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OUT of REDs. 〜自我を撫でる現代怪異譚〜  作者: 痣矢
光がなければ影はできない。
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光がなければ影はできない⑤

「いや、その、違うんですよ」


「痩せすぎは!見ていて不安になるじゃないですか!?こ、これもプロデュースですよ!」


「え、え?ん?はい?」



これまでで、一番プラネが取り乱したように思えた。



『彼女、大食いキャラで売ってるんだよ。世間では、"見てて安心できる体型"って評判だよ』


「なんで錦さんが知ってるんですか...」


「鳩さんにも知られているぐらい有名ってことですよね!」


『そういうことだパオーン』


「いやもう、これ鳩じゃないってわかってるでしょ、貴女」


「いやでも!代謝がいいから、体型《スタイル》はちゃんと保ってますよ!」


『体重って言わないあたりがミソよな』


「鳩さん!?」


『てか、最近もっと大食いになってるよね?』


「鳩さん!?!?」


「いや、そういう話じゃなくて。広げないでください...というか、ん?」



明らかに識《ゴースト》の活性化は進んでるし、穴冠《アナカンムリ》は進まない...いや、加速はしているはずなのだが。寧ろ、いつもよりも安定している。その分、加速しているはず。なのに、なかなか進まない。

飛んでいるので、表現は正しくないがまるでランニングマシンを走らされているかのような...どれだけ加速しても、逆風が強すぎて、進まないというか...


御環《ミタマ》が振り返ると、プラネがバッチリ眼を見開いていた。



「やっぱり開いてる!!」



速攻で目を逸らす御環《ミタマ》。



「え?えぇ!?」


「閉じていてって言ったじゃないですか!」


「あぁ!ごめんなさい!」



プラネが目を閉じると、御環《ミタマ》と穴冠《アナカンムリ》が逆にブレた。今度は明確に減速した。境酔いも激しくなる。



「な、なんで...」


「み、御環《ミタマ》くん、大丈夫ですか!?」



びっくりして、プラネが目を開くとまた安定する。


明らかに彼女を中心に境《サカイ》が構築されている。これは、



「錦さん...彼女の式《カルマ》って、固定《リストレイント》ですか!?てか、本当にあったんですか!?固定《リストレイント》って!」


『多分、ビンゴだね。ま、私も鳩越しだから詳細は分からんけど。元々、固定《リストレイント》は観測しにくい式《カルマ》だし。保持者が少ないからね。歴史上何人か居たけど』


「待って!リストレイントって、束縛ですよね!?私、別に重い女じゃないです!!」


「だから!そういう話じゃないです!!貴女がこの空間の中心になってるんですよ!!」


「へ?」


『虫が背光反応で同じところをグルグル回っているようなもんってこと』


「あぁ!虫さんが照明のせいで方向感覚がバグってぐるぐる飛んじゃうやつですね!」


『いや、よく知ってるね。知らない!って流れだと思ってたわ。"虫がバグる"というのもなかなかセンスある。まぁ厳密に言えば、今回のは習性というより、空間自体がそうなってるって話だけどね』


「いや、だとして!どうやって脱出するんですか!?これ!?」


『いや、逆に見てもらえば良くね?』


「「え?」」


『コッチを中心に識《ゴースト》が境《サカイ》を組んでるんだから、コッチが出口を指定してやればいいじゃん』



それか!と驚くプラネ。



「...いや、それが出来れば苦労しない案件じゃないですか?」



冷めたように返す御環《ミタマ》。



「え、あ?え?今、答えが見つかった!って流れじゃないんですか?」


「いや、プラネさん、別に潮力《チョウリョク》の操作ができる訳でもないですよね?式《シキ》は扱えないでしょう?」



鳩が胸をふくらませて、ふんぞり返る。何とかして翼で腕組みしようとしているが、そこまでは出来ないらしい。



『いや、やらせてみよう』


「いや、それをどうやって?って話ですよね」


『プラネちゃん、決めポーズあったよね?』


「はい!あります!」


『アレを、ここら辺が出口だったらいいなぁって座標《ポイント》に、お客さんが居ると思ってやってみて』


「分かりました!」



そう言って、プラネは左手を前に出す。指は、人差し指と中指を合わせて立てる形。あまりに綺麗に指を伸ばすのでダブルデリンジャーと錯覚するほど。



「ズぅーーーーーキュンッ!」



そうコールするのと合わせて、右眼を閉じウィンク。前に構えていた左手は、クルッと捻って、開いた左眼を指の間に入れるようにピースに変える。まぁ、要はウィンク×ピースである。



キランッ!



謎の音が響き、プラネの左眼に光が瞬く間に収束。そして、発射された。一時的に、視覚、聴覚、触覚を焼き尽くすほどの。



ギィィイイイイイイイイッッ!!!



空間自体が悲鳴をあげるような、歯軋りをするような音が耳を刺す。

その先にはちょうどポッカリと、まるで食道のように穴が空いていた。空間を穿ったというより、そういう構造に強制的にされたと言うべき事態であった。



「ちょ、潮力の、指向性、放射...?」


『所謂、ビームだね...いやぁ〜私、4000年生きてきたけど、ここまでのを訓練なしでやったのは初めて見たよ...流石、"視線で魅せるアイドル"と言われてるだけはある』


「え、えぇ、な、何ですかコレ!?!?私、ビーム出した!?」



ここに居る誰一人、状況を掴めていなかった。


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