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外星戦記  作者: 無名の凡夫


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第44話 痛み分け

「ふん、他愛もない。総員、残敵を殲滅…」(ブリンキン)


ズキッ!


「!?」(ブリンキン)


土井を蹴散らし、残りの自衛隊員の殲滅を命ずるブリンキン。しかし、左目に走る鋭い痛みに、ようやく自身の損傷に気付く。熱いものが頬を伝い、視界の片隅が赤く染まっていた。


「(あの一瞬でか? まあ、あいつは片付けた。脅威は消し去った。)」(ブリンキン)


「僕は無事ですよ。」(土井)


土井は、涼しい顔でそう言った。


「何!?」(ブリンキン)


「土井…。無事で良かった。」(麻生)


「しかし、あの蹴りを受けて何事もないだと?」(中間)


「何故?」(原崎)


「蹴りは当たっていません。風圧です。」(土井)


「何だと!?」(一同)


「僕が吹き飛ばされたのは、あなたの蹴りで発生した風圧によるものです。いや、この場合は蹴り圧というのでしょうか?」(土井)


土井は淡々と言い放った。


彼は、ブリンキンの渾身の蹴りが放たれる刹那、身体を大きく反らすことで直撃を避け、同時に拳銃を取り出し、ブリンキンの左目に発砲していたのだ。皮膚が分厚いブリンキンも、目という脆弱な急所を撃ち抜かれ、わずかながらも致命的なダメージを負っていた。


「(にしても、あれだけ吹き飛んで無事なのは理解できないがな…。でも、まあ、無事で何よりだ。)」(原崎)


「お前ら! 他の敵兵を殲滅せよ! こいつは俺がやる! 誰も手出しするな!」(ブリンキン)


「総員、敵の銃弾に注意しろ!」(吉武)


「土井に気を取られるな! 当初の予定通り、俺たちは残りの敵を掃討する!」(麻生)


「了解!」


ブリンキンと睨み合う土井。今度は小銃をしっかりと握っている。


「ふん!」(ブリンキン)


掛け声とともに右拳が放たれる。土井はその拳を避け、ブリンキンの左側へ回る。そして、左膝窩に銃剣を突き刺す。


「ぐぉ!!」(ブリンキン)


「やはり身体の構造は人間と同じですね。膝裏への攻撃は有効のようです。」(土井)


土井は、まるで実験結果を確かめるかのように呟いた。銃が効かなかった相手にも、人間と同じく脆い関節があることを確認できたのだ。すぐに銃剣を引き抜き、体勢を崩したブリンキンの右膝窩にも切り込む。唸り声とともに、巨躯のブリンキンが膝をついた。


「うぐっ…。」(ブリンキン)


「とどめ!」(土井)


パァン!


「!?」(土井)


ブリンキンにとどめを刺そうとする寸前、土井の右大腿が撃ち抜かれた。


「貴様は!」(ブリンキン)


「アイトンダ大佐殿より、撤退の命令が出ています。我々は殿として来ました。」(ガストン・ブレイズ准尉)


ケンタウロスの姿をした敵兵が5体。彼らは、いつの間にか、そこにいた。彼らが移動する音も、銃声も、自衛隊員たちは一切感じ取ることができなかった。


「何だ、こいつらは!?」(麻生)


銃声と爆発音にかき消され、蹄の音に気付いた時には、すでに目の前にいた。麻生は、信じられないといった表情で呟いた。その健脚は、想像を絶する速度で戦場を駆け巡り、まるで銃弾を嘲笑うかのようにかわしていく。


「リッジは、ブリンキン中尉殿を乗せ撤退せよ!」(ブレイズ)


「残りは私とともに殿を務めるぞ!」(ブレイズ)


「了解!」


「ガストン、援軍に感謝する。」(ブリンキン)


ブリンキンは、土井の気配が消えたことに気付く。


「…逃げたか。ちっ、仕留め損なった。」(ブリンキン)


右太腿を撃たれた後、土井は、すぐさまブリンキンから距離を取っていた。


「もう少しだったのに…。とにかく、今は止血を…。」(土井)


ブリンキンをあと僅かのところまで追い込むも、ケンタウロス族の援軍により、形勢は逆転。ケンタウロスの健脚に銃弾が当たらない。


「(小僧、今日の所は痛み分けだ。)」(ブリンキン)




オズスリットリウムは撤退の間際、その瞳には、自軍の補給部隊が何かしらの理由で壊滅している様子が映っていた。


「く…。やはり補給路が断たれた影響か…。」(オズスリットリウム)



「中隊長、敵が逃げていきます。」(原崎)


「構うな!これ以上の追撃は不可能だ。我々も満身創痍だ。怪我人の救護を優先しろ。」(吉武)


「しかし…。く……了解しました。」(原崎)


「すまん、オズスリットリウムを仕留められなかった。」(路吟)


「いや、俺達もあの熊を逃してしまった。お互い様さ……。」(吉武)


「くそ、まだあの熊を仕留めていないのに…。けど、この足じゃ…。くそ、くそー!」(土井)


登場人物紹介

ガストン・ブレイズ

種族・性別:ケンタウロス族の男性

所属・階級:陸軍准尉、第1歩兵大隊

備考:第2歩兵大隊の被害を受け、支隊を率いて殿に駆け付ける。


リッジ・ムピンゴ……陸軍伍長、男性、ケンタウロスでブレイズの部下

土井どい 近太郎ちかたろう……転んでもただで起きない男

麻生あそう 教之のりゆき……13普連の精鋭

中間なかま 将樹しょうき……13普連の若手

原崎はらさき かい……13普連の精鋭

吉武よしたけ 寿太郎じゅたろう……13普連2中隊の中隊長

路吟ろぎん 大鳳たいほう……13普連重迫撃砲中隊の中隊長

トビ・ブリンキン……驚異的な戦闘力を誇る羆型獣人

ホルナ・オズスリットリウム……第2歩兵大隊の大隊長。天使族。

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