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男の娘のショック

 翌日の月曜日、ゲームはアップデート作業に時間がかかってるようでこの日は出来そうになかった。

 だからカップルでカフェに来ているが、明がショックを受けてどんよりしている。


「なんで魔法の修正が入るかな」


「しかも5個だけで、その中に〈毒漬けの支配者〉が入ってましたものね」


 ちょっとしたアップデートに過ぎないが、アレが1日1回と魔力が50以下の時にしか使えなくなった。

 50が最大ということは約4kmしか毒の海に変えられないということだ。

 そんなに大きな変更じゃないから誰も騒がないが、持ってる本人のショックは醸し出す雰囲気から見て取れる。


「あれが使えるのは全てのプレイヤーに対策を強要させられる手段になるのに、これじゃあゲームの顔になってきた私の強さが下がっちゃう」


「確かに、誰も寄せ付けない強さなのに成長続けて挑戦を待つ姿に憧れて始める人はいます。でも、それは強ければいいから別にいいんじゃないですか」


「いや!かっこよさも併せ持つからいいんだよ!派手さならこのままだとトーマとフレイに負ける!」


「まぁ、あんな要塞に負けるのは嫌ですね。出来ることなら僕も負けたくありません」


 2人はコーヒーを飲みながらしばらくそういう話をした。

 それから話題を変えた。


「そういえば、公式からアップデート内容にそう書いてありましたけど、他にもAIの強化が気になりますね」


「あれは多分知能を与えたんだね。モンスターの知能を上げて逃げたり連携を取ったりするようにさせる。そうすることでレベルが簡単に上がるのと、強力な魔法が簡単に手に入るのを防ぐんだろうね」


 それはありそうだ。

 とあるゲームでもずっと攻撃するように設定したせいで多くのプレイヤーが被害を受けたらしい。

 それを回避するためにこのタイミングでこの調整を入れたのだろう。


「それはいいんだけど、不安な噂があるんだよね」


「あー、あれですよね。ゲームに運営が隠し要素を入れてるとか、運営の中にやばいことをしてる人がいるって噂」


「ほのぼのやれるのを目標にしてるゲームにしては、なんだかおかしな空気が流れてきてる。今回のダンジョンにそれ関係があるかもしれないし、今度行くときはちょっと調べ物をしようかな」


「僕も手伝いますよ。ただゲームじゃなくなるのもあれですし。それに、またVRMMOで事件が起きると収入にも関わりますから」


 そうやって話してる間に運営から2人にメールが届いた。

 運営の関係者とは2人とも面識はない。

 じゃあ、なぜ2人にメールが届いたのだろうか?


「それは、私が送ったものです。やっぱりスペードさんとライトさんだったんですね」


 2人は背後に現れた男を振り返って睨みつけた。


「あなた方が考える通り、あのゲームには事件性のあるデータが混じっています。それをどうにかして欲しい。ほのぼのをコンセプトとしたゲームを取り返すために」


 髭面のおっさんはゲーム関係者だけがつけられるバッジを見せながらそう言った。

 運営としてのメール、ゲーム関係者のバッジ、怪しいところはあるけれど話を聞くくらいならいいと2人は顔を見合わせて同意を確認した。


「あなたは誰ですか?話を聞く前に名乗ってもらわないと困ります」


 紅葉がそう言うと「おっと」と言って名刺を差し出した。

 ゲーム開発部部長の近藤真斗、名刺の裏に何のゲームに関わってるのかが細かく書かれている。

 その中にちゃんとあのゲームの名前があった。


「分かりました。話を伺いましょう」


「よかった。でも、これは急ぐ案件じゃない。犯人はこっちで抑えるから、2ヶ月後のイベントまでにダンジョンを攻略して欲しいんだ。そこにある物を証拠として確保して欲しい」


「何があるんですか?」


「これはあいつがしそうなことから考えたことだが、うちが開発した他のゲームにいた最強のアバターを勝手に使ってる可能性がある。それを証拠として残して欲しい」


「つまり、証人になる。あるいは、それを録画録音してデータをよこせと」


「そう言うことだ。簡単だろ?」


 明は静かにこの話を聞いていた。

 紅葉が代わりに話を聞いてくれたおかげで明は冷静に考えられた。


「やってもいいけど、絶対に犯人は捕まえて。そうじゃなきゃこっちの努力が水の泡になる。それに、VRMMOはこれからさらに活気が出るんだから、3つ目の事件で終わらせないように。せっかく僕も楽しんでるんだから」


「分かった。約束しよう。俺もクビ覚悟で無茶してやる。だから、そっちもあいつに消される覚悟でやってほしい」


「いつも通りに派手にやればバレない。だから、他のメンバーには言わずに2人でやるよ。報酬はショックを与えてくれた魔法の再強化でお願い」


「ぶーたれるな。それくらいならちょっと強化になるが、事件を未然に防げたことを考慮してやってくれるようにそっちの部署に頼むからよ。じゃーな」


 結構イケメンなおっさんは2人のコーヒー代も払って帰って行った。

 カップルはただゲームを楽しみたいだけなので、これはゲーム内の依頼と思ってこなすことにした。

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