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外星戦記  作者: 無名の凡夫


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第83話 最強にして最恐

俺の名は、アイジー・カシカロ。アステリム帝国陸軍に所属していて、階級は少尉だ。俺の名である「アイジー」は、帝国だと女に名付けられるのだが、俺は男だ。


親父は娘を望んでたって言うんだから、まったく呆れるぜ。生まれたのがよりによって俺だって聞いて、相当落胆したらしい。で、娘が生まれた時につけるつもりだった「アイジー」って名前を、男の俺につけやがったんだ。しかも、赤ん坊の頃の俺を女の子だと思い込んだ時期もあったって言うんだぜ?


おカシカロう?


…。


…。


これは、仲間内では鉄板ネタなのだが、お気に召さなかったかな?



さて、俺は今回の戦いで、小田原殲滅隊・第2歩兵連隊・第7大隊・第16中隊・第50小隊の小隊長を任された。長いので、今後は50小隊と伝えよう。


我が帝国軍が仕掛けた奇襲が無事成功。連中の慌てふためいた顔を思い出すと、今でも笑いが込みあげてくるぜ。そんな俺だが、今、絶対絶命のピンチである。俺が率いる小隊が、俺を残して皆死んでいる。目の前の男の手によって…。



――回想――


俺たちは、自衛隊の残党狩りをすべく、箱根に向かった。隊を3つに分けた。手負いとなった自衛隊等、恐れるに足らんと、隊を分けてしまった。1匹残さず殲滅するつもりだったから、分散させて隅々まで探して追い詰めるつもりだった。今思えば、これがいけなかった。


俺様率いる分隊が進軍中、別分隊に振り分けた、ネイミン・テガ二等兵が伝令に来た。無線での伝達ではなく、走って伝令に来た時点で察するべきだった。


その分隊が、テガ二等兵を残して戦死。もう一つの分隊からも連絡が途絶えた。信じたくはないが、2個分隊は全滅したと判断し、生存確認等はせずに先へ進む事にした。


しかし、先へ進んだ先で、部下達が次々と討ち取られていく。まずは、テガ二等兵とマタール・ムッラ一等兵が狙撃された。それで、俺達は周囲の警戒を強めた。しかし、直後にラッツ・レゴ一等兵が喉を切り裂かれ死亡していた。


「誰がやった?」(カシカロ)


誰も答えなかった。その時、スラヴァト・アモロ伍長の体がゆっくりと崩れた。俺は悟った。俺の2個分隊は、こいつにやられたのだと…。


その時、通信兵から連絡が来た。俺の2個分隊を倒した敵が、そちらに向かっている。「全力で逃げろ。」と。「全力で逃げろ」ってどういう事? いや、ていうか、もう目の前にいるんですよ。グーカン・エンゴナン上等兵の四肢を切り刻んで、エンゴナン上等兵の背中に刀傷で落書きしてるんですよ。


「いっそ、殺してくれ!」と泣き叫ぶエンゴナン上等兵…。その姿は、あまりにも無残で、見ていられなかった。援護難すぎて…。俺もだいぶ日本語の理解力が高まったなぁ…。って今はそれどころじゃない!


「助けないの?」と思われるでしょ? 俺も助けたいし、助けようとしましたよ。でも、奴の間合いに飛び込んだら死にます。確実に。奴の纏う狂気じみたオーラに、俺は今も気圧されて動けないの。


え? 「マシンガン撃てばいいでしょ。」って? とっくに撃ちましたよ。そしたら、あいつ、刀剣で銃弾真っ二つにしちゃいましたよ、何度も何度も。先にこっちの弾薬が尽きたんだから…。もう、何なのアイツ…。



――そして現在――


奴は、「飽きた。」と言って、エンゴナンにとどめを刺した後、俺と睨みあっている。


俺は、抵抗するのを止め、マシンガンや手榴弾にナイフと、武器になる物全てを投げ捨て、丸腰であることをアピールする。両手を挙げて「降参する。」とも言っているのだが…。


奴は小声で「どうやって殺そうか。」と呟いていた。読唇術で読んだ。え、ちょっと待って? 自衛隊って敵兵でも無抵抗の兵は殺さないんじゃないの? 殺す気満々なんですけど…。殺そうとするのはおカシカロう?


「お願いだ! 助けてくれ! 命だけは! 俺は今からあんた等につく。帝国軍の情報も話すから、頼む!」(カシカロ)


恥も外聞もなかったが、助かる事が何より大事だ。俺の知っている情報なんて大したものはないし、そのままスパイとして紛れ込めば…。しかし、俺の命乞いの言葉は、もはや意味をなさなかった。男は、怒気を強めて語り掛ける。


「お前らはそうやって命乞いをした奴等を生かしたのか?」


「自分だけ生き残ろうだなんて虫が良すぎると思わないか?」


男は、俺の前にゆっくりと歩み寄り、冷たい目で俺を見下ろした。


「(だ、駄目だ…。殺される…。)」(カシカロ)


「こ、殺さないでくれ…。」(カシカロ)


「安心しろ、早く死にたいと思うくらい、痛めつけてから殺してやる。」


「全然安心でき…ぎゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ。」(カシカロ)


カシカロの悲鳴は、あたりに響き渡り、やがて途切れ途切れになっていった。



「しまった、まだ敵は残っているのに、何やってるんだ俺は…。」


男は、死の恐怖と激痛で自我を失い、ただ泣き叫ぶだけの肉塊となったカシカロの首を、ためらいもなく刎ねた。


「時間を無駄にしてしまった。」


男は、血塗られた刀を冷たい目で眺めると、そのまま歩き去った。


登場人物紹介

アイジー・カシカロ

種族・性別・エルフ族の男性

所属・階級:陸軍少尉、第50歩兵小隊の小隊長

備考:とある自衛官により凄惨な死に方をした。


※とある自衛官に成す術なく殺られた皆さん

ネイミン・テガ……陸軍二等兵。ドワーフ族の男性。

マタール・ムッラ……帝国陸軍一等兵。ドワーフ族の男性。

ラッツ・レゴ……帝国陸軍一等兵。エルフ族の男性。

スラヴァト・アモロ……帝国陸軍伍長。ハーフエルフの男性。

グーカン・エンゴナン……帝国陸軍上等兵。リザードマン族の男性。

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