男の娘のダンジョン生活開始
ライトはトーマが完成させたダンジョンを見回っていた。
単独で新魔王自身が平和主義側と同じようになった住処の点検をしている。
「気分はいいね。ゲーム内の存在でも僕の言う通りに動くんだもん」
あの怒りで暴れた一件から人を上から見下ろすような性格になった。
ライトに今までの部分も残っているが、ダンジョンの鬼畜性から考えると本当に少し前のライトはあるのだろうか?
ダンジョンは魔王ライトの指示で五段階に分けられているが、一度ダンジョンを出ると最初からやり直しになるようにもなっている。
その際には倒されたモンスターもまた復活させて仕事をさせる。
「僕のダンジョンはプレイヤーが鍛えるために使うことを許可している。だから、ボスモンスターで結界を張っていない」
...だそうだ。
正直言って誰にもライトの思考は読めない。
その日その日で中身が少し違ったりするから。
そんな魔王ライトは見回りをしてる最中にお客さんが来たのを感じて最下層に戻ることにした。
神であり魔王であるライトのダンジョンの最初の客はどうなるのだろうか?
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ライトは最奥に戻ると、フロアボスの部屋と魔王の部屋を繋ぐ扉を閉めた。
そして、鍵は前のようにフロアボスに預けた。
「はぁ、もう敵が来るとはね。僕達はもう少しこっちで確認と仕事をしようか」
「そうですね。あなたの四天王になったスペード、僕はここを変えるべきだと思います」
「魔王の部屋?どう変えるの?」
「トーマ、ここを広くして擬似的に自然を作れる?」
「そこに家を建てるつもりですね。えーと、私には使えない魔法もあるからフレイと一緒にやりますね」
この会話でここにあり得ないものが作られることになった。
それを兄弟が手を繋いで一瞬で作り出した。
ブワッと無機質な部屋を広げて、庭と人工太陽のある空間に変えた。
その奥にパペットの得意とする物質操作系魔法で広いお屋敷が建てられた。
「ワァオ。いろんな植物がある庭付きの和風のお屋敷か。まぁ、僕達みたいな異端らしいかな」
そう言うと、ライトが先にそこに向かって歩き出した。
そして玄関からライト達が入ると、すでにタクトが居た。
「あっ」
「あっ,じゃない!リーダーより先に行くな!てか、時止めしたでしょ!」
「いいじゃないですか。これが僕の時を操る魔法なんですから」
雷も使えて時も止められる。
その上スピードも速くて暗殺向きの力を持っている。
やっぱり誰よりもチートだと誰もが思う。
「とにかく!そこはライトが一番先に入るべきところですよ!」
「俺たちはこの人の下。パペットは自由じゃないから余計にそうなる。反省しろ」
このパーティーの2番手と3番手にそう言われてタクトは少し反省した。
なんでも凍らせれば勝てるスペードと、パペットゴーレムの物質操作で動かずに戦えるフレイ。
素早く動けてもこれには太刀打ちできないのだろう。
仕方なく王たるライトを先に行かせた。
そうやって進んでいくと、後ろでボトッという音がした。
お屋敷の廊下で振り返ってみると、パペットのフレイの腕が落ちていた。
「えっ?」
本人以外が真顔でそう言って固まった。
当の本人は落ち着いてそれを拾ってトーマに差し出した。
「付けて。パペットは主人無しじゃ生きていけない。その理由が自分の修理が出来ないことだよ」
全員冷静に混乱した。
そんな状況で弟のトーマは落ち着いて腕をはめてネジでしっかり固定した。
「ねぇ、それして平気なの?」
「パペットは痛覚無効が実装されてるから体がバラバラになっても平気。それに、ゴーレムの一種だから無機物に魂が取り憑いてるようなものだよ」
トーマがちゃんと出来てるかの確認をしてる最中にフレイがそう答えた。
トーマの動作確認を真剣に見ていたタクトはある疑問に気づいた。
「えっ?これってどういうことですか?ゴーレムでも意思で体を動かせるなら何で360度も腕を回されて無反応なんですか!」
そう言われてカップルはトーマの作業を見た。
言われてみると実際に動作確認で腕をぐりぐり動かしていた。
「ファッ!?ガチで変な方向に動いちゃってるよ!」
「えーと、トーマは何してるんですか?」
ライトは驚きすぎて変な声が出てしまったので、スペードが冷静にトーマに質問を投げかけた。
それにめんどくさいというを目をしてトーマは答えてくれた。
「これはお兄ちゃんの性格のせいで起きたこと。私以外にこの体をいじれないんです。つまり、本人が手を出せない範囲は私が痛覚無効を利用して可動範囲外もメンテするんです」
まだ意味がわかない部分がある。
そこはフレイ本人が補足してくれた。
「まぁ、なんて言うかな。俺は種族を変えた時点から完全に弟に依存してったことだ。ちなみにこの一人称も人形使いによって変えられてる」
「お兄ちゃんが私の支配を望んだからゲームでは自由にしてるだけ。リアルじゃ兄弟の上下関係に2人とも縛られますから」
こうして会話してる間にフレイのメンテナンスが終わった。
自分でも動作を確認して出発の準備が出来た。
それでフレイがみんなに待たせたことを謝ってからライトを先頭にして屋敷の探索を続けた。
あの後、フレイとトーマのことが気になったが、雰囲気的に全員がその話題に触れるべきじゃないと思って黙った。




