」
「どうすればいい?」
「チャダを預かって欲しい。」
「たろう?」
不安そうな顔をしてチャダは此方を見上げる。
「もしチャダに病気がうつったら対処方法が分からないから大雅の所に一時避難をして欲しいんだ。姉達にバレても不味いし。片付いたらちゃんと迎えに来るから。」
「……………うん。わかった。」
小さな頭を撫でて大雅に託して実家へと向かった。
100メートルばかし歩くと自宅の門に辿り着く。
チャイムを押すと待っていたかの様に三久が鍵を開けてきた。
「お兄ちゃん!ごめんね。今日は代行さんも来ないし仁衣那ちゃんも仕事で地方だから…。」
制服を着たままの三久が困り果てた表情でいた。
「一美ちゃんは?」
「リビングのソファーで横になってる。どうしよう。」
「動けそうなら病院に行こう。今ならギリ診療時間内だから間に合う。三久はタクシー呼んであと制服から着替えておきな。」
リビングに向かうと久しぶりに見た姉の顔が赤く熱っている。これは熱があるかな。
「一美ちゃん?」
「………う…ん。」
「動ける?病院行こう?タクシー呼ぶからさ。」
「……ん…。」
少ししんどそうだな。とりあえず氷枕とか最低保冷剤とかそんな類いの物って無かったっけ?
使えそうな物を探しにキッチンに行くと、それは想像を絶するジャングルの様な荒れ果てたキッチンになってた。
待って。本当に家事代行利用してるの?それとも業者のクオリティーが最悪なの?俺の理想が高すぎなの?分かんない。
とりあえずキッチンの汚さは後でいいや。
乱雑に詰め込まれてる冷凍庫内から氷枕を発掘しタオルを巻いて一美ちゃんの元に戻る。
ちなみにタオルを取りに行ったランドリールームも食材探しにパントリーも中々な荒れ具合だった。後で全部やろう。
とりあえず頭を冷やして熱を計る。38.8°。高いな。
「お兄ちゃん、タクシーあと5分位で来てくれるって。」
「分かった。保険証って何処にあるか分かる?」
一通りの準備を終えた頃にタクシーが到着し、三久と共に自宅から5分位の個人病院へ向かう。昔から掛かってる医者なので以降は流れる様にスムーズに終えた。
過労と風邪。病院では点滴の処置が行われて、医者からは処方薬と熱が下がるまでは安静の指導があった。
再びタクシーを配車し帰宅。
一美ちゃんを部屋に連れて休ませる。着替えの手伝いは三久に任せてリビングに戻った。一美ちゃんの部屋も中々酷かったが、まあ此処は本人が元気になったら自分でやって頂こう。
先ずは明後日に親が帰国する前に家を何とかしなきゃならない。流石にこの荒地を両親に見せる訳にはいかない。
もう夕方だし病人もいるので今日はざっくりといる物・いらない物の分別をした。
そしてキッチン。夕飯作るにしても色々な物が置かれて何も作れない。
申し訳無いが自分が住んでた時と同じ配置にしてみる。代行さんが多少やってくれてたか、物を片付けて軽く埃を叩くと何とか収納スペースが確保出来た。
冷蔵庫も確認し期限切れは廃棄、ヤバそうな食材はフリージング、まだいけそうなのは夕飯、朝食に採用する。
冷凍庫もよく分からない物、氷山みたいな物は廃棄し、やはり使えそうな物は前出にして黙々と片付けてゆく。
「お兄ちゃん〜お腹すいたぁ〜」
「………三久も少しは手伝えよ。」
「病院行ってたから、学校の課題未だやってるもん。」
「まぁいいや。あぁ結構時間たってたんだな。家にあるもんで作るから待ってて。」
「はーい。」
焼きそばがあったからヤバい野菜達を全部入れて作ろう。それと同様に汁物も。あと一美ちゃんのお粥も炊くか。
そうだ。チャダを迎えに行かなくちゃ。ひと段落ついたら急に心配になってきた。
太郎の所だから不自由無く過ごしてそうだけど…。とりあえず夕飯作りに着手した。
放置するとこんな荒地になるから家事能力は爆上げになった。俺だけ。(太郎・談)




