表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『Cold Heart, Sweet Love ~かかって来い、私の初恋!~』  作者: 季波


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

11/12

第11話「おすすめのソフビショップ」

夏休みが始まり、創作フェスへ行って、夜咲先輩と連絡先を交換した。 それから数週間。



今日は三人で勉強会をしようと美琴が言い出し、凛の部屋には参考書とノートが広がっていた。



「なんで夏休みなのに宿題多いのよ……」

凛はペンを回しながら言った。



「補習になりたくないからだろ」

柊が淡々と言う。



「私は凛が補習になったら面白そうだから見てみたいけど」



「面白くない!」



美琴は楽しそうに笑った。



三人は同じ高校に通う一年生だ。

夏休みだからといって成績まで休みにする訳にはいかない。

「飲み物取ってくる」

凛は立ち上がった。

「私も行くー」

美琴が後ろから付いてくる。



その途中だった。

「あれ?」

美琴が足を止めた。

棚のガラスケースを見ている。



そこには一体の怪獣と怪獣の素体が置かれていた。

一体はピンク色。

ドールアイの丸い目。

濃いピンクから淡いピンクへ変わるグラデーション。

銀色のグリッター入りの背ビレは、斜めから見ると、細かい光がきらきらと揺れる。



そしてもう一体。

怪獣の素体。

目も塗装もしてない未完成だった。



「何これ? 可愛い! 怪獣だよね?」

美琴が身を乗り出した。

「凛が作ったの?」



「うん。ソフビフィギュアだよ」

凛はモモラを棚から取り出した。

「本当はソフビ作ってみたいんだけど」

「金型とか高すぎて無理だから」

凛は少し照れながら頷いた。

「ピンクがブロッサム・モモラで」

「そっちはモモラだけだと寂しいから、相方を作ろうと思ってて」



「なるほど」

「でも塗装って部屋臭くなるよね?」

「別の所で塗装してるの?」



「うん」

「お祖父ちゃんの工場を借りてるんだ」



「凛のお祖父ちゃんって、なんかお面とか作ってたよね?」



「うん」

「お祖父ちゃんは祭りで使う張子のお面を作る人なんだ」



「へぇ」

「にしてもこのモモラ可愛いね」



「うん」

凛はブロッサム・モモラを見つめた。

「とても気に入ってるんだ」



「……なんか、お前みたいだな」

「そいつ」

柊がモモラを見て言った。



「私よりモモラの方がずっと可愛いわよ」



「そうかよ」 柊は肩をすくめた。



凛はなんだか気恥ずかしくなって、慌ててモモラを棚へ戻した。 「ほら! 勉強するわよ!」



十分後。

勉強は始まった。

……始まったはずだった。



「凛」



「なによ」



「英語の問題集開いたまま、さっきから止まってる」

柊が言った。



「考え事?」

美琴も覗き込む。



「してないわよ」



その瞬間。

ブブッ。

スマホが震えた。



凛は何気なく画面を見る。

そして固まった。



「どうした?」

柊が聞く。



返事がない。

「凛?」

美琴が顔を覗き込む。



凛はゆっくりスマホを差し出した。

画面には一件のメッセージ。

差出人。

夜咲 海斗。

『おすすめのソフビショップって知ってる?』

沈黙。



「きたああああ!!」

美琴が叫んだ。



「静かにしろ」

柊が耳を押さえる。



凛は顔を真っ赤にしていた。

「ど、どうしよう……」

夏休みの最中。

勉強どころではなくなった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ