篭の中の鳥
とある病院の一室。
清潔感に溢れる部屋に横になる少女が一人。
窓は締め切られ、高く昇った太陽は風が通り抜けられない窓を付きぬけて部屋を明るく照らす。
少女はじっと窓の外を眺めている。
ヘッドフォンからは軽快な音楽が流れている。
それにあわせてぼそぼそを口ずさむ少女。
あまりにも小さい声のため本人すら聞き取れていないが、歌の内容は自由を渇望するあまり鳥かごから逃げ出す…
そんな歌であった。
コン、コン、コン
「はい…」
窓からゆっくりと視線を部屋と同じく真っ白なドアに向ける。
ドアノブが動きゆっくりと開かれ、これまた真っ白な服に身を包んだ看護士が部屋に入ってくる。
「はーい、検温の時間ですよー」
間延びした声の看護士は「どこか調子の悪いところはありますか-?」と聞きながらなにやら持ってきたボードに記入をしつつ体温計を目の前に差し出す。
「いえ、特に変わったところはないです」
少女は無表情で体温計を受け取る。
「じゃぁ、いつもどおり何かあったら呼んでくださいねー」
「はい…」
いつもどうりの会話。
少女と看護士は何度も、何日も、何週間もこのやり取りを繰り返している。
お互い飽きること無く…と、言うよりも仕事で行っているのと、聞かれるから答えている、タダそれだけ。
体温計をわきの下に挟み、少女は再び横になる。
窓ではなく天井を見上げて。
ヘッドフォンからは少女のよく知る歌が流れていた。
顔の知らない名前も知らない5人組の名前も無いグループの作った曲。
少女はうつ向いた。
その曲は素晴らしい出来だった。
それこそ今市場を賑わせている歌手に負けないぐらい。
だからこそ、悔しかった。
インターネット掲示板の書き込みでしかしらないが、彼等は皆近い年代らしい。
ここから動けない自分とは違ってなんと輝かしくみえることか。
少女は天井を見つめながら一筋涙を落とした。
体温計が計測終了を伝える音を無感動に伝える。




