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男の娘の悲しき怒り

 ご乱心のライトが大暴れした後、その様子はネットで広まった。

 そして人々から〈アングリージェネラル〉と呼ばれるようになって、プレイヤー達の間で見えたら逃げるように伝えられた。


 そんなのが身内にいることを知らずにパーティーが土曜の2時に集合した。

 そうしたら、まだご乱心のライトがいて全員がすぐに気づいた。

 この人が〈アングリージェネラル〉なのだと。


「えっと、何があったんですか?」


 熱いオーラをまとうライトに怯えながらトーマがそう尋ねた。

 すると、全員に背を向けて立っていた化け物がゆっくりと振り返った。


「我は怒ってるだけである」


 そう言う声はなぜか冷静さが伝わってきた。

 焼けるようなオーラを出してる割には怒りを制御できていてる。


「...両親がなかなか帰って来なくて、さらにはわがままを貫き通す。だから怒ってるんですか?」


 リアルで震えるような怒りが伝わる声をスペードは聞いていた。

 その時と同じ声を今ライトは出していた。

 ただ、それは長く観察してきたスペードだから分かるのかもしれない。


「わがままなのは我もそうだから仕方ないと思っている。勝手にこんな風になってゲームでもこんなことをしている。あの人達のことを言えないのは分かっているから、だから苦しいんだ」


 何に対して怒っているかでライトは変わるらしい。

 ライト自身とスペードはこの怒りが役に立つと判断した。


「なら、今日も八つ当たりしてください。最前線で。僕達は遅れて行きますから」


「...スペード、感謝する」


 2人の熱い怒りと冷たい愛に残りの3人は口を挟めなかった。

 3人が見守る中でスペードは冷たい手でライトの背中を押して行かせてあげた。

 だから、ライトは背を向けてキャンプを出て先を急いだ。

 その背中を静かに4人で見送った。





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 ライトを見送ってから残りのメンバーでキャンプを片付けている。

 その作業の途中でフレイが尋ねた。


「なぁ、なんで止めなかったんだ?怒りを抑えられる状態に見えたんだが」


 その問いにスペードは冷たく笑って答えた。


「うふふ、あんな熱は僕のそばに置いておけなかっただけですよ。あの子を自分のものにしたい。そんな冷たい愛の前に熱い怒りは溶かされてしまいますから」


 そう答えたスペードの顔には、誰が見てもかわいそうなくらいに冷静で情熱的な涙が流れていた。

 そんな空気にタクトが一言を投げた。


「うーん、あれって自分に対して怒ってたんでしょうか?」


 空気を読めないようにも感じる今の疑問に兄弟がグッジョブと心の中で同時に言った。


「えっと、タクトの目で見えなかったんですか?」


「一応見えたんですけど、今にも崩壊しそうなくらいにぐちゃぐちゃだったんですよね。まだ若いから親に見捨てられたように感じたのが辛いのもあったんでしょうね」


「僕にはあれが壊れそうには見えなかったんだが?」


「いえ、あれはライトさんの部分のおかげですよ。本性が表向きの顔に支えられています。内面では崩壊寸前でも、外面では仲間に助けられてどうにか助かっているってことです」


 つまり、ライトの崩壊は4人の仲間が抑えたということ。

 ライトは今頃感謝してもしきれないほどの「ありがとう」を感じてることだろう。


 そう思っていると、悲しき大将が30階のサソリのフロアボスを撃破したという通知が入った。

 今まで以上に強くなっていることを全員が確信して急いで先に進もうと思った。

 残り20階でこのダンジョンの魔王に到達してしまうから。

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