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夕飯を済ませて片付け、再び防音室に入り先程選んだ曲順で演奏して最終チェック。MCも入れてほぼ20分で落とし込めたのでこれで決定となった。


「此処まですんなり決まったの初めてじゃね?」

防音室内の片付けをながら大雅が呟いたがその通りだ。

喧嘩迄にはならないが、やりたい曲は皆んなそれぞれある訳だから特にイベントの短い枠の時は小さな衝突はどうしてもある。

「ラブソングっぽい曲が少ないからな。俺達って。」

「逆に選び易かったんだよねぇ。」

「ねー!」

すっかりメンバー面しているなぁ。チャダ。

俺の場合、チャダの反応を見て頷いた事は未だ黙っていよう。

「曲のバリエーション、まだまだ増やしたいな!」

「がんばれ!たいが!」

全体のモチベーションが上がっているのは良い兆候だ。

良い思いは良い作品を産むと俺は思ってる。

「ジャンルに捉われずに色々やれたら面白いよね。」

「たかのりのきょく、もっとききたい!」

何だか随分持ち上げるなぁチャダ。まぁ褒められて嫌な人はいないからな。婆ちゃんが生前良く言ってて何やっても褒めちぎってくれたわ。

「チャダ、俺も褒めて?」

「らいかかっこいい!」

君は自ら欲しがるのかい。最近俺の中の雷華像が少しずつ崩壊し始めてるよ…俺自身は面白いから止めないけど、ファンの前では控えてね。

「たろう!」

「うん?」

「チャダね、たろうのきょくがいちばんすき!」

いきなり面と向かって言われると中々恥ずかしいな。

突然の発言に上手い返しが見つからなくて「ありがとな」と簡単にしか言えなかった。


時計を見ると意外と深い時間になっていたのでもう休むかと話になったが、結局居間で他愛のない話が続いていた。

偶々流れていたTV番組をネタに、そういや風呂はどうするかと入る順番を決めるジャンケンをして負けた俺は4番目で風呂掃除の仕事付きで恐らく別荘最後の仕事をこなした。

流石に日付けが変わる頃には解散し、それぞれ割り振られた部屋で休む事となった。



「くらいね」

ややウトウト眠そうな顔でチャダは窓の外を見た。

遠くには小さな灯りがポツポツとまばらに見えて、多分そこは賑やかな場所なんだろうな。

「カーテン閉めるよ。今日はどう寝るんだ?」

何時もチャダは鳥サブレ缶内かアニマルバニアの2階だが、生憎両方共とも自室に置きっぱなしである。

ズルズルと俺の肩からTシャツを掴んで滑り落ちると、布団に着地してそのまま寝転んだ。

「ここでねる」

「待て。俺はどうするんだよ。」

「いっしょにねるの」

大雅ほど豪快な寝相では無いからチャダを押し潰したりする可能性は低いんだけど、考えたらそれしか無いか。

そのまま布団に潜り込むとひんやりとした感触の中、鎖骨辺りに暖かさを感じる。チャダだな。ピッタリとくっついつきた。チャダってこんなに暖かかったっけ。

見下ろすと微睡んだ表情でチャダはえへへと笑い

「たろう、すごいあったかいねぇ。」

そっちの方が暖かいと思うけどな。

「くっついてねるの、きもちいいねぇ。」

暫くすると何時も聞く規則的な寝息が聞こえてきた。0時を回って何時もより遅い就寝時間だから当たり前か。

この数ヶ月一緒に過ごしているから誰よりも懐かれているのは分かっている。


だけど


だけど、チャダが発したセリフは彼女に言われたかったなぁ…相手はいないんだけどさ、チャダが嫌な訳では無いけど人じゃなんだよ。人間の女の子がよかったんだよ。ちょっと複雑な気持ちで目を閉じた。

大雅に比べて太郎は恋愛経験はミジンコ級です。

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