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男の娘の最大の仕事

 40階までに色々あった後、5人全員でゆっくりと進んで50階まで到達した。

 もうここまで来れば攻略は簡単。

 出てきたフロアボスのサイクロプスはライトの灼熱とスペードの氷結によって簡単に消された。


「えっと、強すぎますね」


「いいシステムだけどもう少し調整が欲しいところだな」


 兄弟が文句を言ってるが、その間にタクトが最後の部屋に進むための鍵を探して見つけていた。

 化け物カップルは暑さと寒さで喧嘩するようになって、今も何でもないことで喧嘩している。

 兄弟はそれを見張るようにしてるので、余ったタクトが鍵を扉に使うしかなかった。


「行きますよ。50階のフロアボスの先にいる魔王のとこに」


 タクトが鍵を入れて後は回すだけの状態でみんなに声をかけた。

 それに反応してみんな黙って集結した。

 そして、ここはリーダーが開けるべきだとライトに譲られた。

 その役目をタクトから受け取って一気に回して開けた。


 すると、扉はバラバラと消えるような形で開いていった。

 その先を一番先に見たライトは制御が緩くなった怒りのオーラを少し溢れさせた。






----------------------------------------






 光に包まれて開いた扉。

 その先に5人で入ると、そこにはいるはずのないものがいた。

 ライトとスペードと運営達の予想通りに。


「おや、お客様かな?ようこそ!我がダンジョンの一番奥の部屋へ!」


 そう言う人物はこのゲームを作った会社の別の作品、Music Night Onlineのオーベスクという最強のプレイヤーだった。

 タキシードを着た黒髪の男性キャラで、星を指揮によって音楽を奏でさせながら落とす技を得意とする。


 そんな奴がいることは異常なのでトーマ達は驚いた。


「えっ!何でこの人がここに?」


「いや、おかしいだろ!こいつは別ゲーの最強だろうが!」


「噂は本当だったんですね。いくつかのゲームの最強アバターが盗まれて別のゲームに適応させられたという噂」


 兄弟は何も知らない様子だったが、タクトだけは噂で知っていたらしい。

 ここで反応を見たライトがここだと思って運営に合図として運営にメールを発信した。


 予想以上に調子よく進んで1ヶ月もかからなかったので、裏で近藤部長と話してこうする手筈になっていた。

 ライトがメールをダイブしながら送ったら配信開始とするように。


「3人とも落ち着いて、これは今本当に起こっていることで、犯人がわざとか仕方なくかで置いたあの人のアバターなんだから」


 このセリフから全世界に向けた犯罪暴きの配信が始まった。

 ダンジョンの中を運営が見れるようにしておいて、それをゲーム内と動画配信サイトの両方に同時に流している。


「さて、なんでここにいるのか話してもらえませんか?」


「うーん、気がついたらこの世界にいた感じかな。音楽の世界から連れてこられて困惑したよ」


 スペードの会心の一撃にオーベスクは普通に答えてくれた。

 それに慌てたのか、犯人がアバターに入れたAIに指示を始めたらしい。

 そのせいで突然どこかを見て黙ってしまった。

 しかし、オーベスクは意外な反応をした。


「うん。嫌だ。最強たるもの、黙ってこの場を離れるという選択肢はない。最高な音楽の元を目の前にして逃げられるわけないだろう」


 そうやって犯人に反発した時、ライト達に相手の能力使用通知が届いた。

 〈メロディの支配者〉不協和音を許さないオーベスク専用のスキルだ。

 誰も彼に対して不協和音を奏でることも奏でさせることもできない。

 つまり、犯人は墓穴を掘ってこの事態を晒され続けるのだ。


「ありがとう。オーベスクさん、これで帰れるよ」


「音楽を絶対に聴き分けられる者は空気も読める。どうすればいいかは分かっていたよ。助けに来てくれた君達にサービスだ。犯人は運営の赤坂四郎だ。マスターアカウトを悪用してやったらしい。これ以上は何も言えないけどね」


 これで完全勝利だ。

 この生放送を見た全員が証人になる。

 そうなった時点で犯人は犯行の証拠も出されて終わりだ。

 変にゲームをおかしくした犯人はこれで逮捕されるだろう。


「待て待て!俺がやったと言う証拠になるのか!AIが勝手に言ってることだぞ!」


 犯人の細いおっさんがログインして顔を見せた。

 その瞬間、オーベスクが汚物を見る目になった。


「いや、証拠になる。ただのAIじゃなく、人を殺してその魂をデータにしてこの体に入れたんだからな。なんでもありなVRMMOでもそれは絶対に許されないぞ」


 さらに重い罪の証言まで得られた。

 しかも、プレイヤー自身をアバターごと切り抜いて移したことになる。

 なんて最低な犯人なんだ。


「騙されるな!そんなことが可能だと思うか!」


 犯人の男は必死に無罪を主張した。

 しかし、前にゲーム内で死んだ人間がリアルでも死ぬ事件が起こっていた。

 その前例があるから可能だろうとこの件を映像で見てる人々がコメントを残していった。

 彼はそれを突きつけられて絶望した。

 もう逃げ場はない。


「さて、もう諦めますか?」


 ライトが悪魔のような笑みを浮かべてそう尋ねた。

 そうしながら部長さんから借りている強制退場の選択画面見せた。

 それを見て完全に運営組織全員も敵であることに今頃気づいた。

 そして、うつむいて退場を選択した。

 これによって彼はリアルに戻って運営のみんなに取り囲まれて、警察に連絡されたことを伝えられた。


 この事件はすぐに広まってゲームを救った英雄と5人を称える声が大きくなった。

 これによって男の娘が生意気という声は少し減った。

 しかし、まだ残っているからトーマの考えのもと行われる男の娘アンチ排除は続くのだった。

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