ノワル:終わりは暗闇の中で!!
ノワルEND
豪雨が降り、外は真っ暗であった。学校の屋上には夏休みなのに二人の高校生が立っていた。片方は壁に引っ付いて震えており、もう片方はそんな真っ暗な世界を見渡している。
「うう、あいつがでてくるんじゃないのか?」
「大丈夫だって!」
震える少年の両手を握り、少女は苦笑しながら安心させるように告げたのであった。
その日の朝から少年は彼の苦手としているお化け屋敷なるものを三件ほど回っており、すでにグロッキー状態である。
それもこれも少年のお化けに対する恐怖を克服させる為である。
怯える少年を笑いながら励ましてここまでやってきた。
そして、彼のトラウマの元凶である学校の屋上へとやってきたのであった。
それまでは明るかった空は一転し、屋上に出た瞬間に豪雨が振り出した挙句に空を深夜のように闇に変えたのであった。目が慣れていない少年には何が起こっているのかさっぱりわかっていない。校舎内に戻ろうとしたのだがなぜか扉が開かないのである。因みに、それは少年が外側にしか開かない扉を内側におしまくっていたからである。それには全く気がついていない。
「ほら、立って?」
「うう、無理だ。」
その場に座り込み、少女のふともも部分にしがみつき、少年は再び震えだしてまた少女は苦笑する。
「はぁ、零ちゃん、怯えすぎだよ。」
「・・・・・いや、怖いものは怖いんだ。」
少女の太ももにしがみついて少年は少女を見上げて真顔で言った。なんだか開き直ったような感じを漂わせる。
「全く、ちょっと立ってくれない?」
少女を軸にして少年は必死に立ち上がる。半ば抱きつくようにして少年は立ち上がることが出来た。だが、足はがくがくである。
「立ったぞ?」
「OK・・・。」
少女がそういうと同時に彼女の後ろから白刃が振り落とされたのであった。それまで震えていた少年はその白刃をとっさに右腕に魔力を込めて受け止める。
「・・・くっそぉ!!不意打ちか!!」
「・・・・。」
相手の姿を確認することは出来ない。未だ目を完璧に慣らす事が出来ていない少年は白刃を持った相手を突き飛ばす。
「ノワル、怪我してないか?」
その姿を見て抱かれている少女は答える。
「当然、零ちゃんが助けてくれたから怪我なんてしてないよ?」
「だけど・・・また、あいつが?ええと、あのドレスの少女が連れて行ったかと・・・」
先ほどまでの情けないところはなくなっており、猫に狙われた絶体絶命のネズミみたいな表情になっている。つまり、端的に表現するならかっこよくなっていた。(たとえを間違えた感じが否めない)少女に話しかけてはいるがそのまなざしは白刃を持つ相手へと注がれている。そんな少年に少女は答える。
「何だ、零ちゃんは普通にしていればかっこいいのにな・・・。」
少女はそういうと指を鳴らした。すると、白刃は消え、豪雨はやんだ。だが、闇はそのままである。少年は相手を見失って少しだけ気を抜く。
「ノワル、一体全体どういうことだ?」
「演技だよ?どうだった?」
「え?」
少年は呆けた言葉を出して左手でしっかりと抱きしめている少女を見る。
「ほら、荒療治だよ。ね、治ったでしょ?」
「・・・つまり、俺を騙したと?」
「人聞きが悪いなぁ・・・それってどういうこと?私が零ちゃんを騙したことってあった?」
「いや、なかった気がする・・・?」
「私、犯罪起こしても嘘つかない自信あるよ?」
「質問だがあなたは過去に誘拐を実行したことがある。」
「NO!」
「・・・ノワル、俺とお前が会ったのはどこだった?」
「出会ったら必ず結ばれるといわれている校舎の裏に生えている桜の木(通称:イグドラシル)だったかな?」
「違うぞ?」
「ええと、出会ったら必ず抱きしめられる校舎のしょぼい噴水?」
「それも違う。」
「それならどこだったっけ?」
「答えはお前が俺を誘拐しにきたときだ。」
「そうだったけ?」
少女は首を傾げて惚ける。少年はため息をつき少女に尋ねる。
「ノワルは記憶力が無いのか?」
「過去のことは気にしない♪気にしない♪過去に縛られているのならそれは嘘だよ♪だって、私は今こうしていられることが嬉しいからね♪」
微笑む少女に今度は少年が苦笑する立場になるのであった。
「はぁ、やれやれ・・・・。」
うれしそうな相手を非難するようなことができない性格の少年は途方にくれるしかないのであった。面白いと思ったことには笑い、面白くないと思ったときははっきりつげる少女に少年はただただ振り回されるだけであった。
「零ちゃん、私のこと好き?」
「ああ、好きだぞ?」
「友達として?」
「うん。」
「じゃ、恋人としては?」
「・・・・まぁ、な・・・でも、嘘つくときは嫌いだ。」
そう告げた少年に少女は呟く。
「だってさ、素直で騙されやすい性格の零ちゃんが他人に騙されるのは嫌だから私が先に騙しておいて他人に騙されないようにしてあげるんだよ?」
「そりゃどうも。」
少年はそんな少女の考えに理解できなかったのだが自分の事を考えてくれているに気がついた。そして、暗闇の中二人はようやく屋上を後にしたのであった。




