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男の娘の感謝と報酬

 あの事件の解決後、パーティーメンバーが全員同じ県に住んでいることを偶然知ったので、パーティー揃って運営の会社に行くことになった。

 近藤部長が話したいことがあるということでライトである明を呼び出したのだ。

 その連れということで紅葉達も連れて行っていいそうだ。


「えっと、ここですね」


「随分と立派な会社だね」


「そんなことよりあの人を待たせてるから行くよ」


 運良く祝日の月曜日に全員が集まれそうだったので、この日に伺いに行くことになった。

 ちなみに、リアルで5人が揃うのはこの日が初めてだ。

 でも、いつものように明を先頭にして行動している。


 駅に集合して5人揃ってあの会社のビルを目指して5分歩いた。

 あの会社のあるビルに着いて5人揃って入ると、いきなり近藤部長が迎えてくれた。

 彼はこの日のためにヒゲを剃っておいたらしい。


「待っていたぞ。お前らに感謝を伝えたくてうずうずしてたくらいだ」


 彼は真顔でそう言うので全員引いた。

 でも、その様子を見ていた彼の部下達はクスクスと笑って、真顔の冗談だって言っていた。

 冗談ってなんだっけっと思うほどに全然分からない。


「ま、ついて来い」


 そう言われて5人は彼の後に続いてエレベーターに乗った。

 それで12階の彼が率いる部署に連れて行かれた。

 ついて行ってその部屋に入ると、彼の部下達が歓迎してくれた。


「みんな感謝してるんだ。リアルだと証拠が見つからない。それならゲーム内かと思って調べてみると厳重にプロテクトがかけられて入らなくなっていた。そんな犯人の唯一のミスをお前らが晒してくれたからな」


「あれはあなた方の手助けもあったからできたこと。僕達だけなら何もできずに終わってたよ」


 部長さんは明の話を聞くとふふっと笑ってから、5人を奥の空いてる会議室に通した。

 そして、6人だけ中に入って扉を閉めた。

 どうやらこのメンツだけで話したいことがあるらしい。


「さて、感謝を伝えたくて読んだのは本当だ。だが、色々と意見を聞きたいと思ったんだ。このゲームの隠してる要素をことごとく見つけるお前らにな」


 本題はゲームを完成させるために意見を聞くことらしい。

 スペードである紅葉は気づいていたが、あのゲームは色々な調整がずさんで完成品とは思えないほどに駄作臭がしていた。

 だから、それをトッププレイヤー集団に手伝ってもらいたいらしい。


「付き合ってあげるよ。あのゲームは僕達にとっても大切な居場所だからね」


 そう言われて近藤部長はホッとした。

 そこでこの手伝いの報酬を提示することにした。


「なら、お前らに専用魔法をやろう。すでにスペードには与えているが、特別なプレイヤーのみ送られるそいつに使えないものだ。それと、あのダンジョンを好きに使っていい。魔王はすでにやられたのと同じだから自宅するのも結構だ」


 面白い報酬の提示に思わず明は笑ってしまった。

 その隅でタクトの奏真は自分の強化に役立てると考えていた。

 そういえば誰も知らないことだが、タクトが本気を出せば誰もその速度についていけずに切られる。

 しかも、投げナイフは彼の最強技となっている。

 それが強くなるのはどうなのだろうか。


「やっぱりあなたに手を貸して正解だった。僕の求めるものをくれるからね。でも、例の件はもういいよ。〈毒漬けの支配者〉は強すぎるから廃棄を願うからね」


 あの時ショックを受けていた明にそう言われて近藤部長は心底驚いた。

 驚きすぎてすごく目を見開いてしまった。


「マジか。お前の口からそんな言葉が出るとはな。ていうかよ。あれを無くして平気なのか?」


「平気。というか、ゲーム自体をかなり見直す必要があると思う。紅葉は分かってると思うけど、まず魔法要素が弱い。それに技と魔法を一緒にするのは良くない」


 いきなり会話からダメ出しに変わったので近藤部長は急いで手帳を出してメモを始めた。


「今までのから大きく変えてこういうゲームを作るなら、分かりやすいようにする必要が大きくある。それと、ボスモンスターの難易度も極端すぎる。ダンジョンのレベルは納得が行くけどね。最下層レベルはめちゃくちゃな魔法でも無いと突破は難しい」


 プレイヤーからの貴重な意見を受けて彼は反省した。

 今までのゲームとは確かに内容を変えて自由度を上げている。

 逆にコンセプトが自由すぎてうまくいかなかったのだろう。

 それで及第点を取れた程度の作品を出して、後からこうやって意見を聞いて調整をする。

 汚い大人のやりそうなことだ。


 そういう意見をちゃんとまとめるためにゆっくり話すように近藤は明に言った。



第二章はここまでです。

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