表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
外星戦記  作者: 無名の凡夫
第1章 初陣~オペレーション・ギデオン~

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
33/261

第33話 撤退そして再起

アイトンダは、第3砲兵大隊が控えていた地点から、砲撃とは違う爆発音を耳にし、至急、大隊長のジェアと交信を命じた。しかし、ジェアをはじめ、その副官とも連絡がつかない。


「おい、シス! 砲兵隊はどうなった?」


「ジェア大隊長とは、未だ連絡がつきません。」

※シス・アル・ミルカー中佐、大月攻略隊副隊長


「他に連絡が取れる者はいるか?」


「通信中ですが、まだ誰とも繋がりません。」


「(敵にやられたと考えるのが自然だが、どうやって潜入した? …いや、潜入できる連中がいた!)」


「(――特殊作戦群! 奴等、陸軍の特殊部隊だ。陸軍にいる精鋭連中の中でも最精鋭。こいつらも山梨に!)」(アイトンダ)


一瞬、狼狽えたアイトンダだったが、すぐに冷静になる。特殊部隊は陰に潜む部隊。それならば、本隊ではない山梨方面に出現しても不思議ではない。


「(もしや、ゴア准将やポートレミは、これも読んでいた?)」


「(いや、今それはいい。まずは、第3砲兵大隊の生き残りを保護せねば。奴ら、特殊部隊はまだ健在なら、1人でも多くの味方が必要だからな。)」


アイトンダは、第3砲兵大隊が控えていた陣地を捜索するよう、部下に命じた。



――1時間後――


「大佐殿!」


第3歩兵大隊の生き残りがやって来る。ピオトル・シマオ兵士長だ。


「敵特殊部隊より、第3砲兵大隊に壊滅的被害!


「やはりか…。」


アイトンダは、伝令にやって来たのが、ケンタウロス族ではない、シマオだったことで、状況を察した。


「生き残りはどのくらいいる?」


「詳しくは…。」


「ならば至急、生き残りを集め、私のところへ連れてこい。」


「了解しました。」




― 30分後 ―


「集まったのは、2個小隊といったところか。」


「申し訳ありません…。」

※ダレン・ドフィーラ軍曹、第3砲兵大隊防空支隊所属


「貴様らは、特殊部隊にやられたと聞いたが?」


「はい。」


「やられっ放しでは、貴様らも気が済まんだろう。次、奴らのターゲットは補給路とみてる。ならば、貴様らは、補給路の防衛だ。」


「了解!」


「分隊を組め。曹長・軍曹の者が分隊長を務め、準備が整い次第、補給路へ向かえ!」


「了解!」


「(幸い、兵の士気は高い。だが、砲兵科の連中に歩兵科として動いてもらうのだ。どこまでやれるか未知数だ。いざという時は、このペーリ・アイトンダ自らが!)」





「大松崎3曹、弾薬が間もなく尽きる!補充は可能か?」


「了解。緑川! 青島三曹の下へ持って行って!」


「了解!」


わずかな弾薬を抱え、緑川は敵の銃火をくぐり抜けて青島のもとへと走った。


「青島三曹、弾薬です!」


「おい、たったこれだけか!?これじゃあ、まるで…。」


「残量もあと僅かです。これだけしか持ち出せません。」(緑川)


「くっ…。これじゃ持ちこたえられんぞ…。」


銃撃の音が途切れるたびに、彼らは恐怖に怯えた。弾薬が尽きれば、彼らはただの的になってしまう。


「弾薬が足りなければ、敵から鹵獲しろ!ここで諦めたら、何の意味もなくなるぞ!」


別当の言葉は、悲痛な叫びにも似ていた。


「この戦場に散っていった、多くの仲間のためだ!ここで怯んで、あいつらの無念を踏みにじるわけにはいかない!前に進め!」


彼の言葉に、隊員たちの顔つきが変わる。恐怖に染まっていた目が、再び闘志を宿した。しかし、気休め程度にしかならないことは、ここにいる誰もが自覚していた。


「ぐ……。」


天道が呻き声をあげ、その場に倒れ込む。彼の胸には、敵の銃弾が何発も命中していた。


「天道!!」


「一佐、天道が…。」


悲痛な叫びをあげた山元は、天道を撃った敵兵に反撃しようとする。しかし、彼の銃からは乾いた空撃ちの音が響くだけだった。弾薬が尽きていたのだ。


「ちくしょう…。」


山元は、その悔しさを噛み殺す間もなく、敵の銃撃を受け戦死した。


「天道、山元…。」


仲間を目の前で失い、別当は唇を強く噛み締めた。その時、大松崎が叫ぶ。


「別当一佐、もう弾薬がありません!」


「(敵はこちらが鹵獲することを警戒して、遺体の回収が早い。無理に突っ込むと、さらに犠牲者が出るだけだ。ここで立ち止まっていたら、全滅…。だが、ここで引けば、仲間の死を無駄にすることになる。…それでも、生き残らなければならない。後の世代に、この戦いの真実を伝えるためにも。)」


別当は、覚悟を決めた。


「後退する!」


彼の声に、隊員たちは一瞬驚いた表情を見せた。しかし、別当の目に宿る強い光を見て、彼らが異を唱えることはなかった。これは、単なる敗走ではない。生き残って反撃の機会を窺うための、苦渋の決断だった。


「(だが、まだ諦めたわけではない!)」


「敵指揮官はベットウ。イ-03(イーゼロサン)だ、奴はここで仕留める!追え!!」

※パウ・シュグルポッター大尉、第1歩兵科大隊、中隊長の1人


「連隊長、俺はまだ弾薬が残っています。殿を…。」


別当は一瞬だけ青島を見た。


「僕もまだ弾薬あります! その間に逃げてください!


「……分かった。ただし、死ぬんじゃないぞ!」


「了解!」


「中隊長、敵2匹が戦列から離れました!」


「お前に任す!」(シュグルポッター)


「了解!」


「くそ、釣り出せたのは一人かよ!」(青島)


「これじゃ、殿の意味が…。」(緑川)


一瞬だけ、緑川の顔から血の気が引いた。思わず、別当たちが去った方向を振り返った。


しかし緑川は、視線の先に誰かがいることに気付く。その「誰か」は、ハンドサインで「大丈夫」と伝えたため、エレメントとの戦闘に専念した。


「(信じますよ。)」


「一佐、こっちです!」


後退する別当へ届く誰かの声。


「(この声は…。)」


「こっちだ!」


声の主を信じ、部下を誘導する別当。


「今だ!」


声の主の号令の後、「ドオン」という爆発音。敵兵の周りで爆炎を挙げる。即席爆弾を設置していたようだ。


「ご無事で何よりです。」


「お互いにな。」


声の主は、東財(とうざい) 晴美(はるみ)三等陸佐。31普連2中隊の中隊長。東財ほか、彼女の部下、古山(ふるやま) 大地(だいち)三尉、竹内(たけうち ) 良樹(よしき)二曹、仁科(にしな) 空翔(くうと)二曹、田中(たなか) 一成(いっせい)陸士長が控えていた。



「12偵の西陸士長が、連隊長が戦闘しているのを見つけまして。」

※東財 晴美三等陸佐、第31普通科連隊第2中隊長


「そうだったのか。」(別当)


「援軍へ行くよりも、撤退を想定して罠を仕掛けることを東財中隊長が提案し、我々は待ち伏せていました。」(西)

西(にし) 友貴(ともき)陸士長第12偵察隊1中隊所属


「撤退するなら、このルートを選ぶだろうと予測した結果です。賭けでしたが…。」


「おいおい、このルートに来なかったらどうするつもりだったんだ?」


別当は一瞬、後方を振り返った。


「大したものだ。」




「別当一佐、室三曹が青島と緑川を連れてきました。」(古山)


「無事だったか、良かった…。」


青島と緑川の無事に安堵する別当。


「室三曹の援護もあり、敵を討伐出来ました。」(青島)


「室三曹、助かった。礼を言う。ところで、東財、弾薬は残っているか? 俺達の弾薬は底を尽いてしまってな…。」


「私達も、決して多く残っているわけではありませんが、多少は蓄えがあります。」


東財たちは手分けして弾薬の補充を行った。乾いた銃声が遠くで響く中、隊員たちの表情がわずかに緩む。「助かった…。」誰かが小さく呟いた。


「小巻!!」


その時、一発の銃声。銃弾がこめかみを貫通し、その場に崩れ落ちる小巻。即死だった。


「スナイパー!?」(元木)


「いや、違う。あの爆発の中、生きていたのか。なんてタフな奴だ…。」


別当の視線の先には、血を流しながらも鬼気迫る表情でこちらを睨むシュグルポッターの姿があった。彼の左腕は力なく垂れ下がり、右手に持った銃から白煙が立ち上っていた。それでも照準だけは狂っていない。


登場人物紹介

パウ・シュグルポッター

種族・性別:獅子型獣人族の男性

所属・階級:陸軍大尉。テリムト大月攻略隊第1歩兵大隊所属で、中隊長の1人


別当べっとう 強司つよし……第31普通科連隊長

ペーリ・アイトンダ……テリムト大月攻略隊長

シス・アル・ミルカー……同 副隊長

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ミリタリー SF ファンタジー 自衛隊 戦争
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ