表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界転生した寿司職人ですが、神の包丁で魔王の呪いごと捌いてやります ~女神様は俺の寿司の虜ですが何か?~  作者: 小宮めだか
2部【王都 前編】 2章 冒険者ギルド『古龍の息吹』

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

86/99

Fランクの寿司職人

 ようやく遠い世界から戻ってきたようなルーシィさん。彼女はギルド受付という胆力を最大限に使い果たし、ギクシャクしたような動きで新しい書類をファイルから出した。


「えっとですね。ギルド入会を希望する方は共通語を書けねぇ方も多いんですよ。トラジさんもそうならそうと言ってくれれば」


 イライラしながら、金髪を何度も振り乱していたエレノール。

 俺の持っていた羽ペンを引っ手繰ると、両方の眉毛をぎゅっと寄せるようにして睨みつけてきた。


「あたしが書くからいいわ! トラジはそこに座っていて。あたしの質問にだけ答えてくれればいいから」


 それから自分の履歴書とでもいえばいいのか。それは全てエルフ娘が丁寧に書いてくれた。書き込みながら、時々ドスの効いた野太い声が出ていたのはエレノールらしい。

 ギルドの規約については、優しくルーシィさんが説明してくれた。エレノールと違って忍耐強く、ザックリとではあったが丁寧に教えてくれるので癒しタイムだった。

 説明された規約自体も特に難しいことは無く、クエストの契約内容は守りましょうとか、日時指定は忘れないようにとか、そういう自分にとっては当たり前な内容だった。しかしルーシィさんの口から、場合に寄っては死んでしまうこともある職業と言われた時は、分かってはいたが肝が冷えたのは事実だ。


「最後にギルド内の冒険者ランクについて、簡単な説明をしたいと思いまっす。トラジさんは最低のFランクからのスタートとなります」


 冒険者ランク制度。ファンタジー小説やアニメなんかでよく耳にする言葉だ。

 ギルドに入りたての者は、基本的には最低ランクであるFランクからスタートするらしい。ちなみに多大な功績やコネがあった場合は別。ランクはFからAまであり、その上にSというランクがある。Sランクは王国にも数人しかいない国家戦力クラスの冒険者を表すのだそうだ。


(そういえば魔王を追い返した英雄って話はどこに行ったんだ? あんまり公にはなっていないってことなのかな)


 まぁ、高ランクを求めているわけでは無く、この異世界エリュハルトでの創元師匠の過去の足跡を追うことが目的だから、そこはいいんだけれども。


「ほら、トラジ。色々考えこんでいるのはいいんだけど、入都審査の時に羊皮紙貰ったんでしょ? 渡さないとギルドリングに登録できないのよ」


 ギルドリング。

 ルーシィさんが手に持っている小さな銀製の指輪のことなんだろう。思ったよりも小さいので、自分の太い指に填めることができるのか不安になる。

 渡された羊皮紙の上にギルドリングが置かれ、銀色の指輪が一瞬淡い青色の光を放ったように感じた。これで登録できたということなんだろうか。


「これでギルド登録は終了でっす。ギルドリングをお渡ししますが、無くさないようにお願いします。始めは無料での提供ですが再発行はガルが掛かりまっすよ」


「そうなのか。俺、無くしそうでめちゃくちゃ怖いな。それに随分と小さい指輪だから自分の指に填まるのかわからない……あれ?」


 渡されたギルドリングを右手の薬指の前に持っていくと、先ほど同様に指輪自体から淡い光が放たれた。銀色の金属が震えるように膨らみ、そのまま指に通すとまるで自分専用に作られたかのようにピタリと填まった。

 なにこれ。すごくないか。


「無くす人や盗まれてしまう人が時々います。『キルギア銀』という加工に適した魔法金属を使っているので割と高値で取引されてしまう為ですね。身分証明も兼ねている指輪なので、しっかりと自己管理をお願いしまっす」


 なるほど、魔法的な銀製のアイテムってことか。確かに自分の指の太さに合わせて形を勝手に変える金属なんて、高値で売れそうだよな。


「指から外さない限り大丈夫よ。言うほど珍しい金属ではないから、高値って言ってもたかが知れているわ。トラジの持っている神機の方がよっほどよ」


「そういえば焔刃が盗まれるとか、狙われることもあるなんて考えたこともなかったよ。ギルドリングも盗まれるなら、そんな可能性だってあるわけだしな」


 俺とエレノールの会話を聞きながら、最後にルーシィさんが付け足した。


「冒険者ギルドは常に人を募集しているのが現状です。希望者は割といるんですが審査で落ちる方が大半でっすね。そしてDランクに上がった辺りでの死亡率が極端に高くなります。Cランク以上の冒険者からは数が少なく、段々とランクアップの審査も厳しくなります。その分実入りも多いのですが」


 エリュハルトという異世界ではあるが、ゲーム世界のように安全ではなく危険や死と隣り合わせであるってことがよく分かるルーシィさんのひと言だ。

 そんな中で寿司職人、いや料理人としてこれから何ができるのか。

 創元師匠が俺をこの世界に送り出した意味とはいったいなんなのか。

 深く考え込むと、包丁ケースの中に入った焔刃が柔らかく微笑んだような気がした。


(トラジ、少しずつで良いのです。今は力を付け、来るべき世界の大いなるうねりに備えなさい)


キルギア銀……六陸連合共和国のドワーフ族の国でよく産出される魔法の銀の一種です。

割と小ネタ的に色々と仕込んでいますが、後で効いてくるかな?

今後本筋に関わってくるか……分かりませんがね(苦笑)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ