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外星戦記  作者: 無名の凡夫


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第32話 油断大敵

DOGAAAAAANG!


「うわあ!」

「な、なんだ!?」


「弾薬庫が爆発した!」

「消火を急げ!」


コウガ率いる特戦群第2班の攻撃により、大月攻略隊の弾薬後が爆発、激しく燃え上がった。炎に照らされた兵士の顔は恐怖に歪み、爆発に巻き込まれた兵の悲鳴がこだまする。


「何事だ!?」(ジェア)


ジェアの怒声が響く。弾薬庫の爆発は、彼の冷静さを一気に吹き飛ばした。


「あの方向は弾薬庫が…。まさか、特殊部隊…!?」(オサスタ)


オサスタの言葉に、ジェアは自らの油断を呪った。


「ぐずぐずするな!敵は特殊部隊だ!アイボ、ブルーム、周辺の偵察をしろ!アラミーは、自分の隊を連れて上空から敵を探せ!」(ジェア)


ケンタウロス族であるアイボ・アウストラ兵士長とブルーム・オムアム上等兵が素早く走り出す。


爆発に巻き込まれた兵士の悲鳴が耳障りだった。彼は、自身のプライドが傷つけられたことに激しい怒りを覚えていた。


「(ケンタウロスのスピードは、通常の歩兵を凌駕する。最大時速80キロの俊足は、特殊部隊とて捕えきれまい。偵察させたなら、奴らが最適だ。)」(ジェア)




「動ける者は急いで消火しろ!」(パヴォ・パンクマン陸軍中尉)


「ベレノ曹長は、大隊長殿へ報告!それと補給部隊に弾薬の補充を要請しろ!」(パンクマン)



「アボイル中尉、砲台の修理は可能か?」(タイビー・ウンババ陸軍中尉)


「敵の攻撃が止まない以上、難しい! まずは敵殲滅をせねば…。」(へッチ・アボイル陸軍中尉)


「ゴック曹長! 貴様は、部下を率いて敵兵の殲滅を行え! 他の者は壊れてない砲台を死守だ!」(ウンババ)


「了解!」




イガは、双眼鏡越しに、ケンタウロス族が走り出すのを静かに見つめた。


「各班、首尾は順調のようです。」(フウマ)


「ならば、2班と3班は、敵兵の討伐も行え。」(イガ)


「了解。」


特戦群の隊員たちは、互いにアイコンタクトを交わし、音もなく動く。彼らの動きに無駄はなく、まるでひとつの生命体のように連携していた。


「ハンゾウはケンタウロスを監視しろ。仕留めても構わん。」(イガ)


「(ケンタウロスは、足が速い。下手につけ狙えば、我々の位置が知られる。だが、奴ら足音で位置がバレバレだ。ならば…)」(ハンゾウ)


「モモとフウマは上空の敵を警戒。俺が奴を仕留める。」(イガ)


イガは、視界の隅に映るジェアに狙いを定めた。


「(流石に大隊長を務めるだけある。隙がない。遮蔽物のある場所から動かないのも厄介だ。先に周囲の敵からいくか?)」(イガ)


「(あの馬を討てば、俺が隊長の援軍へ行ける。急げ、俺…。)」(ハンゾウ)


「(補給路が機能してない以上、弾薬を無駄には出来ん。ならば…。)」(モモ)


モモはその場から離れた。何か意図があると感じたフウマも同じく、その場を離れる。


「(上空の敵は4体か…。)フウマ、2体ずつ仕留めるぞ。」(モモ)


「了解。」(フウマ)


2人はグラップル・ワイヤーを使い、木の上に上る。身を隠し、敵の様子を伺う。


「敵は一体どこにいるんだ?」(イリアン・イハ上等兵)


「地面に這いつくばってるんだろ? こんな山の中じゃ、空から探して見つからねーよ。」(アムザット・アギラフ兵士長)


「ん? あの木…。何か変だ?」(シアン・グンテ二等兵)


「どうした、グンテ二等兵。」(オサスタ)


「いえ、あそこの木、何か不自然だったので。」(グンテ)


「(……もし敵だったら、手柄になる。)」(グンテ)


「そうか。気になるなら、見てきていいぞ。敵が潜んでいるかもしれない。」(オサスタ)


「承知しました。では、見てきます。」(グンテ)


「いい加減、昇進しないとな、落ちこぼれ。」(イハ)


「(…うるせぇ。)」(グンテ)


グンテは落ちこぼれだった。同期の多くが下士官に昇進する中、自身は未だに二等兵のままだ。真面目に軍務をこなすものの、成果が追いついて来ない。昇進試験も尽く落ち、同期や近い後輩からも嘲笑の的になっていた。しかし、同期のイハも上等兵と、グンテよりも上の階級なのだが、同期の多くが下士官になっている中で、昇進が遅れている。その事を言い返したかったグンテだったが、最下級のグンテは、心の中に留めるしかなかった。


「アギラフ兵士長、援護してやれ。」(オサスタ)


「やれやれ、しょうがないですね。」(アギラフ)


グンテとアギラフがモモやフウマが潜んでいる木に近づいていく。


「(まだだ…。)」(モモ)


グンテの羽ばたく音が近づく。


「(もう一歩…来い…。)」(モモ)


「(今だ!)」(モモ)


モモはグラップル・ワイヤーをグンテの足に引っ掛け、グンテに接近する。


「な!?」(グンテ)


不意を突かれたグンテは対応が遅れ、モモの接近を許してしまう。モモは、ナイフでグンテの喉を切り裂く。


「ぐ…。ちくしょう…。」(グンテ)


「敵襲!!」(アギラフ)


アギラフがスピードを上げ、モモに近づいていく。アギラフに威嚇射撃をするモモ。アギラフが怯んだその瞬間、フウマがアギラフの足にグラップル・ワイヤーを引っ掛けて接近する。そして、アギラフへ向けて発砲した。


「や、やられた…。」(アギラフ)


2人は、もう片腕のグラップル・ワイヤーを木の枝に引っ掛け、着地する。


「イハ上等兵、あの2匹を()るぞ!」(オサスタ)


「了解!」(イハ)


モモとフウマへ殺意を向けるオサスタとイハに対し、


「作戦変更だ。フウマは隊長の援護。俺があいつ等の相手をする。」(モモ)


「了解!」(フウマ)


「逃がすか!」(イハ)


TATATATANG!


その場から離れるフウマに向けて突撃するイハだったが、別方向からの銃弾で、利き腕を負傷する。


「何?」(イハ)


ハンゾウだった。自身も木に登り、上からケンタウロス族へ銃撃していた際に、フウマへの突撃に気付いていた。小銃の射程距離だったので、そこから発砲したのだった。空を飛べなくなったイハは転落。その時に、フウマによって仕留められる。


「ケンタウロスは?」(フウマ)


「とっくに仕留めた。」(ハンゾウ)


ハンゾウがそう言うと、地面には2体のケンタウロスが倒れていた。


「あいつ等、足は速いが、足音でバレバレだ。木の上に隠れて撃ったらあっさり倒せた。」(ハンゾウ)


「さすが。」(フウマ)


「隊長! ハンゾウ、フウマ、これから援軍へ向かう。」(ハンゾウ)


ハンゾウ、フウマの合流で、ジェアへの攻勢を強める。その直後、オサスタの銃弾がモモの左肩を掠め、モモは倒れた。


「くそ、小癪な…。」(ジェア)


「側近はあらかた片付いた。残るはジェアのみ!行くぞ!」(イガ)


TATATATANG! TATATATANG!


「くそがあああああ。」(ジェア)


イガやハンゾウの銃弾を受けながら、ジェアは砲撃が成功したことで油断した自身を呪い、そして恥じた。しかし、時すでに遅し。ジェアにはただ死を受け入れることしか出来なかった。


「帝国の…誇りが…」(ジェア)


「大隊長殿!」(オサスタ)


オサスタがその場に現れたが、羽と足を怪我して満足に動けず、イガが難なく仕留めた。しかし、オサスタと対峙していた状況からモモは戦死、もしくは戦闘不能に陥ったと思われる。


「討伐完了…か。」(イガ)


ジェアの体が、ゆっくりと崩れ落ちた。


「2班、3班、状況はどうなっている?」(イガ)


「こちら、コウガ。第2班、制圧完了。」(コウガ)


「こちら、ダンゾウ。中隊長の2人、タイビー・ウンババ、へッチ・アボイルを討伐。しかし、敵兵は逃走し、数名を仕留め損ねた。」(ダンゾウ)


「被害状況は?」(イガ)


「2班、被害状況なし。」(コウガ)


「3班、死者1名……コタロウが戦死。」(ダンゾウ)


「そうか…。」(イガ)


一瞬だけ、イガは目を閉じた。


「やはり、被害は免れんか…。」(イガ)


「こちらもモモが行方不明だ。しかし、立ち止まってはいられない。次の作戦へ移行する。」(イガ)


「了解。」


登場人物紹介

ハンゾウ……特戦群の1人で、イガと共に行動する。

モモ……特戦群の1人で、イガと共に行動する。オサスタとの戦闘で行方不明となる。


コタロウ:本名、三郷みさと 哲也てつや

生年月日:1991年8月5日 / 出身:岐阜県

階級:二等陸曹 / 所属:特戦群3中隊

備考:ダンゾウと共に行動するが、ゴックの分隊と戦い死亡する。

享年:29歳


アイボ・アウストラ

種族:性別:ケンタウロス族の男性

所属・階級:陸軍兵士長、第3砲兵大隊所属

備考:大砲や砲台の運搬要員として配属されている。また、無線故障時の伝令も行う。


ブルーム・オムアム

種族・性別:ケンタウロス族の男性

所属・階級:陸軍上等兵、第3砲兵隊。

備考:アウストラと同じ理由で配属される。


パヴォ・パンクマン

種族・性別:ヒト族の男性

所属・階級:陸軍中尉、第3砲兵大隊で、弾薬庫の管理・護衛担当の中隊長。


ポルック・ベレノ

種族・性別:ヒト族の男性

所属・階級:陸軍曹長、第3砲兵大隊で、弾薬庫の管理・護衛担当中隊


タイビー・ウンババ

種族・性別:エルダードワーフの男性

所属・階級:陸軍中尉、第3砲兵大隊

帝国陸軍中尉で、エルダードワーフの男性。第3砲兵大隊砲兵中隊の一つを率いる。


へッチ・アボイル

種族・性別:ドワーフ族の男性

所属・階級:陸軍中尉、第3砲兵大隊で、砲台の整備担当中隊の中隊長。


アムザット・アギラフ

種族・性別:鴉型鳥人族の男性

所属・階級:陸軍兵士長で、第3砲兵大隊の偵察担当。


イリアン・イハ

種族・性別:鴉型鳥人族の男性

所属・階級:陸軍上等兵、第3砲兵大隊の偵察担当

備考:グンテとは同期で、「落ちこぼれ」と馬鹿にしている。


シアン・グンテ

種族・性別:鴉型鳥人族の男性

所属・階級:陸軍二等兵、第3砲兵大隊所属の偵察担当

備考:イハとは同期。同期の中では、昇進が遅れており、周りから落ちこぼれと思われている。尚、イハやグンテの同期は下士官になっている者が多く、イハも出世からは遅れている方である。


グーリエ星に存在する種族


ケンタウロス族……上半身は人間、下半身は馬の種族。足が速く、最大速度は時速80キロ。健脚とパワーを活かして、車両の故障時は補給品の運搬、無線が故障した際には伝令役を務めることが多いが、スピードを活かした突撃も脅威となるので、歩兵としても重宝される。

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