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大雅の強い希望で間欠泉の代わりに身曾岐神社へお参りしつつ食材の買い物へと出掛けた。
少し遠回りをしたは先にある神社は思ったより広くて綺麗で、本殿以外にも色々あって行ってみて良かった。
能楽殿は見た事ある場所だと思ったら有名な場所らしい。
その周りは池になっていて、大雅とチャダが鯉に餌を競う様にあげていた。
「俺、2のつく日の火祥神事っての気になる。」
そんな雷華の一言でメンバーそれぞれ祈願木を納めて神社を後にした。
「近いから逆に中々行くタイミングなくてさ。良かったあ!」
どうやら大雅本人は大変満足な様子だ。
帰りに安産御守りを買っていてたから、義理の姉用で欲しかったのもあるんだろうな。
「此処って軽食食べれる所もあるんだねぇ。もう陽が傾いてるから寄れないけど、寄ってみたかったなぁ。」
「チャダ、あんみつがよかった!」
「ほら!僕が行きたいって言って正解だったっしょ!」
どうやら全員有意義な時間を過ごして神社を後にした。
車を少し走らせて最寄りのスーパーに寄り、別荘に到着する頃には陽のオレンジと夜の紺が組み合わさった空の色のだった。
稲垣さん家に明かりが付いていたので手土産を持って伺うと、元気そうなご夫婦の話をしていたらすっかり陽は沈んでいた。
「稲垣さん元気そうで良かったねぇ。」
お話が途切れない奥様の相手をしていた尚典は特に大変だったかもしれない。本人曰く、そういう役回りらしい。
「大根無茶苦茶貰ったけど、今日はキーマカレーだからなぁ。まぁ次回以降の俺んちの夕飯は暫く鍋だな。」
皆んなに数本持ち帰って貰っても中々な数だ。帰ったら保存方法を探しておくか。
キーマカレーは野菜さえみじん切りにしてしまえば時間掛からずに食事は完成するので料理の手伝いを尚典に頼んで、布団の取り込みや風呂の準備は大雅と雷華と動いて貰う。
「尚典は料理できるから本当助かるわ。」
「渚ちゃんが居ないとオイラがやらなくちゃならないからねぇ。太郎ほどじゃないよ〜。」
従姉妹と2人暮らしの尚典にはやや複雑な家庭環境があるのはざっくり聞いている。
彼の両親が小学生時代に他界して以降はずっと父方の従姉妹にあたる新渚さんが引き取って生活を今までしているそうだ。
一見本当の姉弟の様に見えるが、親しくなってから実はそうじゃなかった話を聞いた時は心底驚いた。
「来月からね、時々書かせて貰ってた音楽雑誌でコラムの連載を貰ったんだよね。とりあえず1年間。WEBライターの仕事も安定してきたし、そろそろオイラも自立しなくちゃならないんだよね。」
「ああ。そうなんだ。」
「渚ちゃん、職場で良い人がいるみたいだしオイラがいたら上手く行く話もいかないでしょう?数年前にもそんな事があってダメになったからさ。嫌なんだよね。」
普通に渚さんは美人に括られる容姿の持ち主だからな。適齢を迎えた女性に良縁があっても何ら不思議な話では無い。
「やっぱりさ、幸せになって欲しいんだよ。オイラと一緒が幸せって言ってくれるけどね。その幸せは多分ちょっと違うと思うんだよね。」
正月に大雅が突然の職業・アーティスト宣言にすぐ乗っかっていたけど、そんな考えがあったのかなぁ。と振り返る。
「みじん切り出来たよぉ!」とザルに刻まれた野菜たちを渡す調子は何時もの尚典と同じだった。
「たかのり」
キッチンカウンター上で小規模な探検に出ていたチャダが俺達を見つめている。
「おねえさんは、ちゃんとしあわせになるのよ。」
「うん?チャダは何か分かるの?」
「うん!え…あ………たぶん…。」
随分と曖昧な返事をしたな。これは流石に励ましにもならないぞ?でも尚典は違かった様で
「チャダ、ありがとうね。オイラもそう思うよ。」
グリグリと尚典の大きな手でチャダの頭を撫でくる。そんな彼の笑顔は嬉しそうな表情だった。
身曾岐神社は本当良い場所です。
あと、大根は冷凍しましょう。凍結すると細胞が壊れて味が染み込みやすくなります。
併せてお知らせです。
来年(2024年)から週2更新になります。次回は1月1日で、月・金曜日に更新となります。来年も宜しくお願い致します!




