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仕事

朝露に濡れる小道を、アメリアは一歩一歩踏みしめながら歩いていた。

レオンたちと別れて以来、村外れの安宿に身を寄せ、日雇いの労働を渡り歩いていたが、貯えは底を尽きかけていた。


(仕事……見つからなかったら、今日のパンも買えないわね)


空腹と疲労のせいか、ふらつく足元に気づかぬまま、彼女は角を曲がる。

そのとき――


「きゃっ!」


「おっと……!」


小さな悲鳴とともに、前から来た老婆と衝突し、抱えていた薬草の籠が地面に散らばった。


「す、すみませんっ……!」


慌ててアメリアは膝をつき、散らばった薬草を拾い始める。しかし、老婆はその場で膝を押さえ、顔を歪めていた。


「足が……どうやら捻ってしまったようだよ……」


その足はすでに腫れ始めていた。アメリアは迷わず、老婆の腕を取り、路地裏の石塀にもたれさせた。


「動かないでください、冷たい水と布を――!」


近くの井戸から水を汲み、店の軒先から古布を借りてくる。素早く患部を冷やし、布で軽く圧迫する手つきに、老婆は目を細めた。


「……その手つき、ただの娘にしては手慣れているね。」


「昔……少しだけ、お世話になった人が薬草の知識を教えてくれて……」


アメリアははにかむように笑った。かつて、病弱だった母に寄り添ってくれた老薬師の姿がふと脳裏をよぎった。


老婆はやがて顔を上げ、ふっと息をついた。


「……助かったよ。名を聞いても?」


「……アメリア、です。」


「そうかい、アメリア。あたしはミレーユ。ここで薬屋をしてる。売り子が逃げちまって困ってたところさ。……あんた手伝ってくれないかい?」


アメリアの目が驚きに見開かれた。


「えっ……本当に……?」


「もちろん。助けてもらった恩は、ちゃんと返す主義でね。あと、薬草を扱える娘は貴重だよ。」


初めてかけられた、「必要とされる言葉」。

胸の奥がじんと熱くなって、アメリアは無意識に涙ぐみながらうなずいた。


こうして、アメリアは“薬師の見習い兼売り子”として、新たな一歩を踏み出すこととなった。


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