灯台もと暮らし④
「こちらへ、是非沢山お食べ下さい」
叛骨に案内され、食事が準備されている部屋に辿り着いた。
「わぁ!凄い沢山!!盛り付けも綺麗!!」
「ふふ、お褒めに与り光栄です」
ペコりとお辞儀する叛骨。
「それでは、お二人は向こうの席に。芥から"先に食べておいてくれ"と預かっておりますので。お先にどうぞ」
「あ、ありがとう、ございます」
毒とかは、入ってないよな?流石に
と気が気でない御環。
「では、私は芥と"変わり"ますので」
そう言って向こうに行く叛骨。歩き方が最初から足がないんじゃないか、と思うほどに重心がブレないし、足音が立たない。いや、足は見えているのだが、本当にそう思える。不気味である。
「御環くん!とっても美味しいですよ!!」
「も、もう食べてる...」
「実は、めっちゃ、くちゃお腹すいてて」
「いや、今の状況で食欲が湧くのは凄いですよ...」
と言いつつ、席につくと確かにその盛り付けと料理から漂う香りに刺激され、食欲が湧く。
一口食べてみれば、
「これ、僕たちが手をつけるタイミングを完全に見計らってますね...そこから逆算した火入れの仕方だ」
「すごい!だからこんなに瑞々しいんですね!!」
「叛骨さん、料理は本当に上手いんだよなぁ...」
すると、障子が開く。木漏が帰ってきた。
「お前ら、よく生きてたな...」
普段より明らかにゲッソリしている。
というより、今まで見てきた木漏からは想像できないような消耗度合いであった。
「おかえりなさい、木漏さん」
「お先に食べてマース!とっても美味しいです!叛骨さんは?」
「あぁ、アイツはいいよ。うん」
ドカッと席につく木漏。
「はぁ...嬢ちゃん、長生きしたいなら、喋る相手は見極め...いや、いいや。それが君の良さだな...」
天を見上げる木漏であった。
「まぁ、いいや。今は食べよう。アイツの料理は本当に美味いからな。うん」
そう言って、かき込む木漏。
この夕食、量としては10人前ほどあったが3人で食べきった。
「嬢ちゃん、露天風呂あるから、好きなら使いな」
「えぇ!!露天風呂!?是非!入ります!!」
ぴょんぴょん飛んで喜ぶプラネ。
「露天風呂、使う人いたんですね...」
「え?」
「あー気にするな。御環は、うちの露天風呂が使われているところ見た事ないから。俺も御環も誰かと風呂入るのも、広い場所でリラックスするのも苦手でな」
「えぇ〜勿体ない!」
「一応、ちゃんと整備はしてるから安心しな」
「はい!楽しみます!」
そして露天風呂にて、
「すごい!!学校のプール何個分!?」
まさかの温泉だった。しかもかなり広い。これで女湯なのだから、単純計算でこの2倍の広さはあるはずである。
「あれ、天の川!?」
見上げれば、満天の星空。広いので、視界を遮るものはなく、絶景。あまりにも見える星が多くて、雲と見間違えるほど。
「これじゃあ、織姫さんと彦星さん探せないなぁ〜」
あまりに星々が輝いていて、星を紡ぐことなんてできない。
プラネは、照明を消し夜空を満喫した。
その夜、叛骨の姿は一切見なかった。




