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ローザ:終わりはマスターと一緒に!!

ローザEND

 少年と少女は特に何も無い空間にいた。二人とも相手を見据えている。


「何で相談しに来たらこんなことになるんだ?」


「マスターがマスターであるためにです。」


 少女を電話で呼んだ少年だったのだが逆に呼ばれたのであった。そこは意外なことに彼らが一度来たことのあるトイレの地下だった。


「・・・・とりあえず、マスターを本気で撃ちます。」


 高らかに宣言し、少女は既に人の腕ではないそれを少年に向ける。少年は黙ってそれに呼応するかのように右腕にどこから取り出したのか知らないが透明な盾を取り出した。簡単な勝負となりそうである。


「いきますよぉ!!」


 少女はその鋭くとがった龍の爪のような先端部分からゴム弾を発射し始めた。

少年はその射出された速さに当然のように反応することが出来ないが盾の後ろに体を画することぐらいは出来る。この勝負は簡単なものだった。少女の射撃性能が少年の盾を上回っていれば打ち砕きそのゴム弾は間違いなく少年に当たるだろう。そして、少年の盾が少女に完璧に近づくまで待てばそこで少女の負けは確定するのだ。


「へっ、そんくらいで負けるかよ!」


 少女に“マスター”と呼ばれている少年は珍しく目が輝いていた。それはただ単に久しぶりに燃えていたからである。

どんっ!どんっ!と音が続き、それをはじく音も聞こえてくる。そして、少年の透明な盾にもひびが入った。


「もらいました!!」


 正確無比な射撃により一点のみに絞られいた弾丸はようやく役目を果たすべく最後の盾を打ち砕く。だが、少年は既に次の行動に移っていた。盾を壊すことばかりに気を使いすぎていた少女はそれに反応するのが遅れてしまった・・・・


「もらいぃ!!」


「きゃぁぁぁ!!」


 少年は地をすべり、彼女の足に飛びつき、後ろに倒す。後ろへの衝撃に少女は足をつかまれているため踏ん張りも効かずにそのまま倒される。そして、勝負は少女の負けで幕を閉じたのであった。


「・・・あいたたた・・・・。」


 後頭部をさすりながら少女は上半身を起こす。


「ほら、手貸してやるからたてよ。」


 少年は手を出して少女をつかませる。少女はそれに従い、おとなしく立ち上がる。


「むぅ、私の勝ちじゃないんですか?」


「いや、倒されたお前の負けだろう?」


「でも、とどめは刺されてませんよ?」


 負けず嫌いな性格なので少女はなかなか引き下がらない。


「はいはい、お前の勝ちでいいよ。」


「やった!負けた人は勝った人の言うことを聞かなくちゃいけないんですよ!!」


「なんじゃそりゃ?」


 少女の急な命令に少年は嫌そうな顔をする。少女はかなり悩んでいるような顔をして少年に尋ねる。


「あの、マスター・・・呼び名、変えてもいいですか?」


 叱られたような表情でおずおずと尋ねてくる少女を見てよからぬ想像をしていた少年は笑う。


「ああ、いいぞ。」


「それならパーフェクト・マスター零時・・・略して“PM零時”って呼んでもいいですか?」


「ダメだ!!お前、バカにしてるだろ!!」


「うう・・・そんなぁ・・・・そ、それならアクティブ・マスター零時・・・・略して“AM零時”ってどうで・・・」


「ダメに決まってるだろう!!」


「・・・・じゃ、最後にスペシャル・マスター零時を略して・・・」


「それも却下だ!!お前、いい加減にしないと解体するぞ?」


 少年の表情はどんどん険悪になっていく。その表情を見て自分のマスターがどれほど怒っているのかようやく理解した少女は表情に影を落とした。


「零時って呼べばいいだろ?」


「えっ!それならマスターではないような気がします!!」


「・・・・じゃ、とりあえずさん付けからはじめたらどうだ?」


 少女はその一言が自分の世界を少しばかり壊したような気がしたのだが恐れず一歩を踏み出した。少女にとって少年はそれだけ高いところにいて自分の手の届かない場所にいるのではないかと思っているからだ。


「れ、零時・・・さん。」


「ん、合格だ。」


 少年はそういって自分よりも背の低い少女の頭をなでる。少女は顔を珍しく真っ赤にして目を伏せる。


「マスター・・ではなく零時さんはてっきり私にとってとても高い位置にいる人だと思ってました。」


「?なに言ってんだ?俺はそこまで高い身長じゃないぞ?」


「違います。そういうことじゃなくて・・・私は零時さんの隣にいるだけの存在だと思ったのです。それだけでも構わないのですが・・・今、ようやく私は零時さんの隣に本当に立てたような気がします。」


 少女はそういって顔をあげた。感情豊かな機械が涙を流しても少年は不思議そうな顔をしない。


「ははっ、どういう意味かわかんねぇけどさ・・・ローザのマスターがそれでいいって言ってんだからそれでいいんだろうよ。それに、今までだって俺はお前と対等だと思ってたぞ?そうだなぁ、友達って感覚だった。」


「でも、私的には上と下でした。」


「・・そうかい、それなら今日からそれもなしなんだろうなぁ・・・。」


 少年はそういってなでる手を止めた。そして、少女を見る。


「・・・ローザ、お前が隣にいてくれるなら俺はうれしいぜ。」


「・・・私もです。あの、昔話を少ししてもいいですか?」


「ああ、構わない。」


 少女は自分の事について少年に告げた。自分が試験的な役目をおっており、作られた当初は何も出来ず、なかば失敗作に近かったことを・・・・そして、感情が生まれたと言うことを・・・。


「ま、今もあんまり出来てない気がするけどな?」


「ひ、ひどいです!!」


「冗談だ。でも、お前はがんばって今のお前になったんだろう?それならそれでいいんじゃないのか?」


 手を乗せられている少女はそういう相手を見てたずねた。


「いつか・・いつか私を完璧にしてくれますか?」


 その問いに少年は笑って答えた。


「俺には出来ないね。だけどな・・・・俺は中途半端で元気なお前が好きだ。」


 ごまかすように頭をなで、少年はそのまま少女を抱きしめた。


「ローザ、これからも俺を守ってくれよ?」


「も、勿論です!私、どんなことがあっても・・・・守ります!!」


 少女はそういって体から湯気を出したのであった。それを見て少年はうれしそうに微笑み、更に力を入れたのであった。


「マスター・・・痛いです。」


「ああ、すまん。」


 そういって少女から離れようとした少年に少女は再び告げた。


「零時さん、もっと強く抱きしめてください。」


「・・・わがままだな。」


 少年はそういいながらも実行したのであった。そして、少女は幸せそうに目を細めたのであった。


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