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外星戦記  作者: 無名の凡夫


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第37話 罠

「わざわざ敵の前に姿を現すなんてどういうつもりだい?」(アスゲニフ)


「…。」(イガ)


「答える気はないのね。」(アスゲニフ)


「まあ良い。そんな事どうでもいいのでな。」(アスゲニフ)


アスゲニフは不敵に笑い、イガの懐に飛び込む。


「(特殊空拳? いや、暗器か?)」(イガ)


イガは、アスゲニフの拳にナイフを突き刺そうとするが、アスゲニフはそれをパリング。イガに顔面膝蹴りを見舞い、軍靴に仕込んでいた刃で切り付ける。


「(毒は塗られてないようだな。)」(イガ)


イガの頬から血が流れ落ちる。


「ほう、なかなかやるね。」(アスゲニフ)


アスゲニフは笑顔で答える。



「へ~、なかなかやるじゃん!」(ガー)


イガの隣では、ハンゾウとガーが銃剣と軍刀での鍔迫り合いが繰り広げられる。



「ひぃ~、一番弱そうなのを選んだのに~」(ディオンヌ)


その奥では、ディオンヌがフウマのナイフ攻撃をかわしながら叫んでいる。それぞれが1対1の近接格闘を挑んでいた。



一方、別の場所では帝国特殊部隊支隊長の1人、ネウレイ・マーファクが特戦群の無線を傍受していた。


「ふむ、この連中は3班に分かれているようだな。それぞれの隊員が連携しているが、その動きにはパターンがある…。」(マーファク)


マーファクは、特戦群の動きを予測し、別の場所のいるトロイカの支隊に連絡を取る。


「トロイカ大尉、そちらへ敵が2匹向かっています。うちの支隊と挟撃しましょう!」(マーファク)


「挟撃? どういう風の吹き回しだ?」(トロイカ)


「こっちは1匹だけなんで、とりあえず泳がせます。一応、罠は張ってますよ。」(マーファク)


「そうか。まあ、お前はほぼ潜伏してたし、暴れ足りないか。その案に乗ってやろう。」(トロイカ)


「ありがとうございます。早速、向かいますよ。」(マーファク)



「ご協力感謝する。」(マーファク)


マーファクは、工兵小隊に礼を言うと、支隊員を率いてその場を後にする。




―特戦群 第2班―


「コウガ、作戦変更だ。前線に敵伏兵が現れ、別当一佐ほか6名死亡。ハチヤとタキ2人では厳しい。至急援軍に迎え。」(イガ)


コウガは一瞬、眉をひそめた。


「(隊長の声に、わずかな焦りが混じっている……それに……)」(コウガ)


「(妙に情報が具体的すぎる。)」(コウガ)


コウガの背中に、嫌な汗が流れた。


「第2補給路はどうするので?」(コウガ)


「先に前線の援軍だ!補給路の奪還は俺達で問題ない。」(イガ)


コウガは、違和感を覚えたものの、隊長の命令を優先した。


「了解。」(コウガ)


「ゴエ、聞いてたな。作戦変更だ。」(コウガ)


「了解!」(ゴエ)


コウガとゴエは踵を返し、前線へ戻る。



「あの命令、なんか変じゃないですか?」(ゴエ)


「ああ、声も喋り方も隊長だったが、違和感があった。」(コウガ)


「(隊長が内通者か、それとも隊長に巧妙に化けたか…。いずれにせよ、確証が持てん以上、命令に従うしかない。)」(コウガ)


コウガもゴエも、違和感に気付いていた。しかし、それが敵の作戦だとしても、確証が持てなかった。



「大尉、間もなく敵が来ます。」(マーファク)


「OK~。ガックス、カムイリ、銃を構えろ。」(トロイカ)


「了解。」(アジウ・ガックス陸軍軍曹、デイジー・カムイリ陸軍伍長)


「よし、敵がG地点に到着。撃て!」(トロイカ)


TATATATANG!


「伏せろ!」(コウガ)


コウガとゴエに向け、銃弾が飛び交う。2人は、立体物に隠れ、何とか逃れる。


「やっぱり罠でしたね。」(ゴエ)


「ああ、しかも特殊部隊が6人。これはヤバいぞ…。」(コウガ)




―特戦群 第3班― 


ダンゾウは、目的の場所へ到着した。


「(敵の気配を感じない…。罠を張っているか巧妙に隠れているか…。)」(ダンゾウ)


ダンゾウは、周囲の静けさに警戒を強める。一歩ずつ慎重に進みながら、敵狙撃手が隠れそうな場所を探す。彼の視線は、地面だけでなく、木々の枝や、わずかな草木の揺れにも向けられていた。


「(物理的な罠の可能性が、いや、視覚的なカモフラージュか、音響センサーか…。)」(ダンゾウ)


彼は、これまでの経験から、敵の行動パターンを予測していた。


「!?」(ダンゾウ)


「(何か聞こえる…。)」(ダンゾウ)


ダンゾウは、電子音の音や周囲で僅かな点滅を確認する。


「!」(ダンゾウ)


罠の発動を警戒するダンゾウだったが、何も起こらない。


「(何も起こらないわけがない。だが、進むしかない…。)」(ダンゾウ)


罠の発動を覚悟のうえで進むダンゾウ。風が強く吹き、あたりに落葉が舞う。折れた小枝がダンゾウのてっぱちに触れた時、ダンゾウは直感的に身の危険を感じる。


咄嗟にダンゾウは、てっぱちを脱ぎ捨てた。次の瞬間――小枝が爆発した。爆風により飛び散った落葉がダンゾウに触れると、戦闘服の袖や覆面の頬の部分が破れ、ダンゾウの皮膚から血が流れる。


「(落葉や小枝が武器に!?…この精巧さ、敵工兵の仕業か。)」(ダンゾウ)


予想外の攻撃に戸惑うダンゾウへ向け、潜んでいた狙撃手から発砲され、背後から伏兵が現れる。


「罠が発動したようだな。予定通りだ。」(マーファク)


「頼みますよ、ドフィーラ少尉、ナックス少尉。」(マーファク)


敵の罠に嵌ったダンゾウ、コウガ、ゴエ…。最悪の状況の中、アスゲニフの支隊と戦闘していたイガ班は…。



「ふう、思ってたよりもやるな。だが、それでも私たちの敵ではなかった。」(アスゲニフ)


アスゲニフは、暗器についた返り血を拭き取ると、虫の息となっていたハンゾウとフウマの前にゆっくりと歩み寄った。


「お前たちの隊長は、優秀だった。だが、お前たちは、ただの犬に過ぎない。」


アスゲニフは、そう冷たく言い放つと、ハンゾウとフウマの後頭部に、躊躇なく拳銃の銃口を突きつけた。


森は奇妙なほど静かだった。そして――アスゲニフの指が、ゆっくりと引き金にかかる。


登場人物紹介

ネウレイ・マーファク

種族・性別:狼型獣人族の男性

所属・階級:陸軍准尉、特殊作戦部隊支隊長の1人

備考:要人暗殺のため、自衛隊の中に潜んでいたが、暗殺を実行する前に次の作戦に移行していたので暴れ足りない。


アジウ・ガックス

種族・性別:ヒョウ型獣人族の男性

所属・階級:陸軍軍曹、特殊作戦部隊で、トロイカの支隊に所属


デイジー・カムイリ

種族・性別:ヒョウ型獣人族の女性

所属・階級:陸軍伍長、特殊作戦部隊で、トロイカの支隊に所属


イガ……特戦群の隊長格

ハンゾウ……特戦群。イガと共に行動する。

フウマ……特戦群、イガと共に行動する。

コウガ……特戦群の隊長格。

ゴエ……特戦群、コウガと共に行動する。

ダンゾウ……特戦群の隊長格。仲間の負傷により、単独行動となる。

ラランワ・アスゲニフ……テリムト特特殊作戦部隊の部隊長

セルチュク・ガー……アスゲニフの部下

キキ・ディオンヌ……アスゲニフの部下

フィアン・トロイカ……テリムト作戦部隊支隊長の1人。


※爆弾や切れ味鋭い刃物は、木の葉や枝に見せかけて設置していた。爆弾や刃物と気付かない程、精巧に作られている。

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