■第15話 お城での生活
誤字報告ありがとうございます。修正させて頂きました。
――というわけで!
なんと私は今、お城で暮らしています!
「いや~、人生何があるかわからないよね」
……私、人じゃないけど。
アリスの私室の隣にある小部屋を使っていいと言われたのだが――中に入ってびっくり。広さは十分すぎるほどで、ふかふかなベッドにソファー、クローゼットまである。っていうかこれ、使用人用の部屋じゃないよね? お客さんとかが泊まるとこなんじゃないの?
ほんとに使わせて貰っちゃっていいのかな?
と、思ったけどせっかくなのでありがたく使わせてもらうことにした。
そしてなんと!
昨夜は念願の温かいごはんを食べました!
まぁ、ごはんじゃなくてパンだったんだけどね。
メニューはパンとシチューだったんだけど。特にシチューはクリームシチューみたいな感じで、鶏肉っぽいお肉が入ってて、それがめちゃくちゃ美味しかった。
欲を言えばお風呂にも入りたかったけど、この世界にお風呂文化があるのかもわからない。おなかいっぱいになったせいか眠くなってしまったので、その後はふかふかのベッドでゆっくり眠らせてもらいました。
私は吸血鬼だけど別に夜行性ではなかったようだ。
「でも、あのお肉――なんのお肉かわからないけどおいしかったなぁ。また食べたいなぁ」
昨日の夕食に思いをはせながらニマニマしているとコンコン、と扉がノックされる音が聞こえた。
「あっ! はい」
誰だろ?
「失礼いたします」
メイドのモニカだった、どうやら朝食を持ってきてくれたようだ。
「あっモニカさんおはようございます。わざわざすいませんね」
「いえいえ、これがわたくしの仕事ですから」
そう言いながらモニカはテーブルの上に紅茶とサンドイッチを置いてくれる。
卵焼きのサンドかな? うん、こうやって毎日ちゃんとごはん食べられるって幸せだなぁ。
「わぁ、おいしそうですね。もしかしてモニカさんが作ってくれたんですか?」
「はい、クレアさまは暫くの間お食事もお部屋でとっていただくことになりますので、しばらくはわたくしがご用意させていただきます」
「そっか、じゃあ昨日のシチューもモニカさんが作ってくれたんだね。あのお肉とってもおいしかったですよ」
しかしモニカさんって料理も上手なんだなぁ、このサンドイッチもおいしそう。
「いただきまーす!」
サンドイッチを手でつかみ、口に運ぼうとしたそのとき。モニカから衝撃の発言が飛び出した。
「あぁ、レッドバイパーのお肉ですね。まだ残っておりますので、お気に召されたのでしたらまたお出ししますよ」
――えっ?
――今なんて?
――バイパー?
――バイパーってなんだっけ?
どこかで聞いたことがある単語だった。
記憶をたどる。
そういえば森でアリスが戦ってた時に……ああっ! あのでっかい蛇か!
なんか鶏肉っぽい味だとなぁとは思ったけど……蛇だったか。
しかし、それって食べても大丈夫なの?
「あのー、つかぬことをうかがいますが。レッドバイパーってそのー、魔獣ですよね? 魔獣って……食べても大丈夫なんでしょうか?」
「はい?」
モニカが首をかしげながら答える。
「もちろんです、レッドバイパーは高級食材ですよ?」
「高級食材なんだ……!」
そういえば昨日戦闘の後、倒した魔獣を馬車の荷台に積み込んでたな。
荷台に積まれたフォレストウルフやオーガの事を思い出す。
そうか、あれも食べるのか……。
いろいろ話を聞いてみるとゴブリンなど食べられない魔獣もいるが、多くの魔物は食用になるらしい。
この世界にも畜産という文化はあるらしいけど数が少ないらしく。だからあちこちにたくさんいる魔獣の肉を食べるのが一般的、ということらしい。
なんというか……この世界の人はたくましいね。
しかたなく納得してサンドイッチを一口かじる。
これは何の卵だろう? と思ったが聞かないでおこう。
うん、きっと普通の鶏だ。
普通においしいし。
「それからクレアさま、メイドのわたくしに『さん』をつけるのはおやめください。敬語も不要です」
突然モニカが姿勢を正し、そんなことを言い出した。
まぁモニカとも仲良くなりたいしいいか。
「えっ、そう? ……わかった。じゃあ私のこともクレアでいいよ」
「――それは出来ません!」
かなり食い気味に拒否されてしまった。
「えっ? なんで?」
私がそう聞くと、モニカは少しだけ姿勢を正し、いつもより少し真剣な表情でこう告げる。
「キャラ設定が崩壊してしまいますので」
「……いったい、なんの心配をしてるの?」




