2.あの祠壊したんか!?
「やだーーッ!!!!」
俺は泣き叫んでいた。
「やだやだやだやだやだやだッ!死にたくたい!死にたくないよぉーーッ!やだやだやだああああぁぁぁぁッッ!!!!」
それはもう部屋で駄々をこねる小学校低学年が可愛く思えるほど駄々をこねまくった。
「生ぎたいっ!!!!」
俺はもう涙と鼻水とヨダレですごい顔になっていた。
俺は散々泣き叫んだ後、落ち着いて深呼吸をし、ある結論に至る。
「夜逃げするか」
まだ物語はスタートしていないはず。
つまり元から俺という存在が居なかったことにすればいい。
そもそも俺は何も悪いことしてないし、今日突然前世の記憶が蘇ったと思ったらこの世界がゲームの世界で、下手したら1ヶ月後の入学式で死亡ルートに突入だよ。
なに?頑張って勉強して志望校に行ったら死亡するって。
ふざけんな。
「財布よし、貯金よし」
ありがとう顔もあまり思い出せない親戚のクソ野郎。
この金があれば海外にだって逃げられる。
俺はとりあえずコンビニでいくらか金を下ろす次いでにコンビニ弁当とデザートにドーナッツを買って駅へ向かった。
「ん?」
その道中だった。
道の脇にある小さな祠。
鳥居は折られ、小さな狐の像は砕かれ、祠は見るも無惨に壊されている。
どう見ても人の手による物だ。
「確かここって··········」
ヒロインの1人、天狐の家である祠だ。
しかし俺の記憶が正しければこの祠が壊されるイベントは無いはずだ。
それとも本編で無いだけで本編が始まる前に壊され、その後に誰かが直したのかもしれない。
「··········まぁ祟られる事はねぇだろ」
俺は1度戻ると近くにあるカインズホー〇で釘やハンマー等を買ってから再び戻ると壊された鳥居や祠を簡易的ではあるが修復する。
そして祠の前に買ったコンビニ弁当とデザートを置くと2回「パンパンッ」と手を叩く。
「どうか幸せになってください」
天狐は俺の推しキャラでもあるのでどうか主人公と幸せになって欲しい。
まぁ裏ヒロインなので結構めんどくさいイベントが多いのだが、きっとこの世界の主人公ならやってくれる。
俺信じてるからッ!
そうして俺はこの町から逃げる為に駅に向かった。
向かうはずだった。
「え?」
何故か祠の前に戻ってる。
なんで?
「道を間違えたかな」
そう言って再び駅に向かう。
祠の前にいる。
「なんで?」
今度は全力疾走で駅に向かう。
その度に祠を通り過ぎる。
俺は10回ほど祠を通り過ぎてから祠の前で止まる。
「なんで?なんで!?世界ッ!?」
祟られた!?もしかして人間風情が勝手に触れたのが神様的にポイント低かったッ!?もしかしてもう死亡ルート突入しちゃったのッ!?
次の瞬間、祠の周りに青い炎が「ボッ」と無数に発生し、それらがぐるぐると円を描くように回り続け、次第にひとつの炎となる。
「クックックッ、お主の願いを叶えてやろう」
そうして現れる狐の尻尾と耳を持つ神、天狐。
「さぁお主よ、我を幸せにするのじゃッ!」
「願いって返品できますか」
「こやッ!?」
これが俺と天狐の出会いだ。
▱▱▱▱▱
「ご飯できたから持ってって」
「こやっ!ごはん!」
部屋でだらーっとしていた天狐だが、食事と聞いて飛び起き、軽快な足取りで食事の元に向かう。
「こっややっ!こっややっ!こっややっ!」
何か変な鳴き声を上げながら、食事を卓の上に運び、運び終えると「こっやぁ〜ん!」と言う。
よくわからん天狐の鳴き声だ。
そして俺も食器を洗ってから食事の置かれたテーブルの前に座る。
「ちなみにこのコメにかかったものはなんというのじゃ?」
「カレーだ」
「かれぇと言うのか!なんとも美味しそうな名前じゃ!」
そうして天狐が「いただきます」と言うとそのままスプーンでカレーを食べ始める。
そして一口食べれば「美味いのぉッ!」と満面の笑みになる。
俺の推しが俺の飯を食って喜んでいる。
(どうしよう、めちゃくちゃ幸せなのにあと数ヶ月以内に俺殺されるし天狐が主人公に惚れるって現実に情緒おかしくなりそう)
高校行きたくない




