男の娘の天敵
傲慢のライトのダンジョン単騎独行によって探索はされていないが、次々とボスが撃破されて残るは40階と50階、そして魔王となっている。
多くの人が忘れてるかもしれないが、このゲームでダンジョンを作ってるのは13人の魔王ということになっている。
その魔王を目指してカツンカツンとブーツの足音を鳴らして純白の軍人が足を進める。
その後を少しずつ仲間達が追ってきている。
それを感じながらパーティーのリーダーは35階を進んだ。
「焼けろ」
そう言うと雑魚を怒りの炎で簡単に焼却処分できるほどに成長しながら先を急いだ。
ダンジョン攻略に時間のかからなかったライトは、この日にビッグイベントを起こすつもりで運営のおっさんに準備を頼んでいた。
だから、急ぐ必要があるのだ。
みんなの予想通りにこのダンジョンの魔王に秘密があるはず。
----------------------------------------
急いで突き進んでライトだけで40階のボスまでたどり着いた。
それは人形のモンスターでカタカタと鳴らしながらライトを襲っている。
「さすがにここまで来ると簡単には倒せないか。我の怒りもそんなに持たないものだな。愛する人に会ったら、ドキドキして怒ってなどいられなくなったわ!」
今ライトはピンチだが、怒りも鎮まるほどの愛に感謝している。
ここで負けたとしてもスペードにいつもの状態で会えるのだから。
でも、やられるまではライトが傲慢にならないはずがない。
「ククッ、羽も炎も出し切るしか無さそうだな!」
そう言って全ての仕込み武器を出し切って巨大な人形に向けた。
ついでに怒りの太陽の火も出した。
背後に怒りで作った擬似太陽と自分の周辺には大量の鋼鉄の羽、背中に4枚の羽も出して完全武装した。
「ここで負けるようならこの先は無いな。我の出番のためにも確実に死んでもらうぞ!マリオネット!」
「ダまレ!このゲどうガ!」
この時初めて喋るモンスターにライトは遭遇した。
それは不気味であったが、それ以上にこいつを喋るようにした何者かに興味が湧いた。
運営のおっさんにこっそりと聞いた話だが、このゲームに敵モンスターで喋るのは存在しないらしい。
「驚いたな。喋れる奴がいるとは」
そう言うと人形はしまったというモーションを一瞬してから、しょうがないとう風に思って普通におしゃべりするようになった。
「このコとはだレかにシラせるノか?」
「いや、我にはそんなことをする必要はない。貴様の裏にいる者を助け出せればそれでいいからな」
「なラ、よろシクたノむ。そのマエにこのことヲはなシた罰トしてワレはあばレル。倒してクレ」
そう言い残すと人形のボス、重なる呪いの人形は肌色だった部分を黒くして暴れ始めた。
4本の腕に8本の足と呪われた少女人形の頭部と胴体で構成される怪物が本気で暴走をしている。
「そのこと?言ってなくても感じ取られた時点でアウトなのか?分かりにくいが、暴れるだけになったのなら簡単だ。安らかに眠れ」
そう言うとライトは火を羽に付与して飛ばした。
「〈乱反射獄炎〉火に巻かれて焼け落ちろ」
〈乱反射の獄〉の強化版で火を纏った羽が飛び回る。
それが反射しまくってどこかのタイミングで敵に集中して飛んでいく。
そのタイミングがきて人形は火ダルマになった。
「やったか?」
これをフラグと言わずなんと言うのか。
この台詞のせいでこうなったとは言わないが、ほぼライト自身のせいで奴が耐えてしまった。
「あー、火炎耐性持ちか。これは無理だな」
そう言いながらライトは4枚の羽も飛ばして徹底的に攻撃に出た。
そのうち2枚を両手に持って一撃で沈めるために本気になった。
「〈憤怒モード〉20%解放!」
また怒りの力を解放して悪魔の形相になった。
そこから〈全集中〉の二刀流の型で構えた。
そうしてる間に擬似太陽である怒りのエネルギー弾を撃ち出した。
力を溜め切るまでの時間稼ぎに羽とエネルギー弾のコンボを使ったことで、奴はそれのダメージを回避するために燃えながらガードした。
そして、着弾と同時にエネルギーが奴を飲み込んで一気に高熱で焼いた。
「悪いが、これでちゃんと死んでくれ」
〈憤怒モード〉のせいで異質な声になっているが、怒りの中の優しさは健在でそう言ってくれた。
そして、奴が羽を弾いてエネルギーもうっとうしいと消そうとしてるところで準備が整った。
「これで終わりだ!」
そう言うとライトは全力で地面を蹴って突撃した。
その一撃を奴が打ち落とそうとしたので、その手を蹴って前転しながら上にジャンプして、その途中で奴の胸を二本の刃で切り裂いた。
その一撃を受けて奴は叫び声をあげながら倒れた。
ライトは天井まで跳ねたので、そこで優しく着地して床に向けて跳ねて戻った。
「さて、そろそろ次に行きますか」
そう言ってライトは先に進もうとすると、奴が起き上がったのを感じた。
でも、ガードも間に合わない。
奴に背を向けて先に進もうとしたせいで武器もない。
こんな無防備ではやられるのが当たり前だ。
だから、ここで死を覚悟した。
初のゲームオーバーを。




