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外星戦記  作者: 無名の凡夫


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第42話 猛威

「上条、原崎、田之上! 一点突破だ! 俺と共に、敵左翼を突くぞ!」(麻生)


「一ノ瀬一曹、黄村三曹は俺たちの背後をカバーしてくれ!」(麻生)


「俺たちは敵の右翼を突く! 中間と中邑は俺に続け!」(白木)


「柳田は、立山の援護を!」(白木)


「中隊長、オズスリットリウムはどうします?」(星暉来(ほし てるくる)一等陸士)


「今は目の前の敵に集中しろ!俺たちは敵後方を突く!」(吉武寿太郎(よしたけ じゅたろう)三等陸佐)


敵伏兵の奇襲に動揺していた自衛隊だったが、麻生、白木、吉武と歴戦の猛者達の勇敢な行動により、大勢を立て直す。


「ぐあっ!」


「ひ、ひるむな! 俺達帝国兵が、あんな下等生物に後れ取るな!」


帝国軍兵士たちは、次々と倒れていく仲間を見て、士気が崩壊し出す。上空からこの様子を見ていたオズスリットリウムは、冷静に状況を分析していた。彼女に焦りの色はない。


「(ふむ、ユーミンはまだ慌てておらん。まだ勝機があるという顔だな。まあ、あいつも控えている以上、負けることはない。さて、私は被害の大きい右翼に行くとするか。)」(オズスリットリウム)


オズスリットリウムが右翼へ移動を始めたその時…


「!?」(オズスリットリウム)


オズスリットリウムの羽を迫撃砲がかすめる。


「大隊長殿!」(アークス)


「問題ない! 貴様は目の前の敵に集中しろ!」(オズスリットリウム)


「(あれは、120mm迫撃砲RTだったか。以前と比較しても威力が上がっておるな。)」(オズスリットリウム)


冷静を装うオズスリットリウムだったが、羽先が抉れ、血が滴り落ちる。


「(偶然当たらなかっただけだ。まともに喰らえば、無事では済まない…。予定変更だ。先に迫撃砲を潰す。)」(オズスリットリウム)


オズスリットリウムは、ターゲットを13普連の重迫撃砲中隊へと変え、上空から砲撃を開始する。


「中隊長、オズスリットリウムがこちらへ来ます!」


「上等だ! 撃って撃って、撃ちまくれ! ここを奴の墓場にする!」(路吟大鳳(ろぎん たいほう)三等陸佐)


オズスリットリウムの持つ、帝国産・軽量型ロケットランチャーと「13普-重」の120mm迫撃砲TRの砲撃音が飛び交う中、第12高射特科隊の短SAM小隊からもオズスリットリウムを目掛けて攻撃を開始する。


「ぐ……1人相手に豪勢な攻撃だ…。」(オズスリットリウム)




「よし! このまま一気に押し切るぞ!」(麻生)


「いけますね! ここまでやれば、もう敵も総崩れでしょう!」(上条)


地上では、麻生や上条は、勝利を確信したかのようだった。しかしその時、戦場の奥深くから、耳をつんざくような、地を揺るがす咆哮が響き渡った。その咆哮は、物理的な音というより、脳髄に直接響くような、本能的な恐怖そのものだった。


「な、なんだ…? 」(麻生)


麻生の顔から、一瞬にして血の気が引いた。その咆哮は、これまでのどんな敵とも違う、とてつもない存在の登場を告げていた。


「!?」(麻生)


「天城!?」(麻生)


地面が激しく揺れたと思いきや、その直後、敵中央から黒く巨大な影が猛スピードで突っ込んできた。それが何かが判明する前に、黒い物体は、刀剣で天城永遠(あまぎ とわ)一等陸士の腹部を貫通させる。その黒い物体は、ヒグマのような風貌をしていた。


「野郎!」(上条)


タタタタン!


上条がヒグマに向かって発砲するも、まるで効いていない。


「な!?」(上条)


「銃が効かない!?」(上条)


ヒグマは、弾丸が当たった箇所を気にする様子もなく、まるで獲物を狙うかのように、猛然と突っ込んできた。


「銃が効かないなら、銃剣はどうだ!?」(一ノ瀬巧(いちのせ たくみ)一等陸曹)


「待て! 闇雲に飛び込むな!」(麻生)


銃剣を構えて飛び込んだ一ノ瀬だったが、銃剣は表面に少しめり込んだだけで、まったく効いていない。


「(こいつ、皮膚がぶ厚い! 防具の硬さだけじゃない…。)」(一ノ瀬)


ヒグマの拳による攻撃をまともに受けた一ノ瀬は、首から上を失う。あたりには、一ノ瀬の脳や頭蓋骨が飛び散った。


「あ、あああ…。」(黄村桜(おうむら さくら)三等陸曹)


タタタン!


一ノ瀬の凄惨な死に様を見た黄村は戦意喪失。その場に座り込んでしまった時に被弾。その場に崩れ落ちる。


「84は残っているか?」(原崎)


「奇襲の際に敵に鹵獲されました!」(臼井愛由美(うすい あゆみ)陸士長)


「は!?」(臼井)

「いやあああああ」(臼井)


その悲鳴は、背後から突き立てられた敵の軍刀によるものだった。


「臼井!」(原崎)


「ブリンキン中尉殿に気を取られすぎだぜ。」(セペ・モーキング陸軍少尉)


臼井を背後から軍刀で突き刺したミノタウロスの兵士は、不敵な笑みを浮かべ、あたりの隊員を切りつける。


「タイカ! お前たちは敵の後方部隊を先に仕留めろ!」(エレクトラオ)


「了解! お前ら、行くよ!」(タイカ・マムッシュ少尉)


マムッシュ率いる鳥人族の支隊が、吉武の部隊を襲う。


タタタタン! タタタタン! タタタタン!


「ぐわ!」

「うわああああ」

「ぎゃあああああ」


「くっ…。有翼種との白兵戦はきつい…。」(吉武)


「おら、どうしたどうした!」(マムッシュ)


マムッシュ率いる支隊は、自衛隊の攻撃が届きそうで届かない距離を移動し、挑発しながら攻撃を繰り出す。


「とにかく耐えろ! 攻め急がず、隙を伺え!」(吉武)


「(あの熊型の奴、小銃も銃剣も効かない…。頑丈故に躊躇なく突っ込んできやがる。クソ…。なんてパワーだ。何人やられた? 近接戦闘だと歯が立たん。)」(麻生)


「三尉、敵勢力も数が減っています。あの熊も弱点はあるはずです。」(田之上)


「そうです、諦めずに戦いましょう。」(原崎)


「そうだな、絶対に勝とう。」(麻生)


しかし、その言葉は、自分自身に言い聞かせているようだった。


「(このままでは全滅だ。どうする?)」(麻生)


「麻生三尉、右翼の敵を掃討しました!」(白木)


「白木、お前達は後方で吉武中隊長の援護へ迎え!」(麻生)


「了解!」(白木)




「くそ…。どうやったらあいつに勝てる…。」(吉武)


部下たちが討たれ、焦りが見える吉武。


「(焦れば焦るほど、敵の思う壺だ…。)」(吉武)


「おらおらおら! とどめ…。うわっ」(マムッシュ)


「マムッシュ少尉殿!」


「白木!!」(吉武)


「中隊長、今です!」(白木)


タタタタン! タタタタン! タタタタン!


白木の援軍により、マムッシュの支隊の討伐に成功。しかし、彼らに休んでいる暇はない。


「急ぎ、麻生の援護だ!」(吉武)




「うぎゃあああああ!」(磯部新(いそべ あらた)三等陸曹)


「磯部!」(麻生)


「ぐわああああああ」(志賀聞多(しが ぶんた)一等陸曹)


「志賀!」(麻生)


「(くそ…。打開策が見つからん…。あの熊だけでなく、牛野郎もかなり強い…。)」(麻生)


「ぎゃああああああ!」


「ぐはっ」


「こ、これ以上はもう…。」(立山)


立山は戦意を喪失していた。


「もう、オズスリットリウムを討つとか、そういう話ではありません! 撤退させましょう!」(古伝間)


「く…。総員、撤退!!」(武石)


「武石連隊長より、撤退の命令が出た! ここは引くぞ!」(吉武)


「逃がすな! ここで殲滅させろ!」(エレクトラオ)


「背を向けた敵ほど殺しやすいぜ!」(モーキング)


「ぎゃああああああああああああ」(上条)


上条の背中には、モーキングが投げた軍刀が深々と貫通した。その場に倒れ込んだ上条の首を、去り際にモーキングは無造作に切り落とす。


「……上条…!クソっ、クソがぁっ!」(麻生)


麻生は、叫びながらも、為す術なく、盟友の無残な死を見つめるしかなかった。その光景は、彼の脳裏に焼き付いて離れない。柳田も足を撃たれ、その場に倒れ込む。


「ぐ…。クソが…。」(柳田)


「ぐあああああ」(田之上)


モーキングは、柳田の救援に来た田之上をものともせず、柳田にとどめを刺そうとする。その時。


「させない!」(土井)


タタタタン!


「うおっ?」(モーキング)


モーキングの両手が撃ち抜かれた。銃声がした方向を向くと、土井近太郎陸士長が、静かに、しかし有無を言わさぬオーラを放ちながら立っていた。その手には、まるで生き物のように動く小銃が握られている。


「土井…。」(麻生)


麻生は信じられないといった目で土井を見た。この絶望的な状況で、まるで別の戦場から現れたかのような頼もしさだった。


「皆さん、怪我人の保護と残りの敵兵をお任せします。」(土井)


土井は、静かで、しかし確固たる声でそう告げた。


「あの熊は……僕が倒します!」(土井)


登場人物紹介

一ノいちのせ たくみ

生年月日:1990年3月7日 / 出身:岡山県

階級:一等陸曹 / 所属:31普連3中隊

備考:ブリンキンの拳による攻撃で死亡。

享年:30歳


黄村おうむら さくら

生年月日:1996年9月17日 / 出身:静岡県

階級:三等陸曹 / 所属:31普連3中隊

備考:ブリンキンの脅威に戦意喪失した隙に銃弾に倒れる

享年:24歳


ほし 暉来てるくる

生年月日:2000年11月14日 / 出身:千葉県

階級:一等陸士 / 所属:31普連4中隊

備考:戦線から孤立した際に吉武と会い、行動を共にしていた。


吉武よしたけ 寿太郎じゅたろう

生年月日:1981年1月19日 / 千葉県

階級:三等陸佐 / 役職:13普連2中隊中隊長

備考:2年前の道志山塊攻防戦で戦果を挙げた隊員


天城あまぎ 永遠とわ

生年月日:1999年7月11日 / 出身:東京都

階級:一等陸士 / 所属:31普連3中隊

備考:ブリンキンの奇襲により死亡

享年:21歳


臼井うすい 愛由美あゆみ

生年月日:1999年4月28日 / 出身:東京都

階級:陸士長 / 所属:31普連3中隊

備考:モーキングに背後から刺され死亡

享年:21歳


磯部いそべ あらた

生年月日:1994年6月26日 / 出身:山梨県

階級:三等陸曹 / 所属:13普連

備考:ブリンキンの攻撃により死亡

享年:26歳


志賀しが 聞多ぶんた

生年月日:1992年10月10日 / 出身:栃木県

階級:一等陸曹 / 所属:13普連

備考:ブリンキンの攻撃により死亡

享年:28歳


中間なかま 将樹しょうき

生年月日:1997年3月1日 / 出身:長野県

階級:陸士長 / 所属:13普連2中隊


中邑なかむら 道司どうじ

生年月日:1993年10月31日 / 出身:富山県

階級:三等陸曹 / 所属:13普連3中隊


路吟ろぎん 大鳳たいほう

生年月日:1981年2月1日 / 出身:福島県

階級:三等陸佐 / 所属:13普連重迫撃砲中隊中隊長


トビ・ブリンキン

種族・性別:羆型獣人族の男性

所属・階級:陸軍中尉、第2歩兵大隊

備考:帝国軍屈指の戦闘能力を持ち、多くの自衛隊員を屠った。


ユーミン・エレクトラオ

種族・性別:ダークエルフの女性

所属・階級:陸軍中尉、第2歩兵大隊第6中隊中隊長の1人

備考:「戦闘能力は高いが脳筋タイプ」のブリンキンに代わり、隊長を務める。


セペ・モーキング

種族・性別:ミノタウロス族の男性

所属・階級:陸軍少尉、第2歩兵大隊

備考:気性が荒く、好戦的な性格


タイカ・マムッシュ

種族・性別:鷲型鳥人族の女性

所属・階級:陸軍少尉、第2歩兵大隊

備考:白木に討たれる


麻生あそう 教之のりゆき……13普連の精鋭

原崎はらさき かい……13普連の精鋭

田之上たのうえ 納身おさみ……13普連1中隊所属

上条かみじょう 直武なおたけ……13普連の悩める中堅。享年30歳。

白木しらき 歩夢あゆむ……13普連の精鋭

柳田やなぎた 俊輔しゅんすけ……13普連の中堅

吉武よしたけ 寿太郎じゅたろう……13普連2中隊の中隊長

武石たけいし 哲也てつや……13普連の連隊長

古伝間こでんま 拓人たくと……13普連の本部管理中隊

立山 ミラ(たてやま)……31連所属。元ヤン。

土井どい 近太郎ちかたろう……13普連所属。この状況を打破する救世主となるか?

ホルナ・オズスリットリウム……第2歩兵大隊の大隊長

カミィ・アークス……オズスリットリウムの側近


グーリエ星に存在する種族

ミノタウロス……頭部が牛、首から下が人型の種族。モンスター種の一つ。大柄な体格で力持ち。モンスターとしてカテゴライズされているが、温厚な性格の者が多い。軍に入る者は、工兵科や通信科等、後方支援に就く者が多く、気性が荒くて好戦的で、前線で戦いたがるセペ・モーキングは例外的な存在。

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