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朱色のゲートウェイ ー境界ー  作者: 此花 陽
第4章:禁忌の淵

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紗夜の涙と、最後のステージ


 その時、ずっと沈黙を守っていた紗夜が、蓮の前に立ちはだかった。


 彼女はコトシロを真っ直ぐに見据え、

 初めて自分の胸元から一振りの、古びた錆びた小刀を取り出した。



『 ……まだ、終わらせない 』



 紗夜の強い意志が、空間を震わせた。

 コトシロは肩をすくめて笑った。



「おや、境界の聖母。

 

 ……いいでしょう。


 彼にはまだ、最後の大仕事が残っています。


 ……数万人の人間が、国立スタジアムで待っていますよ。


 ……自分たちが溜め込んだ『毒』を、

 

 あなたの身体ごと粉々に砕いて、浄化したいと願っている」



 コトシロが指を鳴らした瞬間、蓮の視界が歪んだ。


 クチナシの村が遠ざかり、

 代わりに耳を劈くような、

 数万人の歓声が聞こえ始める。


 蓮は、自分が再び「現代」へと、

 あの熱狂の檻へと引き戻されていくのを感じた。


 だが、今の彼は知っている。

 

 自分を待っているのは、カーテンコールではない。

「正義」という名の狂気に染まった、獣たちによる祝祭——解体ショーだ。


 蓮は、石化した指先で紗夜の服を掴もうとしたが、

 その手は虚空を切った___。




 第肆章、完。


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