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「結構、人来てるねぇ。」
商店街外れにあるライブハウスscreamは外れとはいえ私鉄から歩いて5分程、商店街逆側には地下鉄と大変立地の良い場所にあるおかげで知られている場所でもある。
場所だけじゃなくて出演しているアーティストもインディーズ界隈ではちょっと有名な人が数組、定期的にライブを行うので活気があるライブハウスなのだ。
いよいよイベント当日。俺達アカシャグマにとっては久しぶりに人前での演奏を控えている。
「そういや鳰君に会ったからお土産渡したら笑われた!」
鳰君とはソロアーティストで「nio」名義で活動している人なんだけど噂ではレコード会社数社から声が掛かっている今身近で知る1番メジャーに近い人だ。今日の客入りが多いのも鳰君目当ての子なんだろうな。
と言うか、未だお土産配り歩いてるのか?大雅は。
「で、お土産は何渡したの?」
「カホン!」
また中々迷惑なお土産を渡したなぁ。そりゃあ笑うだろ。一歩間違えたら嫌がらせレベルじゃね?でも鳰君ならカホン使いこなそうな気もしないでもない。
「そろそろ時間だね。雷華、僕達って何番目だっけ?」
「6組目。割と後半の方だね。」
客席側から聞こえるざわめきと此方側のテストで流れる緊張した楽器の音達が交差している。演者側はタイムスケジュールがあるので割とタイトな動きがあるけど、この忙しなさが自分の出番で無くても胸が一杯な気持ちになる。
「そろそろでばん?」
にょっと胸ポケットからチャダが少しだけ頭を出した。
「まだまだ。」
「あとどのくらい?」
「1時間半くらいっかな。音、煩くないか?」
「うん。なんかいつもとちがくて、わくわくする。」
わくわくするか。確かにこの久しぶりの空間にワクワクを感じる。やっぱり音楽はこんな楽しみを何時もくれるものだ。
「チャダ、違うバンドも見てみるか?」
「うん!」
俺等は客席スタンディング側の後ろの隅っこに移動して開始時刻を待っていた。
店内に掲示されてた出演者を見ると知ってる人達とはじめましての人達と半々って所だなぁ。1年ライブやっていないとちょっとした浦島太郎の気分である。
18時少し。トップバッターのギターが響き渡る。
出演者がいればいるほどそれぞれの個性やカラーがあって勉強になる。あのバンド歌詞の遊び方が上手いなとか、パフォーマンスにはこんなやり方があるんだとか良い刺激になる。
俺は余りやらないが、MCが本当上手くないので特に参考にしてみたりする。ウチは大雅と尚典がMC担当なので余り困らないけど、どうにもコレが苦手なのは自分が1番良く分かってる。
そして意外なくらいにチャダは顔を半分だけ出してジッ…とステージを見つめている。集中してる様だから話かける事はせず、俺もステージに集中していた。
ライブ中のMCは8割は大雅と尚典の掛け合い。太郎は2割程話し雷華は必要な時以外は発さない。
単純に太郎も雷華も口下手が理由だが、特に雷華は特殊な嗜好を持ち合わせてる為、話す事でイメージが崩れるから敢えて話さない。
その為か雷華がMCに参加すると(色々な意味で)ざわつく。




