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外星戦記  作者: 無名の凡夫
第1章 初陣~オペレーション・ギデオン~

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第37話 猫の牙

森は静まり返っていた。風に揺れる枝葉の音だけが耳へ届く。ダンゾウは歩みを止めた。


「……。」


キドも足を止める。


「班長?」


「見られている。」


その一言で3人の空気が変わった。


ハットリは即座に銃口を後方へ向ける。しかし、姿はない。気配だけがある。


「敵は近い。」


ダンゾウが呟いた、その瞬間だった。


「死ねぇぇぇぇ!」


木陰から一つの影が飛び出す。


猫型獣人、ズバンニャ・ゴック。その跳躍は人間離れしていた。ナイフが一直線にダンゾウの喉元を狙う。


「!」


ダンゾウは半歩だけ身体を逸らす。刃は頬を掠めるだけだった。


「キド!」


「了解!」


キドが横へ回り込み発砲する。しかし、ゴックは木を蹴って軌道を変えた。弾丸は幹へ突き刺さる。


「速い!」


そこへアルカルが飛び込む。狙いはハットリ。


「やあ!」


ハットリは咄嗟に受け止めるが、一瞬遅れた。キドは迷わず銃口を向ける。


「邪魔だ!」


乾いた3連射。アルカルは顔を逸らす。一発がヘルメットを弾いた。


「きゃっ!」


致命傷は避けた。しかし次の瞬間、キドは照準を変える。


腕。


脚。


肩。


連続して撃ち抜く。アルカルは地面へ崩れ落ちた。


「分隊長!」


叫ぶ部下を見た瞬間。ゴックの表情が変わった。


「カレン!」


怒りだった。地面を蹴る。一瞬でキドとの距離を詰める。


「!」


ナイフが右鎖骨へ突き刺さる。


「ぐあっ!」


血が噴き出す。


「キド!」


ハットリが援護へ向かう。だが…ゴックは身体を半回転。左拳がハットリの側頭部へ突き刺さった。鈍い音。ハットリの視界が白く染まる。


「……!」


膝が折れる。


「脳震盪か。」


ダンゾウだけは冷静だった。


視線はゴックではない。倒れているアルカル。まだ息がある。


「……。」


乾いた1発。アルカルの頭部が跳ねた。


「!」


ゴックの身体が止まる。ほんの一瞬。それだけだった。ダンゾウは見逃さない。


2発、腹部、さらに胸部。


3発目、心臓


「にゃ……。」


ゴックの身体がぐらりと揺れる。それでも倒れない。ナイフを握ったまま、1歩踏み出す。


「帝国兵は……。」


吐血する。


「最後まで……任務を……。」


ダンゾウは静かに銃口を上げた。


「立派だった。」


最後の1発。額を撃ち抜く。ズバンニャ・ゴックは音もなく崩れ落ちた。森に静寂が戻る。


ダンゾウはすぐ無線機を取る。


「こちら第3班。」


『どうした?』


「敵偵兵を撃破。」


一拍置く。


「キド負傷、ハットリ脳震盪。救護班を要請する。」


『了解。』


キドは傷を押さえながら立ち上がる。


「俺はまだ戦える。」


「無理だ。」


ダンゾウは即答した。


「鎖骨をやられた人間が戦場で何をする。」


「しかし。」


「死ぬな。」


その一言だった。


「まだ終わっていない。」


キドは悔しそうに歯を食いしばる。


「……了解。」


その時、イガから通信が入る。


『ダンゾウ。』


「こちら第3班。」


『敵特殊部隊を発見した。』


森の奥、一人の女がこちらを見つめていた。


帝国特殊部隊隊長、ラランワ・アスゲニフ。


イガは静かに銃を構える。互いの視線が交錯する。新たな戦いが始まろうとしていた。


登場人物紹介

特戦群

ダンゾウ

キド

ハットリ


帝国兵

ズバンニャ・ゴック……猫型獣人族の女性で、階級は曹長

カレン・アルカル……同じく猫型獣人族女性で、階級は伍長

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ミリタリー SF ファンタジー 自衛隊 戦争
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