灯台もと暮らし⑦
「木漏さん!叛骨さんって何処にいますか!?」
「...叛骨は家には"住んではない"。また、夕飯時に会えるさ...てか、なんでアイツを探してんだ?」
「あの髪留め、どこで売ってるか気になって!私も欲しいです!」
「アレの、どこがいいんだよ...」
呆れる木漏。
その瞬間、インターフォンが鳴る。
玄関を見てみると、既に怪しい人物が入っていた。
「俺でも気づけない間に入れるのは、お前ぐらいだよな..."転望"」
「はっはぁ〜ッ!どもども、木漏さん。届け物ですよ」
ワンテンポ遅れて玄関に来た御環とプラネ。
「転望さんでしたか...」
「わぁ!オシャレ!赤師の人はみんなオシャレなんですか?」
転望と呼ばれた男は、奇妙な格好をしていた。
斜めに被った小さめのソフトハット。視線が読めないほど黒い丸いサングラス。真っ黒なスーツ。トレンチコートのようなデザインの黒いレインコート。そして黒いハイヒール。更に、黒い革製のアタッシュケース。そして、黒い傘。正しく全身黒ずくめである。
そして、肩には鳩のような人形がキョロキョロしている。
あまりに、胡散臭すぎる。
「ハハッありがとうございます〜。お嬢さんが閃光 プラネさんですかナ?私は"十数 転望"と申します〜。この鳩は私のですね〜。錦のは、錦専用にプレゼントしたやつですナッ!」
「そうです!プラネです!よろしくお願いします!この鳩さんは、錦さんが持ってたものですか!?」
「錦のは、私がプレゼントした鳩を錦自身で改造してますネ〜。あ、ちなみに私は赤師でもなければ、式者でもないですよ〜。潮力の操作もロクに出来ないですから。今のプラネお嬢さんのほうが上手いまでありますよ!一般人以上、式者未満ってことですナ!」
「そうなんですか!?なのにオシャレってすごいですね!」
「はは!照れちゃいますネ〜!」
転望とも仲良くなれるのか、
と最早プラネに恐怖を覚え始めた木漏と御環であった。
「んで、届け物ってなんだ?とっとと渡して帰れ。お前仕事詰めだろ。てか、鳩に届けさせろよ」
「いやいや、御環くんの成長と、プラネお嬢さんをね、この眼で観たくてね」
そう言いながら、アタッシュケースを御環に渡す。
「君とプラネお嬢さん宛てですよ。氷内からです。期待してますよ〜私も氷内もネ!」
アタッシュケースを渡すだけ渡して、クルッと向きを反転させる。
「では、では、これで〜」
振り向きながら手を振り、ガラガラと玄関を開け歩みを進める。ハイヒールで奏でられる足音が"雨に唄う古典映画の主題歌"のリズムを刻む。まるで、晴天の世界を小馬鹿にするように。
そして持っていた、黒い蝙蝠傘を取り出す。
ソレを開いた途端に、見失った。転望という存在の輪郭を探せなくなったのだった。
「あの傘、欲しいです!ステージで使いたい!!!」




