男の娘の初イベント 後編
クラスメイト達が守るべきものに気づいた時、ライトは自分の腕を刀で少し切っていた。
「痛くないんですか?」
「痛いに決まってるよ。でも、運営がメリットだけでデメリットをつけないならこうしないとみんなに申し訳ないからさ」
本当はいい奴なライトの行動にスペードは感心した。
ただ、ライトのせいで残ってるプレイヤーが912人になってしまったという事実は消せない。
ただ、ボスを倒すだけであれだけの力を発揮出来てるからとてもいい宣伝にはなっている。
運営は動画サイトで急上昇に入るくらいにライトの活躍が影響を与えていることに喜んだ。
こうしてる間にスペードは自分のことを忘れてて3位に落ちていた。
それを見たスペードは驚いて焦った。
「ウッソ!マジですか!いつの間にかトーマって奴に抜かされてます!」
「それじゃあ、今度はそっちの番だね。大暴れしてきなよ」
「うん!行ってきます!」
スペードは自分の状況を変えるために鎮座するライトから離れた。
それからすぐに自分の装備についてる魔法を発動した。
「〈引き寄せる本能〉!周囲のプレイヤーを引き寄せなさい!」
スペードの装備は元々部下に守らせているような高い魅力持ちのカマキリだったので、その力で相手を近づけるのも離すのも自在にできるようになった。
本能でスペードからの距離を選択させられる。それからプレイヤーは上位プレイヤーでもない限り逃げられない。
「うわっ!3位だ!」
走り抜けて近くにいたターゲットに簡単に接触できた。
ライトの毒の海の中で生きられるくらいに耐性があるのだから、基本を押さえているんだろう。
あるいは、全耐性を取ってあらゆる攻撃から身を守るタイプなのかもしれない。
接触から数秒でそこまで考えたスペードは一気に倒すためにガンガン攻めた。
「悪いけど、1キルでも稼ぎたいからやらせてもらいます。〈サイレントカッター〉」
本人ごと音も姿も消して相手に驚きを与えた。
それで出来た隙をついて大鎌で切った。
その一撃で終わった。
「うん?今の顔って確か通常のランキング15位の剣と盾の人。あの人ならこの毒の海でも生きてるのは納得がいきますね。トッププレイヤーですから」
倒した相手のことを思い出してスペードは褒めた。
かなりのゲーマーだから相手への敬意は忘れない。
でも、スペードはそのまま次のターゲットを狩りに急いだ。
残り時間25分。
----------------------------------------
あの後鎮座する最強に誰も挑まずにイベントが終了した。
終わるとあのアバターの人が「終了ー!」と言って5秒後にライト達を元のフィールドに戻した。
その噴水の広場の中心に台があってそこに3位から1位までのプレイヤーが戻されると同時に立たされた。
「最初のイベントだからそんなに派手にならないと思っていましたが、裏が大変になるくらい派手な戦いでした!そんな戦いの3人の勝者に拍手をお願いします!」
あのアバターがゲームに完全ログインして3人を称えるようにそう言った。
それに多くのプレイヤーが賛同して大きな拍手を送った。
そんな3人のプレイヤーに運営がインタビューするためにしばらくして静かにさせた。
そして、3位の人にマイクを渡した。
「さて、今回の初イベントのインタビューの時間と参りましょう!3位のトーマさん、どうぞ!」
キル数2754人、シルバーブロンドのストレートヘアをいじる白い鎧の大盾と銃の使い手。
彼もまた男の娘のプレイヤーだ。
その実力は言わなくても分かるくらいに凄まじい。
「あっ、あの、歩く要塞トーマです。私は男の娘ですけど、性別の押し付けが嫌いだから見た目からちゃんとしてる人達は玉砕しました。えっと、これからも男女ともに倒すので近寄らないでください」
ハスキーボイスよりちょっと低い声で、コミュ障のような話し方で彼はそう言った。
その発言に場は騒がしくなった。
モンスターシリーズ無しでスペードと肩を並べる実力があるのだから、そんなことは可能だから厳重警戒でマークするのは当然だ。
そんな状況に困りながら運営のキャラが次に回した。
「えっと、それじゃあ次に参りましょう」
「スペードです。いつも通りだから何も言うことがありません」
スペードはそれだけ言ってマイクをライトに笑顔で手渡した。
さらに運営さんが混乱したけど、それを無視してライトが話した。
「僕はライトです。このスペードの恋人をしてる男の娘です。僕はやられたらやり返す主義なので、僕に挑戦しようとする皆さん!やるなら僕に返されるくらいにやってください!バトルロイヤルの覇者として立ち塞がってやるからさ!」
前の2人が変な空気にしたのを一気にライトが再燃させてみんなを熱くさせた。
一気に最上位プレイヤーの貫禄を見せたライトは、前の2人で荒れた掲示板サイトで希望の光となってみんなの倒すべき目標となった。
そうなってくれたことにこの場に合わせてしまった運営さんもホッとした。
こうして第1回イベントは終わって解散になった。




