表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『かかって来い、私の初恋!~』 『これが恋だって、気づかなかった。』   作者: 季波


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
21/39

第21話「見慣れた横顔」

「綺麗な海だー!」

美琴が真っ先に走り出した。



「美琴待って!」

凛も慌てて追いかける。



波打ち際。

足が海水に触れた瞬間。

「冷たっ!」

思わず声が出た。



「気持ちいいー!」

美琴はそのまま海へ突撃する。



「元気だな」

柊が呆れたように言った。



「夏の海だからね」

夜咲先輩は笑っている。



その時だった。

バシャッ。

「きゃっ!」

凛の足元に水しぶきが飛んだ。



「美琴!」

「やったわね」


「えへへ」



「お返しよ!」

凛も海水をすくう。

バシャッ。



「冷たーい!」

砂浜に笑い声が響いた。



しばらくして。

四人はビーチボールで遊んでいた。



「真白さん!」

夜咲先輩がボールを上げる。



「はい!」

凛は飛び付く。

「わっ」

足を取られた。

体が前へ傾く。

転ぶ。

そう思った瞬間。

腕を掴まれた。



「危ない」 顔を上げる。



夜咲先輩が少し心配そうな顔をしていた。

「怪我してない?」



「だ、大丈夫です」

心臓がうるさい。

「ありがとうございます」

慌てて離れる。



すると。



「だから無理するなって」

反対側から声がした。 柊だった。

「見てて危なっかしいんだよ」



「なによ」



「事実だろ」



「砂浜だったからだし」

「いつもならこうなってないわ」

むっとする。



「お前、自分で思ってるより周り見えてないし」

「普段の道でも、転んでただろ」



「そんなことないわよ」

「転ばないわよ!」



「どうだか」



「失礼ね!」



柊は小さく肩をすくめた。

「まぁ、怪我してないならいいけど」



なぜか、いつものやり取りに少しだけ安心した。



昼過ぎ。

四人は売店近くのベンチで休憩していた。



「生き返るー」

美琴がアイスを頬張る。



「遊び過ぎなんだよ」

柊が言う。



「だって海だよ?」



「そうだけど」

「最後まで体力持つのか?」



「海が私を呼んでるの」



意味が分からない。

柊は呆れていた。



夜咲先輩は笑っている。



その光景を見て。

凛もつられて笑った。



「写真撮ろうよ!」

突然、美琴がスマホを取り出した。



「え?」



「記念!」「写真撮ろうよ!」

四人で並ぶ。

美琴がスマホを構える。

「いくよー!」



気付けば柊が隣だった。



「凛もっと寄らないと、入らないよ」 美琴がスマホを構えたまま言う。

肩を軽く引かれる。



(近い……)

パシャ。



みんな笑っていた。

「楽しかったね」



凛は海を見ながら呟いた。

本当に楽しかった。

夜咲先輩もいた。

美琴もいた。

柊もいた。

ふと。 視線の先で。



柊が美琴と話していた。

二人とも楽しそうに笑っている。



仲が良いのは昔から知っている。

幼なじみ同士だ。

なのに。



なぜか少しだけ胸の奥がもやついた。

(……なんで?)

自分でも理由は分からない。



波の音が静かに響く。

夏の日差しは、まだ高かった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ