「クチナシ」の真実
コトシロが、蓮の石化した右腕を優しく撫でた。
「あなたは、自分が特別な才能で成功したと思っている。
鬼童という男に復讐し、世界を手に入れたと。
……滑稽な話だ」
コトシロの声が、鋭く蓮の脳に突き刺さる。
「日本という国は、非常に効率的です。
膨大な大衆のストレス、嫉妬、日々の不満。
それらが蓄積し、国が腐りそうになると、彼らは『生贄』を欲しがる。
……まず一人の若者を祭り上げ、
全能感を与え、富を与え、全人類の注目を浴びさせる。
そして、その『器』に、
日本中のドロドロとした負の感情をすべて流し込むのです」
蓮の身体を侵食している石。
それは、ハッキングの代償などではなかった。
人々が蓮を「愛している」と叫びながら、
その裏側で吐き出した
**「なぜお前だけが」「お前もこっちへ落ちてこい」という呪いの結晶**
そのものだったのだ。
「あなたは神に選ばれたのではない。
日本中の『ゴミ』を一人で引き受けるための、
使い捨ての『ゴミ箱』として選ばれたに過ぎない。
……鬼童も、あの狂ったファンたちも、そして私との契約も。
すべては、あなたをこの『最終的な解体』へと導くための演出だったのですよ」
蓮は絶望に膝をついた。
自分が手に入れたと思っていた「黄金の帝国」は、
自分を効率的に太らせ、最後においしく食らうための「肥育箱」だったのだ___。




