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外星戦記  作者: 無名の凡夫


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第63話 怒り

「もう少しだったのに…。仇を…討てなかった…。」(杏南)


私は、苫米地杏南です。


あの爆風で吹き飛ばされてしまいましたが、幸い、敵兵がいない場所でした。地面に叩きつけられた衝撃で背中を打撲しましたが、痛みが引くのを待つことはできました。近くには理央先輩が倒れています。頭を打ったようで、気を失っているようです。今はただ、物陰に身を潜め、理央先輩が意識を取り戻すのを待つしかありません。しかし、私の心は静かに燃え盛っています。あのモグラ型グーリエ星人…私は、必ず仇を討ちます。その機会を、ただ静かに待っているだけです。


「!?」(杏南)


「足音が近づいている…。2人…その後に4人。」(杏南)


先に現れたのは、仲間でした。確か、35普連1中隊の一橋剛(ひとつばし ごう)一士と、久木田怜(くきた れい)2士。グーリエ星人4体が彼等を追ってやって来ます。


「た、助けてくれ!」(久木田)


久木田二士は丸腰でした。爆風に巻き込まれた際に銃を失い、ここまでは、一橋一士から拳銃を借りて凌いだようですが、弾薬が切れてしまったそうです。一橋一士も間もなく弾薬が切れるようで、グーリエ星人に追われながらも、味方を捜していたようです。


理央先輩はまだ意識が戻っていませんので、実質1対4。敵銃弾を凌ぎながら、気を伺います。敵は不敵な笑みをこぼしています。油断でしょうか? いずれにしても、隙が出来ました。


「(1…2…)」(杏南)


敵兵を順番に倒していき、難を逃れました。


「助かった…。礼を言う。」(一橋)


「ありがとう。」(久木田)


「1中隊の状況はどうなってますか?」(杏南)


「ほとんどが死んでしまった。何人か仲間はいたけど、はぐれてしまった。生きている可能性があるのは、分からない…。」(一橋)


「無線も壊れてしまって、状況が分からない。ただ、ここに来るまで、多くの仲間の死体があった…。」(久木田)


「ひとまず、瑛松二曹の意識が戻るまで身を隠しませんか?」(杏南)


「そうだな。今はまともに戦える状態じゃない。とはいえ、この人数で身を隠せる場所はあるのか?」(一橋)


「向こうに洞窟のようなものがありました。そこなら身を隠せるかもしれません。ただ…。」(杏南)


「ただ?」(久木田)


「敵が地下から奇襲をかけるために掘った可能性もあるので…。」(杏南)


「敵が潜んでいる可能性もあるな。」(一橋)


「私が斥候になります。お二人は瑛松二曹をお願いします。もし、瑛松二曹が目を覚まさなかったら、二曹の銃で戦ってください。」(杏南)


「了解だ。」(一橋)


私の拳銃を久木田二士に渡し、洞窟の中へ向かいました。


「お、くろ〇ぼ。お前、生きてたのか。」


「く〇んぼ?」(杏南)


洞窟の中で姿を現したのは、天津種中隊長でした。「〇ろんぼ」と呼ばれて腹が立ちましたが、今は我慢です。彼女は兵站拠点が潰されたと聞き、ここに逃げ込んだようでした。


「中隊長、何故ここに?」(杏南)


「兵站拠点が潰されたらしいから、新たに作っていたところよ。」(天津種)


「敵兵はいませんでした? ここは、敵兵が掘ったものだと思うのですが…。」(杏南)


「敵はいない。安全だと思う。」(天津種)


「はぁ…。」(杏南)


本当に安全なのか疑問が残りますが、中隊長がここにいるのなら大丈夫と思っていいのでしょうか?


…。


入口付近なら大丈夫かもしれません。外にいるよりはマシでしょう。一橋一士と久木田二士も呼び、一橋一士たちを呼び、理央先輩を運び込みます。しばらく、この洞窟に身を隠すことにします。


「その眼鏡女、まだ生きてるの?」(天津種)


「気を失っているだけです。」(杏南)


私には「くろん〇」、理央先輩には「眼鏡女」。部下の名前を憶えていないのでしょうか? 私達を見下しているのは確かでしょう。


「捨て置きなさい。」(天津種)


「なっ!?」(杏南)


杏南は、信じられないという顔で天津種を見た。


「戦場で気を失う方が悪い。そんないつ目が覚めるか分からない者など、戦力として計算できない。無駄な人情は、この戦場では命取りになる。」(天津種)


「何てことを!」(杏南)


「(この人は、仲間を失った私たちの痛みを理解していない? 命を、人間を、ただの「駒」としか見ていないの?)」(杏南)


天津種の冷酷な言葉は、一橋と久木田の心にも深く突き刺さった。


「何でそんな事を…。」(一橋)


「これが上官の言う事か?」(久木田)


「何甘いことを…。 ここは戦場。 速くこの眼鏡女の装備を外しなさい。」(天津種)


「(あんたが言うか……)」(杏南)


杏南の怒りは頂点に達したが、それでも、ここで感情を爆発させれば状況がさらに悪化すると理解していた。


「(…。落ち着け杏南…。ここに身を隠すのは一時的。理央先輩が回復すればすぐに出ていく。それまでの我慢…。どうせ、この人はここから出ない。)」(杏南)


天津種中隊長は、入口の方を一瞬だけ睨みつけていました。その時、入口から人影が見えました。銃を構える私たちの前に現れたのは……。


「(敵?)」(杏南)


銃を構える杏南、一橋、久木田の3人。


「苫米地さん?」(渚)


渚士長と山下士長でした。


登場人物紹介

一橋ひとつばし ごう

生年月日:2000年6月23日 / 出身:千葉県

階級:一等陸士 / 所属:35普連1中隊


久木田くきた れい

生年月日:2001年11月18日 / 出身:岐阜県

階級:二等陸士 / 所属:35普連1中隊所属の新人隊員


苫米地とまべち 杏南あんな……隼人の同期で恋人

瑛松えいまつ 理央りお……爆風に飛ばされ気を失う

天津種あまつたね うらら……35普連2中隊の新中隊長。今のところポンコツ。

なぎさ 恭平きょうへい……35普連2中隊の陸士長。脱サラして自衛官になった。

山下やました 裕介ゆうすけ……35普連2中隊の陸士長。渚とは同期。

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