第22話「またみんなで」
「お腹空いたー!」
美琴が真っ先に売店へ向かった。
「泳ぎ過ぎなんだよ」
「海は体力使うの!」
結局、 焼きそば 、フランクフルト 、かき氷、 ポテト。
テーブルの上がすごいことになった。
四人はいただきます、と言って食べ始めた。
「すごい量だね」
「全部食べられるの?」
夜咲は感心した。
「もちろん」「余裕です」
美琴はもぐもぐ食べている。
「焼きそば美味しい……」
「凛も沢山食べなさい」
「うん」
「フランクフルトにかぶりつく」
「あむっ」もぐもぐもぐ。
「ははっ」
「小動物みたいだな」
柊が笑った。
「うるさいわね」
「黙って食べなさいよ」
凛はもぐもぐ食べている。
「美味しそうに食べるね」
夜咲は笑った。
「食べにくいです」
恥ずかしそうにしつつ、焼きそばもぺろりと食べた凛。
「流石凛!食欲旺盛ね♥」
「褒めてないよね?」
「男子二人も食べないとなくなっちゃうよ?」
「普通逆じゃね」
「外で食べると、いつもより食べ過ぎちゃうの」
「それはよかったな」
四人は、外ご飯を満喫した。
気付けば紙皿は空になっていた。
さっきまで騒がしかったテーブルも、もう片付ける時間だ。
「そろそろ行く?」
「もう?」
と、思わずそう言ってしまった。
それだけ今日が楽しかったのだ。
(あっという間だったな)
帰りの電車。
美琴はぐっすり寝ていた。
「完全に電池切れだな」
柊が呆れたように言う。
「朝から騒いでたものね」
凛は少し笑った。
「でも楽しかったです」
夜咲先輩が頷く。
「またみんなで遊びたいね」
その言葉だけで胸が少し高鳴る。
「はい」
「先輩は疲れてないんですか?」
「ふわぁ」
「疲れたよ」
夜咲はあくびしながら言った。
「そうですよね」
「朝早かったですから」
凛も少し眠くなってきた。
車内は静かだった。
美琴はすでに寝ている。
柊も窓にもたれて目を閉じていた。
「珍しい」
「珍しい?」
夜咲先輩が聞く。
「柊が寝てるの」
凛は何となく隣を見る。
いつもより少し赤い横顔。
たくさん遊んだからだろうか。
「遊び疲れたんじゃないかな」
夜咲先輩が笑った。
その寝顔を見て、凛は少しだけほっとした。
眠くなるくらい楽しかったんだ。
そう思えたからだ。
電車が揺れる。
窓の外では夕焼けが流れていた。
今日一日を思い返す。
海。
ビーチボール。
アイス。
四人で撮った写真。
どれもいい思い出になった。
こんなふうに誰かと笑い合った夏は、初めてかもしれない。
夏休みは、まだある。




