表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界転生した寿司職人ですが、神の包丁で魔王の呪いごと捌いてやります ~女神様は俺の寿司の虜ですが何か?~  作者: 小宮めだか
2部【王都 前編】 4章 王都での基盤

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

103/110

ベルガの協力とトラジの想い

さて王都前編 第4章です。

2巻部分はこの章にて終了になります。つまりはまだまだ続くということです。

王都で寿司を広げるために、トラジがどう動くのか。

楽しみに読み進め下さい。

 次の日の朝。ギルドには俺とベルガの姿があった。

 実は、ベルガの泊まっていた宿を自分も使わせてもらうことになったんだ。

 Fランクの状況を脱するまでは、何かと物入りだろうと心配してのことだ。


 確かにラベルク村からのお礼があるとはいえ、贅沢は言ってられない。

 冒険者としてこれからやっていくためには、まずはガルを稼がないといけない。

 店を構えるという大目標もあるから余計シビアに考えていかないと、無計画なままでは先が見えている。

 エレノールのことは気になる。ルーシィさんの話では魔導の傷は『重症治癒』を使ったとは言え安静にして治すしかなく、2週間程度は掛かるのではないかという見立てだった。

 フィリナは冒険者になるために、教会内の仕事を整理したいと言っていたからここには顔を出してはいなかった。

 ちなみに朝早いのでグリューンは頭の上で眠ったままだ。


「トラジはこれからどうするのだ。お前の実力ならば気合を入れればランクアップも直ぐだろう。片っ端から討伐依頼でも受けるか。ワシのランクを使えばすぐに稼げるようになる」


 バキバキと腕を鳴らし、ぶんぶんと尻尾まで振り回し気合十分の様子を見せる。

 騎士団から謹慎処分を受けたとはいえ、表向きは3か月の休暇という扱い。だったらどう過ごそうが騎士団には文句を言われる筋合いはないと、俺のランクアップのための手伝いを自ら買って出てくれたという流れだった。

 ベルガは元々獣人の国ダーザルヒルムで名のある冒険者だった為、ランクはAと聞いてびっくりした。確かにこの毛玉のおっさんの協力を得られたなら、高いランクの依頼を回して一気に稼ぐことも可能なのかもしれない。


「それもいいと思うんだけど、実はちょっと考えがあるんだ」


 ベルガは俺の言葉に怪訝そうな顔をする。生粋の戦士として生きてきた経験から、ギルドの依頼ならばモンスター討伐が浮かぶのは当然だし、ガルも稼げて、ランクアップもしやすいという理屈はよく分かる。


「俺は寿司職人だ。王都で寿司を握りたい、寿司を広めたいと考えている訳だ。冒険者という立場で稼ぐのもいいんだけど、その先を見据えて動きたいんだ」


「なるほど。つまりお前は冒険者としてというよりは、王都で料理人としてどうあるべきかという独自の考えがあるという訳だな」


 まずはファーバンを見つける。更に調味料関係も探っていけないといけない。

 寿司と言えば酢と醤油だ。さすがに醤油はエリュハルトにはないだろうが、酢であれば似たようなものがあるはずだと踏んでいる。


 俺とベルガは席に着くと朝飯に頼むことにする。

 『大地の恵みシチュー』という濃厚な味のする煮込み料理でとても美味しかったのだが、酒を飲んだ次の日の朝にしては少し重たいなと正直思っていた。ベルガは美味しそうにサイコロステーキ状の肉を噛みしめている。獣人は胃もパワフルなんだなぁ。さすがにその匂いにつられてグリューンも目を覚ましたが、あまり興味を示さなかったので頭の上で寝かせたままにした。起きるとなんだかんだとうるさいからな。

 その後、すぐにカウンター横の依頼掲示板に移動する。今日はルーシィさんが非番の日のようで、昨日見かけた犬獣人の男性と、てきぱきとよく動く短髪のフィーム族の女性が受付を回していた。


「トラジ、これなんかどうだ。王都の下水道に巣くう巨大ネズミを退治する依頼だ。Eランク依頼で1匹1000ガルだから結構稼げるぞ」


 下水道のネズミ退治か。王都って下水道が整備されているのか、そっちの方が驚きだったけどな。自分の中の感覚の下水道完備というイメージとは違うような気もする。


「流石にこれから色々と市場に出向いて食材を探そうって思っているのに、下水道のキツイ臭いが身体に染みついてしまうのは勘弁だな。それよりもこっちはどうだ?」


 指差したのは、昨日の朝偶然見つけて気になっていた研究用の魚を採るという依頼。ベルガも受注しろと催促されて、そのままにしてしまったものだ。まだ誰にも取られていなくて良かった。1匹800ガルなんて、かなり破格だからな。焔刃の竿化能力を使えばたぶん余裕と見た。釣り上げた時に『食材探知』をしてみて食べられそうなら味見をするのもいいんじゃないかな。

 俺はその依頼とは別に、いくつかのFランク依頼を掲示板から外して選んでいる。


「その依頼書の束はどうするつもりだ。まさか他にも依頼を受けるつもりなのか」


「ふっふっふ、その通り! 魚の依頼も勿論受けるさ。もちろん行ったからにはベルガも手伝ってくれるんだよな?」


 不敵な笑みを顔全体に滲ませて、ベルガの方を振り向く。その表情に一抹の不安を覚えて目元を泳がせる白い毛玉のおっさん。

 Fランクの依頼書の束に驚く受付の犬獣人の男性職員フィンさん。それでも手際よく処理をしてくれる。奥の女性職員ミリアさんも目を丸くしていた。

 どうやら一度に多くの依頼を受注するというのは珍しいとのこと。元々自分が日本人であるからなのか、真面目で効率的を求めるという当たり前の感性はエリュハルトにはあまり当てはまらないらしい。更にFランクという地味依頼は報酬も安く、なかなか消費されなくて逆に困っていたから有難いそうだ。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ