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センパイの好奇心

「や……やだ。なんかやっぱりこの体制エロいよ。霧島」

そう言って霧島の膝の上に座らされた格好の東郷が、赤面ししどろもどろになる。

「キス、してみる? 気になっているんでしょう?」

そう言って霧島が東郷の顔を覗きこむと、東郷は口ごもる。

「そ……それは……そのっ……」

下を向いた東郷の顔を両手で包んで、霧島が覗きこむ。

「してみれば? ほら」

そう言って霧島は目を閉じた。

「う……ううう……。ほんとに、本当にしちゃうんだからなっ!」

そう言ってぎこちなく東郷は霧島の肩に手を置いた。

東郷の伏せた睫毛が微かに震えて、漸くの事で掠めるだけの不器用なキスが降りてくる。

東郷は俯いて、緊張のために眦に微かに涙を溜めて震えている。

「欲情しちゃいました。センパイ責任とってください」

眼下で霧島がにっこりと微笑むと、東郷は手首を掴まれ引き寄せられてしまう。

その胸に抱き竦められ、じたばたともがくと霧島の唇が降りてきた。

少し、かさついた薄い唇が、思ったよりもやわらかくて驚いた。

(身体は入れ替わっても、霧島と自分がキスをしている)

それは確かに感慨深いものなのだけれど……。しかし……しかしだ。

思い描いたものと立場が全く逆で、東郷は霧島のキスに腰が砕けそうになった。

軽く触れ合うキスから、徐々にそれは激しさを増していき、侵入してきた霧島の舌が濃厚に絡め合わされる頃あいに、東郷が音を上げた。

「や……ちょっと……ま……て、お前、エロすぎ」

やっとのことで霧島のキスから逃れ、身体を離した東郷は赤面し、眦に涙を溜めて霧島に抗議した。

「センパイ……可愛すぎ」

そういって霧島は噴き出した。ひとしきり笑い終え、溜息を吐くと東郷に向き直った。

「なんか欲情する男の気持ちってのが、ものすごくわかりました。いいですか? センパイ絶対に他の男の前でそんな顔見せちゃ駄目ですよ。速効で犯されちゃうんですからね。ちなみにその身体、一応まだバージンですし」

その瞳に灯る、情欲の炎が東郷にはわからない。

「お……おう。なんだかよくわかんねーけど、この身体はお前のもんなんだし、絶対に守って見せるぜ」

と東郷は真顔で頷いた。

霧島はそんな東郷の様子に苦笑し、東郷に軽く触れるだけのキスをした。

「まあ焦らずに、おいおいお互いに身体の方も馴らしていきましょう」

身体を離し、霧島はベッドから降りて背伸びをした。

「さてと……じゃあ俺はさっきセンパイに教えて貰ったところを復習してきますんで、センパイは先に寝ててください」

そう言って部屋を出ようとする霧島を東郷が追いかける。

「あっ、待って。俺も行くよ」

霧島を追って、東郷も書斎に向かったのだが、ものの30分もしないうちに霧島の隣でうつらうつらと船を漕ぐ始末。

本格的に東郷が寝入ったのを見計らって、霧島は参考書を置いた。

東郷を抱き上げ、愛おし気に寝室に運び、壊れ物のようにそっとベッドに横たえた。

閉じた双眸が普段よりも幼く見える。

その頬にそっと触れて、霧島は満足げに微笑んだ。

「絶対に受かってみせますから。少しだけ待っていてくたさいね」

霧島は東郷の耳元にそう囁いて、部屋を出た。




◇  ◇   ◇




「あっ、しまった。寝ちまったし」

ベッドの上で意識を覚醒させた東郷が、がばっと飛び起きる。

サイドテーブルに置かれてあったデジタル時計が、午前6時を示していた。

「あっ、おはようございます。センパイ昨日お風呂はいらないで寝ちゃったでしょう? お風呂沸かしましたから、はいって」

そう言って霧島はにっこりと微笑んだ。

「お前は? ちゃんと寝たのか?」

東郷が心配そうに霧島の顔を覗きこむ。

「まあ、一応は」

そう言って、霧島は曖昧に笑って見せた。

「じゃあ、俺、弁当作るわ」

そう言って部屋を出ようとする東郷の手を霧島が掴む。

「お弁当より……とりあえず、お風呂……ね」

そのまま霧島が背後から東郷を抱きしめる。

「女の子なんだから、きれいにしなくちゃ」

東郷は霧島に耳元で囁かれ、ついつい赤面してしまう。

しかし東郷はどうしてもこのスチェーションに慣れない。

やっぱり今もまだ、胸が高まり赤面してしまう。

「き…霧島顔近いって」

耐えかねて、東郷が抗議の声をあげる。

「いけませんか?」

霧島がにっこりと微笑む。

「いけないっていうか……そのっ、まだ慣れなくって……どきどきしちゃうっていうか……まあそのことはいいとして、登校前に風呂に入るよ。やっぱり女の子だもんな。お前も俺にきれいにしていてほしいよな」

「まあ…ね」

そう言って霧島は、東郷の衣服を脱がせはじめた。

「やっ……ちょっと、お前なにして」

「服脱がないと、お風呂入れないでしょう?」

そう言って霧島が、東郷が着ていたTシャツを脱がせると、霧島の下着が露わになる。

「やあっ…自分でできるよ、霧島。なんか恥ずかしいって」

「どうして? もとは私の身体なんですから、私は見慣れてます。恥ずかしがることなんてありませんよ」

「っていうか、お前なんか脱がし方もエッチぃし……」

東郷が赤面し、うろたえる。

「気のせいですよ、センパイ。センパイこそ欲求不満なんじゃないですか?」

「そっ、そんなことないっ!」

「じゃあ、いじってみましょうか?」

東郷を壁際に追い詰め、霧島が微笑む。


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