表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
21/47

1-21キメラの孵化①

ラオスは大きく目を見開きながら、

何故、番は自分を押したのだ?

この寂しくぽっかり空いた冷たさはなんだ。


(つがい)が離れていく!!


番が離れて……ブワッと魔力が暴走しそうになった、

まさにその瞬間、アルコールの匂いが鼻腔を突いた。


「じいさん、薬酒をぶっかけたぞ!」

「わかぁぁぁぁ!」


誰かの声とアルコールの匂いが

ラオスの膨らんだ魔力を霧散させたが、

ラオスとしてはそれどころでは無い。


私の番が…何故離れていく?

目の前には恋焦がれた…つが…いや人間?

ただ、泣いてる女の子がいる。


自分は今どこにいて、何を見ているのかさえ掴めなかった。

目の前の女の子に嫌悪感なんてない。

ただ、解らない。ふわふわした温かい明るい意識が遠のいていく。

これはアルコール……いやこの味は薬酒?!

何故!!?


「ゼン、そのまま若に術の重ねがけじゃ!

ワシに続け!回復、解毒、鎮静、安定、覚醒、再動」


「回復、、鎮静、安定、再動」


「何を省いておる!バカモンがぁ!」


「うるせー師範が早口すぎんだよ!」


「他の者は、ワシが術をかけたら、周りを抑えこめ。

 重量、遅延、広域指定拡散!」


当たり一面に光が走り、ルーナの身体が重く沈んだ。


「……最大で行くぞ。範囲指定・若

聖域帰還、浄術光舞、覚光一閃」


目をふさぎたくなるような閃光がラオスに向かって突き刺さる


空気が“抜けた”

魔力がごっそり消え、場が真空のように静まり返る。


「ゲッ……師範その三重は……本気のやつぅ……ヤバッ!」


「さっさと若を取り戻したら離脱するぞ!

人族なんかに関わってもロクな事にならん!」


「わ、わかったよ……!だからって俺に向かって殺気だすなよ~」


空からの黒い光を目視したドラガンは咄嗟に

「重量反射、遅延無効……1つ駄目になったか」

続けて

「覚醒、鎮静、指定範囲5」自分以外に動ける駒を作った。


「仕方ない。転移で離脱するぞ転移発動までは?」


「ぅ、う動けるのは3名ですが魔力が……あ、ありません。5分必要です」


「長いな……この魔石を使え、死にたくないなら2分で起動しろ。」


「は、はい。」

「各自で自制をかけろ。……ルーナ」


ドラガンは冷徹な視線をルーナへ向けた。


「八年かけて仕込んでやったのに、五文字すら言えんとは

くだらんゴミめ、計画の練り直しか。

まぁいい、プランが1つ潰れただけだ」


「若ーー」

「ラオスー」


ラオスが上を見上げる。


「じぃ……ゼンまで……」


「若、ご無事で!いや、今は再会の喜びより、さっさと離脱しますぞ!」


「じぃ待て、あの子を……」


ラオスがルーナを見るが

さっきまで感じていた熱がない。


「若、人族のおなごですぞ」


「あっ……あー、確かに……でも、確かに私の番……?」


「集中、正気、覚醒、解毒、清明。

――そして、これでも飲みなされ!」


激しい術の閃光がラオスの身体を駆け巡ると同時に、口内へ乱暴に注ぎ込まれたのは、

龍族の秘水『神真水(しんしんすい)

浄化が身体に染み込み、ラオスの意識が激しく揺さぶられる。


「ゼン、行くぞ!若を抱えろ」


「だから、師範、重ねがけしすぎだって!」


「ゴホッ...じぃ待て、あの子を!」


「わか!!本当に若の番なら、

私は、今頃若に吹っ飛ばされておりますぞ。

その感情は、ミラヴォスの粉末や血契の鱗粉の力で

心が酔っているせいです。

しかも、力が出ない竜胆蜜酒で飛ぶのも危うい」


「あっ、あ……そうなのか」


あの子は番ではなかった。本当に?

胸の穴も、呪縛のせいなのか。

寂しさも悲しみも止まらない。


「ゼン、皆の者帰るぞ!全員、加速を使え」

勢いよく飛び出す竜人達。


それを見てたドラガンは、

「待て」と静止の声を出す。


「竜人共帰って行くのか……愚かだな。

あれほどの力があれば我々など皆殺しにできたはずだ。

強者の驕りか、それともただの馬鹿か

竜族のアキレス腱を握る我ら人族を、

放置して帰るというなら……有難く受け取っておこう」


一方、ルーナは

「身体が、重い……」

なんだろう、この肌にねっとりとまとわりつく空気は。

さっきの師範って呼ばれていた竜人さんが放った術のせいなのだろうか?


ラオス、ドラガン、そしてルーナ。


三者三様の思惑が渦巻く戦場の空気を、

突如として、激しい空間の震えが引き裂いた。







お読みいただきありがとうございます。


宜しければ、モチベーション維持の為、反応を頂けると嬉しいです

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ