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「やま!!やっほーだ!」
小高い位置にある別荘からは富士山が飛び込む様に見える。
以前にも1度矢張り合宿でこの場所に来た事があるから分かってはいたけど、改めて凄い立地に家が建ってるなぁと景色を眺める。
「すごいしろいね!」
「雪が積もってるんだよ。あの山はこの国で1番高い富士山って言うんだぞ。」
「しろいのが、ふじさん!」
目的地には昼下がりの時間帯に無事到着をした。
途中談合坂辺りで煽り煽られてる車と並走し一瞬此方も追われて焦ったが、尚典が通報してくれたので以降は警察が対応してくれてるだろう。しかし本当にあの世行きにならなくて良かった。
先ずは各部屋の窓を全開にして換気を行った。年末に利用してからは年内訪問は初めてだそうだ。空き家特有の匂いが確かに感じる。
「2階はこんなもんかな。よし。次は水道管見にいくぞ。」
「すいどう?」
「この辺りは氷点下になるから水道管が凍ったりするんだよ。故障の原因にもなる。まぁ、大雅の親父さんやお兄さん達なら水抜きしてるだろうから大丈夫だと思うけどね。」
「へー。よくわかんないや。」
「うん。まぁ寒冷地に住まない限りは必要無いんだけどね。」
「かんれいち?」
「寒い所って事だよ。あ!雷華!終わったら次掃除機貸して!」
階段を降りて居間で掃除機をかける雷華に声を掛ける。
「もう終わる。」
「そういや大雅と尚典は?」
「大雅は庭見に行った。尚典は何か電話してる。」
轟轟と響いた掃除機を止める。
「1階はこれで良いと思う。2階、手伝うよ。」
「助かる。掃除と…ああ、あと布団も風にさらしておきたいかな。終わったら食材買いに行かないと。冷蔵庫はやっぱり酒しか入ってなかったから。」
掃除機を受け取り再び2階へ戻ると客室3部屋の掃除を始める。雷華が布団を手伝ってくれたおかげで清掃は短時間で完了となった。
道具の片付けを済ませて大雅達の様子を見に庭に行く。玄関先で丁度通話を済ませた尚典を見つけた。
「随分長電話だったな。」
「うん。警察からでね、さっきの件だよ。話と明日以降で良いから雷華が撮ってた動画を提出して欲しいんだって。帰りに上野原に寄らなきゃならなくなっちゃった。」
「そっか。分かった。」
簡単な雷華と尚典のやりとりを見ながら思い出す。
そういや大雅が帰りに少し足伸ばして間欠泉見たいって話をしていたけど無くなりそうだな。
スケジュール的に宿泊は今日のみで明日には車も返却しなくちゃならない。高速使っても良いけど、まぁ色々考えたら諏訪湖は無理だな。仕方がない。
尚典も引き連れて庭先に向かうと大雅が木々の方を見据えている。何かあったか?
「大雅、何かあったか?」
俺の声に反応し、ゆっくりと此方を見た。
「ん?………ああ。」
「大雅〜どした?大丈夫?」
歯切れの悪い感じの返事。異変があったのか?
「……………うん。大丈夫。大丈夫。」
余り大丈夫には聞こえないんだけど、大雅がそう言うならここは信じよう。
大雅にも警察の件を伝えると既に何時もの調子で「まじか!又諏訪湖行けないんか!」とがっかりしていた。
ちなみに前回はこの別荘から少し離れた稲垣さんと言うお爺さんを道中助けて、御礼と称してご馳走様になった為に中止になったんだっけ。そこで食べたお赤飯の甘さに驚いた事を覚えてる。
とりあえず気にするのはやめるか。何かあれば大雅から言ってくるだろう。
「たろう?」
「どうした?チャダ」
「………たいが、だいじょうぶかな?」
「アイツが大丈夫って言うなら大丈夫なんだろ。」
「うん。」
チャダまで何だか歯切れの悪い返事をしている。何かを感じているのか大雅を心配しているのか。
「………おゆがふきでるの、みたかったかも。」
お前も間欠泉かい。俺の中でそんなツッコミだけ横切った。
ただただ甘い赤飯は衝撃的だった。




