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18

時は2月8日土曜日の10時。晴天なせいか、乾いた北風が身に染みる。

漫画とかドラマで見る合宿って夏とか秋が定番じゃないっけ?合宿に決まりは無いんだろうけど、こんな極寒の中で荷物を積みながらワクワクさを一切感じない合宿は初めてだ。

レンタカーで山梨県に向かい、そのまま古川家の別荘の点検兼合宿をする流れになっている。今回は点検名目がある為、古川家より出資があり自己負担が少ない合宿となる。

前泊していた大雅と共に部屋を出発。地下鉄駅前でレンタカーに乗り先ずはライブハウスscreamへ。小さなドラムセットを借りたので積み込み、その足で雷華を拾う。商店街から一駅程走ると尚典の家があるので向かう。

従姉妹の渚さんも見送りに出ていて、道中に食べるお菓子や飲み物を沢山持たせてくれた。

以降は首都高に乗り横浜新道、東名、圏央道、中央道と一路、山梨県目指す。こんな具合だ。


「何時も渚さんは差し入れくれるよね。」

ウチの姉達とは天地程の差があるな。そして毎回の事だから俺達の好みも把握済みだから渚様々である。

「何かお土産買ってかなきゃだね。」

「山梨って名物は何だろ?」

「ほうとう?信玄餅?果物?」

「この時期に果物は無いんじゃね?」

「じゃあ物?ペナントとかは?」

「家族として言わせてもらう。それはやめて。」

取り留めの無い話を繰り広げている中、何時もの胸ポケットからひょいっとチャダが顔を出して来た。出発の時点では寝ていたので、そっと連れ出したのだった。

「………あれ。なんか、みんないる?」

「今日から合宿だからね。皆んな明日の夕方迄は一緒だよ。」

「あ!いっしょにれんしゅうするやつ!」

「そうだよ。」

わあい!と喜びを全身で表現する姿を見ると、こんな成り行きでも合宿をやって良かったかもしれない。

チャダは特に練習する事は無いのだけれどね。まあ良いか。


海老名サービスエリアにて休憩と運転手交代。

メンバー全員が運転免許所有している為、交代が可能である。

ここまでは俺の運転で来たけど、次のドライバーは目的地迄となる為、大雅がハンドルを持つ事となった。

「目的地は北杜市!あの世が目的地にならない様にするね!」

当たり前だ。さらっと怖い事言い出したよ。


別荘とは言っても普通の一軒家で、別荘地の様に誰かが管理をしている訳でな無い為、時々家族の誰かが様子を見るらしい。

どんな事をするのか事前に調べたら通常の掃除の他に水道管のチェックや部屋の換気と不審物や投棄物のチェックと書いてあった。人が住まないと湿気が溜まるそうだ。初めて知った。

海老名を出て暫くすると山々が見え始め、都心から離れた景色が見えてくる。

チャダは終始「わー」とか「すごー」など声をあげてお菓子を食べながら流れる景色を楽しんでる様だ。

「でんしゃとはちがうんだね。すごいね、くるまって」

そうか。バンド活動時は地下鉄は俺と一緒に乗ってるし、景色なんて無い乗り物だから新鮮なんだな。様々な事が新しく感じるって感覚が余り少なくなる頃だから、羨ましいな。そんな思いを並べながら車は山梨県内へと入って行った。


余談ですが各自好みのお菓子は


・太郎→マカデミアチョコ、ラングドシャ(姉の影響)

・雷華→チョコパイ、芋けんぴ、さきいか(父の影響)

・尚典→何でも食べるが強いて言えばナッツ類(有塩で)

・大雅→ヤ◯ヤ◯つけボー(本人曰く、ご馳走)

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