バレリア編 男の娘の魔王継承
仲間を嫉妬の魔女の手から守るためにバレリアは置いて行って洞窟の奥に向かった。
立ったら1人で明るい洞窟を進んだ。
進んでる途中から人工的な壁に変わり始めた。
嫌な予感がする。
「いらっしゃい。魔王ライトのお気に入りのバレリアちゃん」
しばらく進むと広い場所に出た。
そこにはトカゲのモンスターと玉座に座る吸血鬼がいた。
その姿はまるでバレリアのようで、背が高くてドレスとマントを装備してる。
それだけの違いしかないくらいに似ている。
「ここまでに随分と嫉妬心を煽ったみたいね。感情で自己をそこまで出すなんて、さすがは怒りのライトが手を出したやつだわ」
NPCとは思えないほどに饒舌な魔王キュラーナ。
洞窟にこもってダンジョンとエリアを混ぜて遊ぶ怪物。
そんな奴に色々とバレてバレリアは身構えた。
その時、バレリアのオーラで嫉妬を暴走させられたコウモリの雑魚が飛んできた。
そして、魔王に歯向かいに行った。
「よくも私の子分に手を出したわね。まぁ、どうでもいいけど」
睨みつけてからすぐに笑顔になって雑魚を灰にした。
触れずに近づいたものが灰になって消えてしまった。
それにバレリアは驚いた。
「まさか、本物の魔王なの?」
「嫉妬した?私は本物の魔王キュラーナよ!あなたにならここを預けてもいいかなと思ってね。出てきたのよ」
バレリアが本物に戸惑っていると、キュラーナは勝手なことを言った。
それにバレリアはすぐに反応した。
どうにかあのライトの与えた魔王の恐怖を振り払いながら。
「それはどういうこと?」
「ここではいずれあなた達に全魔王が引き継がれる。すでに一角が変わったから私も時だと思ったの。それを継承させるのにあなたがちょうどいいのよ。嫉妬を暴走させるけど自分はしないようにしてるあなたがね」
キュラーナは玉座で片膝を抱えて微笑みながらそう言った。
その時、バレリアはゲームがどんな方向に進もうとしてるのかある程度理解して、この申し出を受けようと思った。
「あなたが私を選んだということは、戦いも試験も無しに継承出来るの?」
「オーラを抑えられるならすぐにでもね」
「分かった」
キュラーナに言われたことをバレリアはすぐに実行してオーラを消した。
そして、嫉妬状態から普段のバレリアに戻った。
「これなら許してくれるのですか?」
「あぁ、それなら継承しよう。君は吸血鬼と魔女の力を得るんだ。それは好きに使いなさい。ここのモンスターシリーズの一つであるヴァンパイアドレスもあげよう」
バレリアが元々に戻ってからキュラーナは目を閉じてそう言い始めた。
その最中に体は灰になって崩れ始めた。
それを直視しているバレリアは驚きながら、このゲームの運営が作った大切なキャラの死を見届けることにした。
「さて、私の死をもってバレリアを魔王とする。私の遺品もこの洞窟エリア兼ダンジョンも好きにするといい。元々私は君のために作られたんだ。看取ってくれてありがとう。莉愛」
最後に衝撃的なことを言って彼女は消滅した。
その消える寸前に「待って!」と大声を出して叫んだが、その時にはもう遅かった。
その場で固まったバレリアはしばらくしてゆっくりと残った灰に歩み寄った。
そこには彼女がしていたネックレスがあった。
それには魔石が付いていて、バレリアが触れると記憶が流れ込んだ。
運営はその時、それが見つかったことをログで確認して手を合わせていた。
その記憶を見たバレリアは嫉妬してる暇もなく泣いた。
そこには運営の1人でゲーム制作に関わって死んだ母親の記憶があった。
なんで似てたのか。その答えは親を移植して作られたキャラだったからだ。
子供を置いて仕事をして死んだ母親。何をしてたかは知らされていなかった。
こうなる可能性を感じて運営は魔王に配置していたのだろう。
その希望はバレリアに渡された。
本名、春戸莉愛へ母親からのプレゼントを。
それから手に入れた装備を着てバレリアは完全に魔王を継承した。
そこに運悪く前の仲間達がやって来た。
後を追って来たのだろう。
涙を流しながら魔王として、吸血鬼の牙と爪と羽を得た姿を振り返って2人に見せた。
それを見た2人は驚きと戸惑いに囚われた。
そこに涙の流れる笑みを浮かべてバレリアが宣言した。
「私はここの正当後継者、魔王バレリアである!ゲームだ?本当の世界じゃない?そういう奴は黙れ。ここは私の大切な場所だ。このダンジョンすら私の所有物だ。リアルでな。だから、お前達でも容赦しない」
完全に仲間を切り捨てる覚悟を決めた目をしたバレリアはオーラを全開にして攻撃される前に2人にしかけた。
そして、一撃で灰にしてゲームオーバーにした。
そこから魔王バレリアの第二のゲームライフが始まった。
運営の影で死んだ作者の子供として、このゲームを守る守護者としての道を進む人生だ。
将来はあの会社で同じ仕事をするのかも知らない。




