番外編:日の当たらない仕事場②
赤所、諜報部門にて。
「裏路地の戦闘で...一区画閉鎖か...どう報道するかな。これだから淵不知は...」
「まぁ、そっちはいつも通りといえばいつも通りだ...問題は"閃光 プラネ"の方だよ」
「全国公演とドームでのワンマンライブを大成功させたばかりの人気絶頂のアイドルが、一時行方不明からの急遽活動休止ですからね...」
「前々から錦のヤツが、政界と芸能界に釘を刺してたから、思ったよりはすんなり行ったけどよ。急に政界に取り込まれた事務所も可哀想よな」
「まぁ、上層部は話通されてたかもですけど、現場は本当に意味不明でしょうね」
「一応、世間からは"政界が芸能界にツッコんできた"とは見えないようにはしているが」
「その見えないようにするところまでが、僕らの仕事ですからねぇ」
「まぁ、人工知能って便利よな。アカウント関係は全部やってくれた」
「スミスさんが取り入れてくれて、助かりましたね...」
スゥ〜、トン。
入室者が一人。鬼の面でも被っているのかと思えるような形相で帰ってきた。
「錦はなんて言ってました?」
「『"アイドルがお化けに攫われたので、助けました"って発表すればいいんじゃない?』と、言っていました」
「アイツに聞いたのが間違いだったかぁ」
***
赤所、換金部門にて。
「人気絶頂の"視線で魅せるアイドル"が活動休止になった際に想定される経済的ダメージは、5000億は優に超える、という結果に至りました...」
「本当に、この子活動休止にさせるの?てか、できるの?」
「そこは、諜報部門の根回しと、錦による圧力で。活動休止自体はどうにか」
「政界には、それでどうにかなるかもだけども。民間には?」
「錦の『感情に訴えろ』計画に沿って諜報部門が、『プラネちゃん、こんなに働いて可哀想!ゆっくり休んで!』という空気感を作って誤魔化したのだとか。ついでに、アイドル等の芸能活動に関する方針基準等の見直しも入ったらしく、芸能市場の健全化も世論を巻き込んで進めるそうです...」
「はは、正しく"市場は私情で動く"だな。錦の言う通りになったわ。お陰で識の発生件数も減るわ」
「ただ、財界に対するフォローをどうするかが問題で。新しい利権を与えないといけないのですが...」
「どれが、相応の利権かって話かぁ...金銭感覚に関しては錦使えないからなぁ」
「"貨幣なんて、的を射てない御伽噺。いつまでそんなもんに縋ってんだ"って言ってきますからね」
「実際、政界と財界に文書送ってたしな...」
「さぁて、どうするかなぁ...」
スゥ〜、トン。
入室者が一人。石灰でも被ったのかと思うほどに顔が白く、血の気がない。
「に、錦から財界への利権の補填として『25年以上、国家プロジェクトを妨害し続けていたウイルス見つけたから、それをどうにかしろ』という報告が...」
「は?ドユコト?」
「発見したのはスミスさんらしいのですが、どうやら"小数第五位からしたの数値をデタラメにする"というウイルスがシミュレータを始めとしたコンピュータに仕込まれていたらしく...」
「え?」
「その感染したシミュレータやコンピュータを使って、ダムや発電所等の大規模建築をしてきたので...民間でも、国主導でも...軍事でも......」
「その、問題を?見つけた、と?」
「はい、それでその修繕や再建で利権を埋めろ、と財界と政界に"直接"文書を送ったそうです、錦が」
「暫くは、再建バブルかな...アイツのことだから、ついでに汚職とかの利権解体も視野に入れてるんだろうなぁ...」
「まぁ、国家規模のデバッグ作業としか思ってないでしょうね」
全員沈黙し、一旦天井を見上げた。
「いや、芸能業界への補填にはなってないじゃん」
「錦は、そこら辺の区別つかない、というか、つけてないですからね」




