■第20話 確認は大事!
はい、というわけで混浴という夢は叶いませんでしたが。
アリス達が出てきた後、私も一人でお風呂に入ることになりました。
モニカに使用人用の浴場へ案内され、使い方を一通り教えてもらったんだけど。
なんと! このお城。上下水道が完備されてます!
そして洗い場には蛇口があり、ひねるとお湯が出てくる。
なんでも魔石と呼ばれる不思議アイテムを使ってるらしい。
その上、シャンプーやボディーソープのようなものまでありました。
まぁ、もちろんポンプじゃなくて瓶だったんだけど。
そして脱衣場にも洗面台や大きな鏡まである。
これはあれだな。たぶん使徒さまって人が広めたんだろう。
便利で助かるけど、この世界の文明の進歩を歪めちゃって大丈夫なんだろうか?
などと考えながら私は今、脱衣場で服を脱いでいる。
最初は見ちゃっていいのか悩んだけど。
覚悟を決めて服をすべて脱ぎ鏡の前に立って恐る恐る目を開く。
まぁ、実際見ちゃうとどうってことはないかな。それに、この体の本来の持ち主に対して妙な罪悪感もあったのでそういう気分にはならなかった。
……すいません、嘘です。ちょっとだけ興奮しました。
でも胸とか揉んではないよ?
……いや、ちょっとだけ触ったけど。
いやだってしょうがないじゃん!
前世ではこんなの付いてなかったんだから!
確認くらいしたくなるでしょ普通!
これからはこの体で生きていくんだから。
しっかりと確認しなきゃいけないんだよ。
うんうん、確認は大事!
……まぁその、柔らかかったです!
しかし改めて見ると、ほんとに女の子なんだなぁ私。
私は再び鏡に映る自分の姿を確認する。
白い肌に、細い腕。腰も前世よりずっと細いし、脚だってすらっとしている。
思わず鏡の前でくるっと回ってみる。黒い髪がふわりと揺れた。
「うーん……やっぱり可愛いかも?」
うん、悪くない。
というかかなり美少女なのでは?
女神さま、盛るってこういう意味だったのかな?
……まぁ、中身はこんなんだけど。
そんなことを考えながら、私は浴場の扉を開けた。
ふわりと暖かい湯気が流れてくる。
使用人用とはいえ、さすがお城の浴場だ。十分広い。
とりあえず体を洗おうと思い、洗い場へ向かい椅子に座る。
蛇口をひねると、すぐに温かいお湯が流れ出した。
「文明って素晴らしいね……なんかここが異世界だってこと忘れちゃいそうだよ!」
ボディーソープっぽい液体を手に取り、泡立てながら腕を洗ってみる。
「おおっ、いい匂い」
花みたいな甘い香りがふわっと広がる。
髪も洗ってみたけど、これまたすごかった。
サラッサラである。
そして体を洗い終わった私は、湯船の方へ向かう。
立ちのぼる湯気。キラキラ揺れるお湯。
私はゆっくりと足先から湯船へ入っていく。
「ふあぁー、あったかい」
お風呂なんて前世も含めてかなり久しぶりだ。
「まさか異世界でこんな風にお風呂に入れるとはねぇ」
しかしアリスたちと一緒に入るにはどうすればいいんだろう?
お城にいる間は皇族用の浴場だから無理か。
そういえばこの世界にも温泉とかあるんだろうか?
今度それとなく聞いてみよう。
旅行とか行った時なら一緒に入れるかもしれないし……いや、お姫さまがそんな気軽に旅行なんて行けないか。
いったいどうすれば……。
そんな感じでいろいろと邪な事を考えていたらちょっと長湯してしまった。
「おっと、そろそろ出ようかな」
ザバッと音を立てて立ち上がり脱衣場へ向かう。
「ふぅー、いいお湯だったなぁ……ん?」
ふと洗面台の脇の方をみると、なにやら黒っぽいものがあった。
「これ……もしかしてドライヤー?」
手に取ってみると素材はプラスチックや鉄ではなく木製のようだ。
スイッチのようなものがあったので押してみると。
ブォーと暖かい風が吹き出した。
ドライヤーまであるのか……どんだけ快適なんだよこの世界。
この調子だと、そのうちエアコンとか冷蔵庫まで出てくるんじゃないのか?
……いや、さすがにそれはないか。




