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バレリア編 男の娘の嫉妬の魔女

 魔王のダンジョンから追い返された後、バレリアは仲間の2人を連れてボス狩りに向かっていた。

 目標は森の先にある山と洞窟のエリア。

 その洞窟に入った。


「あの魔王め!絶対に倒します!」


 魔女バレリアは長い金髪を揺らしながらそう言った。

 その後をついて行く黒髪で大男のレントとピンクの短髪で筋肉質な体型のサラは少し遅れていた。

 バレリアは結構足が速いので普通に急ぎ足になれば2人を置いていける。

 しかも怒ってるときは周りが見えなくなるときが多い。


「バレリア!早くなってるぞ!」


「もうちょっと落ち着いて!」


 10mくらい離れたところで声をかけられてようやく2人に気づいた。

 そこで息を切らしながら付いてくる2人を待った。

 洞窟を歩いていたせいなのか、いつも以上に気づけなかったことにバレリアは反省した。


「ごめんなさい。あのライトさんのことでまた周りが見えなくなってて」


 申し訳なさそうに謝ると、2人が洞窟の地面に座り込みながら許してくれた。


「それは仕方ねえよ。あの人はムカつくくらいに強かったからな」


「でも、なんかいつもよりバレリアが感情的になってる気がするんだよね」


 その2人の話を静かに聞いてバレリアは確かにおかしいと思った。

 いつもなら制御できてるものが勝手に暴れてる感覚があった。

 それを考えてるうちにライトの手紙がポケットに入っていたことを思い出した。


「まさか!あの手紙に秘密があるんじゃ!」


 それに気づいたら大急ぎでズボンのポケットをあさった。

 へそ丸出しの服にくるぶしが見えるズボン、皮の靴、ローブ、これらの装備をした男の娘にライトは手紙を右のポケットに入れていた。

 それを見つけるとお疲れの2人には見せずに手紙を開けて読んだ。


『これを読んだってことは違和感に気づいたか。さすがは僕が気に入った魔女だ。そんな君に僕の加護と感情の引き出しをあげたんだ。このゲームでは感情によって強くなれるシステムがある。加護とそれは自由にしていいから、使った感じで僕側に来るかとそのまま仲間を苦しめるかを決めてもらう』


 そこまでしか書いてないが、それだけでバレリアは理解した。

 嫉妬を強く持つことが自分を強くして周りに迷惑をかけることを。


 綺麗な人に嫉妬した。

 パーティーを組んでる人に嫉妬した。

 強い男の娘に嫉妬した。

 幸せそうなことに嫉妬した。

 恋人のいる人に嫉妬した。


 ジェラシーに呑まれるか、ジェラシーを自分のもにするか。

 過去を振り返って考えて、バレリアは選択の時に戸惑った。

 自分には嫉妬がお似合いであることに戸惑った。

 でも、強くなりたいなら道はそれしかなかった。


「ごめんね。2人とも」


 そう言うと本気で土下座した。

 その様子に2人は戸惑ったが、ジェラシーを使うことを選んだバレリアにその戸惑いは見えなかった。


「妬ましい。私に幸せを隠そうとするのも妬ましい」


 土下座で伏せながらオーラを少しずつ出してバレリアはそう言った。

 そして歯ぎしりをしながらその顔を上げた。

 そこにはいつものバレリアはおらず、代わりに嫉妬に満ちた魔女がいた。


「妬ましい!私に付き合ってることを隠そうとする根性が妬ましい!」


 2人をにらみ付けてそう叫ぶとバレリアは立ち上がった。

 そして、嫉妬する2人に最後の軽蔑の目を向けてからその場を立ち去った。

 2人は何が起きたのか理解できなかった。





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 これで仲間を傷つけなくて済む。

 バレリアは仲間のために力を抑えて暴走する道を捨てた。

 そうすることで力を自分のものにするが仲間を失う道を選択できた。


「嫉妬に正直になれば制御できる。素直にならずに押さえ込もうとすれば呑まれて迷惑をかけていた。ライトさんは意地悪な試練を渡したわけだ。嫉妬の魔女になって孤独か仲間になるかの選択肢も残して」


 ゲームの中で大きな選択を乗り越えて仲間のために仲間を捨てた。

 そうしたバレリアは1人で洞窟を進んでいた。

 嫉妬して手に入れたものがまさかその嫉妬に奪われるとは。

 そんなことを嘆きながらここのボスを目指した。

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