■第6話 バレてた
「いやー、まさかこんな簡単に吸血鬼ゲットできると思わなかったぜー!」
「計画通りでしたね、流石はアリスさまです」
モニカが無表情でパチパチパチと拍手をしている。
あのー。
私はボールに吸い込まれて図鑑に載るタイプじゃないですよ、姫さま。
なんだろう、こっちの柄の悪いのが本性ってことなんだろうか?
さっきまでの綺麗なお姫さまを返して欲しい……。
首輪をこっそり鑑定してみると、驚いたことにこれレベル9の呪術が込められている強力な呪具のようだった。
これって解呪できるかな? ……いや、それは後でいいか。とりあえずこのまま街まで連れて行ってもらおう、いざとなったら逃げればいいし。しかし、なんで私を? 吸血鬼ってことも知ってるみたいだし。
「あのアリスさま……ちょっといいでしょうか?」
「ああん、なんだよ」
いやいや、お姫さまが『ああん』とか言っちゃダメでしょまったく。
まぁいいや、とりあえず今は疑問に答えて貰いたい。
「なんで私の事を吸血鬼って知ってるんでしょうか? それから奴隷ってどういう事です?」
「んー? あぁ、説明めんどいなー」
いや、めんどいってあんた……教えてもらわないと私は状況がまったく理解できないんですけど。
「そういやお前、鑑定スキル持ってるんだよな? ちょっと私を鑑定してみろよ」
んん? どういう事だろう、分からない事が多すぎるな。
とりあえず言われたように鑑定してみることにした。
「では、失礼して……《鑑定》!」
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【基本情報】
名前:アリスレート・ラフローグ
年齢:16歳
種族:人間
性別:女性
Lv:283
加護:剣神の加護
【属性】
火:Lv7/水:Lv6/風:Lv6/土:Lv6/光:Lv8/
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レベル283って森で見たどの魔獣よりも高いな。
それに属性も闇以外全部持ってるし、レベルもそこそこ高い。
……え~とじゃあ、スキルは?
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【戦闘スキル】
剣術 Lv10 剣聖術 Lv8
格闘術 Lv5 属性剣 Lv5
【固有スキル】
予知能力Lv7 悪意感知Lv9
【補助スキル】
気配察知Lv7 鑑定 Lv7
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剣術なんかの戦闘スキルのレベルが高いし剣士系なのかな?
ってか剣神の加護ってなんだろ?
加護を持ってるって事は、もしかしてこのお姫さま相当強い?
これ、この人だけでさっきの魔獣全部倒せたんじゃないの?
強いはずなのに、なんで馬車の中で優雅に座ってたの?
あっ!
このお姫さまも鑑定持ってるんだ、さっきジッと見てたのは鑑定してたのか。
でもそれは偽装したステータスだし吸血鬼だってばれないはず。
私の偽装はレベル9なので、レベル7の鑑定では見抜けないはずだ。
なんでバレたんだろ……んんっ?
――予知能力?
なんだこのスキル? 未来が見えるってことなのか?
しかし、これを見てもよくわからないな……
「あの見ましたが……」
「モニカー、説明頼む」
そう告げると、アリスは座席に片足を上げたまま寝っ転がる。
うーん……スカートの中が見えそうで見えない。
モニカさんの位置からなら見えそうだな……場所変わってもらえないかな?
……いやいや、今はそれどころじゃなかった。
しかしこのモニカさんは最初と変わらないな、見た目どおりクールな人のようだ。モニカはアリスの方をチラッと見て。
「はしたないですよ」
と、注意をするもアリスは。
「ドレスって重いから疲れるんだよー」
なんて言いながら寝そべったままぐてーとしている。
「はぁ」
ため息をつきながらモニカが話し始める。
「では簡単にご説明させていただきます、あなたは吸血鬼を封印していた祠の結界を破りましたね?」
え? なんでバレてるの?
結界はちゃんと張りなおしたのに……。
「あの……なんでそれを……?」
「あの結界は、我が国の筆頭宮廷魔導士フィオナさまが施されたものです。破られれば、即座に把握できるのです」
えっ? それってもしかして結界が破られたら、すぐに分かるようなシステムになってたってこと? じゃあ張りなおしたの意味なかったのか、あんなに頑張って張りなおしたのに……。
「その方が結界破られたのに気づいたと?」
「はい、そしてアリスさまの持つ予知能力で今日あの場所にあなたが現れることが分かりました。ですので、こうして我々があなたを捕獲しに参りました。」
なるほどそういうことか――って捕獲ってなんだよ!
もしかしてモニカさんも結構口悪い?
まったくなんなんだよ、さっきから人を害獣みたいに……ん?
……美少女に捕獲される?
……それはある意味ご褒美?
いやいや、そうじゃない。
落ち着こう、混乱して思考がおかしくなってた。
問題はこの後どうなるかだよね。
「あのー、それで私はどうなるのでしょうか?」
そう尋ねると、座席に寝転んでいたアリスが真剣な表情でこちらに視線を向けた。
「その前に、お前に一つ聞きたいんだが」
……もうお前呼びが定着しちゃったんですね。
まぁクレアさまとか呼ばれるよりはいいけど。
「なんでしょうか?」
呆れている私に平坦な口調でアリスが告げる。
「お前、誰よ?」




