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OUT of REDs. 〜自我を撫でる現代怪異譚〜  作者: 痣矢
灯台もと暮らし。
19/27

灯台もと暮らし⑩

「さて、始めますか。練習」



そう言って、室内に入る御環《ミタマ》。



「あれ?練習するんじゃないんですか?」


「いきなり室外でやるようなことはしませんよ。一応、木漏《コモレ》さんにプラネさん用の訓練プランを渡されているので、それをしましょう」


「木漏《コモレ》さん、居なくなる前提だったのか...」


「木漏《コモレ》さんは多忙ですし、想定外の事態に対応しないといけないこともあるので、いつでも離席できるようにはしてるんですよ」


「準備いいんですね!」


「大半の外赫師《ガイセキシ》は討伐対象ですが、木漏《コモレ》さんが赫師《セキシ》から尊敬されているのはそこら辺ですね。」


「その赤師《セキシ》とか外赤師《ガイセキシ》ってのは?式者《シキシャ》と違うんですか?」


「式者《シキシャ》の中でも、"赤糸《セキシ》が扱えて、錦《ニシキ》 御旗《ミハタ》の門下に居る式者《シキシャ》"を赤師《セキシ》と呼んで、"赤糸《セキシ》は扱えるが、錦《ニシキ》 御旗《ミハタ》の門下に居ない式者《シキシャ》"のことを外赤師《ガイセキシ》といいます」


「ってことは、木漏《コモレ》さんは...」


「そうですね、錦さんの門下ではないです。所属的には。『あんなヤツの下に居れるか』と離反したのだとか」


「なのに私たちの面倒見てくれるんですか?」


「『錦のことは嫌いだが、後続は別』と言って後続の赫師《セキシ》の教育をしているんですよ。外部顧問みたいなものです」


「なんか結局、門下に」



プラネが口を滑らせる前に御環《ミタマ》が止める。



「それ言ったら木漏《コモレ》さん不機嫌になるので本人の前で言わない方がいいですよ。まぁ、式者《シキシャ》の中では不機嫌になっても会話してくれるし、会話できるので、いいんですが。木漏《コモレ》さん曰く『格好の問題だ』との事でした」


「拘りが強いんですね、式者《シキシャ》の皆さんって」


「かなり、テンションに左右される人達ですから。さて、プラネさん。今回の課題はコレです」



道中そのような会話をしながら、今回の訓練課題が置かれた部屋に来た。


そして、プラネに出された物は...



「ふぉ、ほ、方程式の計算ドリル...?」


「はい、他にもありますよ。これらをひたすら解いてください。僕は弾車の練習をしておきます」


「へ?これ?」


「はい」


「なんか、滝にうたれるとかじゃなくて?」


「ソレはもっと後です。まずはコレから」


「え?ほんとうに?」


「はい、式を扱うにはある程度の脳の演算能力が必要なので。特に逆算は必要です。要は脳トレですね」


「ど、どのレベルまで?」


「最低でも二次方程式の文章題までは解けるように」


「みんなできるんですか?」


「まぁ、だいたい。織雛《オリヒナ》さんも『微分積分、良い気分〜♪』ってくちずさんでますよ」


「そ、そうなんだ...」


「では、頑張ってください」



プラネが計算ドリルを頑張っている中、障子を閉めて隣の部屋で弾車を練習する御環《ミタマ》なのであった。


しかし、なんだかんだ言いつつ、



「そこは、4マスで整理すると楽です」


「イコール、というのは右も左も同じ大きさということなので、左にやったことは、右にもやってあげてください」


「どの数字がどの意味と繋がっているか、それを整理しながらやると進めやすいですよ」


「見るべきものは何か、逆に見なくていいものは何か。今必要なのは何か、それを得るにはどうすればいいか?というのを整理しながら解くのが方程式です」



と、ちょくちょく教えていると、



「そうです、割合も速度も同じことをやっています。"ひとつあたり、どれだけなのか?"です。これとこれが対応しているなら、同じことができる、言える。その関係性を把握するのが大切です」


「何と何なら、置き換えることができて、できないのか?関係性を把握できれば、それが分かります」



...結果的にプラネはmol計算までは行った。



「本当にmolまで行けたなんて...」


「え?行かないといけないんじゃないんですか?」



ヘトヘトのプラネ。



「いや、その、織雛《オリヒナ》さんのとか実は発破で...木漏《コモレ》さんからそうしろって言われてて」


「え!?織雛《オリヒナ》ちゃん、『微分積分、良い気分〜♪』って言ってなかったの!?」


「いや、それは言ってました。言ってただけです。語呂が良くて。直感派過ぎて計算苦手で」


「えぇ...」


「なんなら、網駄《アミダ》さんに至っては、字も書けませんよ、直感派過ぎて」


「変わった人が多いんですね...色んな彩《イロ》があって楽しいです!」



それを楽しいって言える貴女も十二分にそうだけどな、

とは流石に言わなかった御環《ミタマ》だった。顔には出てたが。





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